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第十九話 意外と気付かれないものなのね?

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 その日、私は焦りました。

 絶対にフレマアージュ港からノースファティルガルド行きは選択しないと思っていたから、会う事はないと思っていたのに…!

 どうしてこんな事になったのかと言うと…?

 話は少し前に遡ります。

 ~~~~~半日前~~~~~

 この日、私達は…いつも通りに冒険者ギルドで依頼を受けに行った。

 今回も指名依頼だったのだけれど、それは魔獣討伐ではなくて、護衛依頼という物だった。

 この付近にいる凶悪な魔獣は一通り討伐してしまったけど、完全にいなくなったわけでは無い。

 だけど、残っている魔獣は此方からちょっかいを出さない限りは比較的温厚な魔獣だったので、今回の様な指名依頼が来たのでした。

 「護衛依頼者名は、バルーデンス商会で…行き先は北方のノースファティルガルド?」

 「ノースファティルガルドかぁ~? かなり距離がある上に此方に帰って来るまでにかなりの時間を要するなぁ。」

 「此処には荷物の運搬の護衛と書かれているが…一体何を運ぶ物なんだか?」

 私はメナスに手を引かれて、皆とは離れた所で話をした。

 「国内最大手の商会の荷物の運搬って…まさか、ファスティアが言っていた馬鹿王子の事だったりはしない?」

 「流石にそれは無いと思うよ。 バルーデンス商会はノースファティルガルドにも支社があるという話だったから、そこに運び込むという話で…面識のある私を指名してきたんじゃ無いかな?」

 「それなら良いんだけど。 荷物が最重要貨物というのが怪しくて、まさか人だったりしないかな~?って。」

 「魔獣の可能性もあるんじゃ無いかな? 仮に暴れ出しても私達なら止める事ができるし、後…ドレクス達が以前にノースファティルガルドに行った事があるという事で白羽の矢が刺さったんじゃ無いかな?」

 フレマアージュ王国は様々な国と交易をしている為に、この街にはこの大陸以外の者達がかなり存在する。

 だけど、流石にノースファティルガルド出身者はいない…と思うので、向こうで活動した事があるドレクス達が選ばれたのでは無いかと思う。

 …と、私は安易に考えていた。

 メナスの考えは鋭いもので…本当に荷物が人だったのだ。

 そしてその人物というのがカリオスで、更にもう1人…フレマアージュ王国の第二王子のヴァッシュ殿下が同伴者だった。

 それで、紹介の為に顔合わせをしたんだけど…?
 
 カリオスは私には全く気が付かず、紹介も適当に挨拶をされて終わったのだった。

 そして私達はこの依頼をキャンセルしようとしたのだけれど、商会の依頼を断るにはそれ相応の理由がないと断る事が出来ず、私は本当のことを話すわけにはいかないので…依頼を受ける形になって行った。

 港から船に乗り込んでノースファティルガルドに向けて出港したのだけれど…?

 私達は二人の王族とは別の部屋で、食事をする時もほとんど顔を合わせる事がなかった。

 まぁ、王族と庶民では立場が違うしね。

 私はそう思って安心をしていた。

 …が、ヴァッシュ王子は別で…何かに理由を付けて接触を試みようと近付いて来るのだけれど?

 ここはドレクス達に任せるしかないわね!
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