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本編

第三十一話 世界樹になってから…

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 あれから何年の刻が流れたのでしょう?

 私は相変わらず…世界樹のままで意識がそのままの状態で世界を見守っております。

 見守っている…というよりも、終焉の魔法を使ったら命がなくなるという話ではなかったんじゃなかったっけ?

 それなのに意識はあり…眠ることも出来ます。

 食事は日光浴をすれば事足りますが…ですが、それだけでほとんど動けない状態です。

 最近の楽しみと言えば…枝に止まりに来た小鳥の番いの逢瀬を見守っているくらいかな。

 「私も聖女にならなければ、こんな感じの恋愛を楽しめたのかなぁ?」

 私が世界樹になった後の話をしましょう。

 まず、ゼーヴェンス王国の王族やレオナリアさんにルーナリア先生とプリズムナイツの全メンバーが私の前に来ました。

 そして私の前に石碑が置かれました…が、私側からでは何が書いてあったのかは分かりませんでした。

 代表してパケットが私に読み聞かせる様に読んでくれました。

 世界を未然に救った偉大なる聖女…それが私の称号らしいです。

 そして私の前で次々にお辞儀と感謝の意を述べていた最中に、あのつるっぱげのファステス王子が私の事を嘲笑いながら揶揄して来ました。

 流石に感化出来ないと感じた国王夫妻は、ファステス王子の言動を辞めさせる様に騎士に命じて止めに入ろうとしました…が、それより先に動いたプリズムナイツ達によってその場で処刑されました。

 それから翌日…

 次は両親と兄達、他の公爵家の方々達が私の前で手を合わせてくれました。

 私は何度も家族達に話し掛けたいと思って声を出そうとしましたが、話した所で伝わるわけもなく…枝を揺らすのが精一杯でした。

 私は悲しくなってそれから数日に渡って泣きました。

 その間の間にも色々な人が訪ねて来た様ですが…正直誰が来たのかは分かりませんでした。

 それから数年が経ち…二人のお兄様達が久々に顔を見せに来ました。

 奥様と子供を連れて来て…

 世界樹になってから、私の中では時間の経過があまりよく分かっては居なくて…数日が過ぎたという感じしかしませんでしたが、二人の兄達が結婚して子供が出来る位には刻が流れていたのを初めて実感しました。

 それからまた数年の時が流れました。

 その間にも誰かしらは尋ねて来てくれましたが、初めの頃に比べて…人の顔が判断出来なくなって来ました。

 そして最近では眠る時間の方が多くて、常に眠い状態が続いていました。

 「これで完全に世界樹として…」

 出来る事なら、またもう1度人の姿になって皆に会いに行きたい…

 そんな事を思いながら、私は深い眠りに入りました。

 それは今までの様な浅い眠りではなく…

 次に目覚めた時は…
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