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第一話 ファスティア・マーベルグライン

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 私の名前はファスティア・マーベルグライン…

 元の名前はレイラ・カストゥールです。

 王国を出る時に本来の名前を捨てて、新たな名前となり…

 見た目も銀髪だった髪を切ってから魔法で青く染めました。

 これで知人でも無ければ余程近づかない限りは気付かれる事はありません。

 …というか、両親ですらまともに私の顔を見ようとはしませんでしたし、肖像画すらありませんしね。

 カリオス王子も顔を合わせようという気は無く、ライラも近付く事はなく…遠目で見る程度でしたから。

 私の顔を知る人物といえば、神殿の関係者くらいでしょうか?

 なので、王国を出れば私を知る人物はおりませんので…

 「それにしても…結界を解除したお陰でこんなにも魔力量が回復するとは思わなかった。」

 10年間にも及ぶ結界の維持や冒険者活動で総魔力量が増えていたみたいです。

 これなら余程の相手ではない限りは遅れを取ることはないでしょう。

 レントグレマール王国から旅立って3日…私は隣国のフレマアージュ王国に向かって歩いていました。

 途中に何度か魔物に襲われましたが、魔法によって全て撃退。

 そして倒した魔物は素材として回収しました。

 「討伐証明と…他の素材も買い取ってくれますわよね?」

 私は順調に隣国に向かって歩いていると、関所が見えて来たので…今夜は野宿からは解放されると思って足を急がせました。

 「それにしても、さっきから何度か騎士の姿を見ますけど…何かあったのかな?」

 馬に乗った騎士が通り過ぎる際に私の顔を見て行きましたが、首を振りながら関所の方に向かって走って行きました。

 それと同時刻に…レントグレマール王国では何やら結界解除後の異変が発生しつつありました。

 ~~~~~その頃、レントグレマール王国では?~~~~~

 レントグレマール王国の王の間では国王陛下が玉座に腰掛けて…カリオス王子からの報告書を確認していた。

 「特にこれと言った報告は上がってはない…が、以前に比べて子供染みた文章が目立つな…」

 それもその筈…以前はレイラが書類整理を行い、完璧な文章を手掛けていたからだった。

 この王国内にも文官や宰相はいるのだけれど、レントグレマール王国は割と大国に近い規模の国の割に城内での人手が足りず、一部の仕事が王子の役割でもあった。

 レイラが城から出て行ったら、当然その仕事はカリオス王子に回って来て…面倒な性格のカリオス王子は報告書も適当に作成していたのだった。

 「見るに堪えんな…」

 国王陛下はそんな事を呟いていると、王の間の扉が開いて兵士が駆け込んで来たのだった。

 「報告致します! 作物の収穫率が減少傾向にあり、今迄の七割の収穫率に下がりました‼︎」

 「何だと⁉︎…だが、七割程度なら然程問題はないだろう?」

 「確かに七割程度なら然程の問題はありませんが、今迄が豊作だった為にこの様な事が信じられず…」

 私の結界を解除したけど、それがすぐに反映する事は無かった。

 私の結界は様々な効果があり、その中には作物の実りを促す豊穣の恵みというのがあり…その効果に影響が出ていたみたいだった。

 現段階では作物に多少の影響が出ている程度なのだけれど…?

 日が経つ毎に他にも影響が出始めるのだった。

 果たして…いつになったらその原因が何だったのかに気付くのだろうか?
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