【完結】五度の人生を不幸な出来事で幕を閉じた転生少女は、六度目の転生で幸せを掴みたい！

第一章 婚約破棄の章

第四話 天高き場所に上がった者達は、意外な事で地に落ちる

　「アクードよ、でかした！」
　「は？」

　国王陛下は上機嫌になって、アクードの両肩を叩いて行った。
　アクードは訳が分からずに、立ち尽くしていた。

　「お前の婚約者がまさか…世界でも数少ない魔力持ちだったとは⁉　お前には度々失望される事ばかりだったが、これで全てを挽回出来たな！」
　
　国王陛下は、アクードにそう声を掛けていた。
　アクードは焦りを感じていると、王妃陛下がノワールが部屋にいない事に気付いた。
　それどころか、ノワールの妹のメルティがいる事に疑問を感じていた。
　アクードがノワールに婚約破棄を告げた事を、国王陛下はまだ知らない。
　アクードは大量の冷や汗を掻いていた。

　「それでだ！　お前の婚約者のノワールはどこだ？　ん？　何故…エルティナス伯爵家の次女のメルティがここにいる？」
　「え…えと…あーーー」

　国王陛下の言葉に焦るアクードの態度を見て、チャンスだと思ったメルティは国王陛下に進言した。

　「アクード王子は先程、姉のノワールに婚約破棄を突き付けてから、私を代わりに婚約すると仰って下さいました！」
　「おい！　貴様…空気位読め！」
　「アクード…どういう事だ？」

　国王陛下に詰め寄られて、アクードは言い訳を考えようとしていたが…良い案が思い付かなかった。
　
　《あらら…バレちゃったわね！　さてさて、あの馬鹿王子はどう返すのかしら？》

　アクードは考えるに考えてから、国王陛下に話し始めた。

　「えぇと…実はですね…？」