上 下
11 / 35
本編

第十話 魔法の授業でイタズラ

しおりを挟む
 あれから二週間が経過した。

 初めの頃はとてもじゃ無いけど1時間も持たなかった魔力放出が、今では1日中やっていても問題ない状態になっていた。

 「さて、これから本格的な魔法の授業が開始するけど…マーテルリアは魔法が使えたら何がしたい?」

 「魔法が使えたら…ですか?」

 「魔法ってね、授業を聞きながら忠実に習った事を繰り返す…というやり方よりも、相手をどうしたら困らせるかという使い方をした方が早くに覚えるんだよ~」

 ルーナリア先生は何を言っているんだろう?

 それを知っていると言う事は、ルーナリア先生もイタズラを仕掛けたことがあるのかな?

 「誰かにイタズラ…ですか?」

 「誰か頭に来ている人とかに復讐したいとかない?」

 真っ先に頭に浮かぶのは教官だけど、メイド長にもそれなりに嫌な目に遭わされた事がありましたね。

 私の服を脱がされて全裸にされた時に、公爵令嬢のくせに貧相な…とか言われましたっけ?

 「頭の中で誰かを想像出来たわね?」

 「はい、でも魔法でイタズラってどうやってやるんですか?」

 「これから教える魔法はスリップという滑りの魔法です。 足元を滑らせて対象を転ばせるという魔法なんだけど、ただ何もないところで転ばしても面白くないので…思いっきり恥を掻くシュチュエーションで行いましょう。」

 私は先生に連れられて廊下を歩いていると、メイド長と副メイド長が並んで歩いていた。

 私はスリップの魔法を習ってからメイド長の足元にターゲットをしてからスリップ魔法を発動した。

 するとメイド長は、滑った拍子に足を広げて背中から倒れて行った。

 メイド長の前には3人の騎士達がいて、メイド長の下着が露わになっていて…騎士達は少し顔を赤らめていた。

 メイド長は急いでスカートを押さえながら立ち上がると、恥ずかしながらどこかに走り去って行った。

 メイド長には気の毒だったけど、これで王宮に来た時の恨みの幾らかが晴らすことができました。

 「さて、次は誰にやる?」

 「次は…」

 こうして私は、歴史の授業中に間違えると折檻された講師や教官にスリップを実行して行った。

 そして午後になってから、悪ふざけは終わりになって本格的な魔法の授業が開始された。

 「イタズラの時に行った際に魔力調整や出力調整が出来ていたから、この感覚を活かして授業を開始するわよ。」

 「はい、ルーナリア先生!」

 それから的に向かって魔法を放つ授業が開始された。

 いきなり魔法の放出をやらされていたら上手くはいかなかったでしょう。

 あのイタズラは無駄な遊びではなかったみたいね?

 「魔法を色々覚えられたら、次もイタズラを仕掛ける為に別な魔法を試しましょうね。」

 私はルーナリア先生の言っている事を理解した。

 楽しみが無ければ成長は難しいのかもしれないわね?
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

聖女の力を隠して塩対応していたら追放されたので冒険者になろうと思います

登龍乃月
ファンタジー
「フィリア! お前のような卑怯な女はいらん! 即刻国から出てゆくがいい!」 「え? いいんですか?」  聖女候補の一人である私、フィリアは王国の皇太子の嫁候補の一人でもあった。  聖女となった者が皇太子の妻となる。  そんな話が持ち上がり、私が嫁兼聖女候補に入ったと知らされた時は絶望だった。  皇太子はデブだし臭いし歯磨きもしない見てくれ最悪のニキビ顔、性格は傲慢でわがまま厚顔無恥の最悪を極める、そのくせプライド高いナルシスト。  私の一番嫌いなタイプだった。  ある日聖女の力に目覚めてしまった私、しかし皇太子の嫁になるなんて死んでも嫌だったので一生懸命その力を隠し、皇太子から嫌われるよう塩対応を続けていた。  そんなある日、冤罪をかけられた私はなんと国外追放。  やった!   これで最悪な責務から解放された!  隣の国に流れ着いた私はたまたま出会った冒険者バルトにスカウトされ、冒険者として新たな人生のスタートを切る事になった。  そして真の聖女たるフィリアが消えたことにより、彼女が無自覚に張っていた退魔の結界が消え、皇太子や城に様々な災厄が降りかかっていくのであった。

【完結】6歳の王子は無自覚に兄を断罪する

土広真丘
ファンタジー
ノーザッツ王国の末の王子アーサーにはある悩みがあった。 異母兄のゴードン王子が婚約者にひどい対応をしているのだ。 その婚約者は、アーサーにも優しいマリーお姉様だった。 心を痛めながら、アーサーは「作文」を書く。 ※全2話。R15は念のため。ふんわりした世界観です。 前半はひらがなばかりで、読みにくいかもしれません。 主人公の年齢的に恋愛ではないかなと思ってファンタジーにしました。 小説家になろうに投稿したものを加筆修正しました。

姉から奪うことしかできない妹は、ザマァされました

饕餮
ファンタジー
わたくしは、オフィリア。ジョンパルト伯爵家の長女です。 わたくしには双子の妹がいるのですが、使用人を含めた全員が妹を溺愛するあまり、我儘に育ちました。 しかもわたくしと色違いのものを両親から与えられているにもかかわらず、なぜかわたくしのものを欲しがるのです。 末っ子故に甘やかされ、泣いて喚いて駄々をこね、暴れるという貴族女性としてはあるまじき行為をずっとしてきたからなのか、手に入らないものはないと考えているようです。 そんなあざといどころかあさましい性根を持つ妹ですから、いつの間にか両親も兄も、使用人たちですらも絆されてしまい、たとえ嘘であったとしても妹の言葉を鵜呑みにするようになってしまいました。 それから数年が経ち、学園に入学できる年齢になりました。が、そこで兄と妹は―― n番煎じのよくある妹が姉からものを奪うことしかしない系の話です。 全15話。 ※カクヨムでも公開しています

私を虐げてきた妹が聖女に選ばれたので・・・冒険者になって叩きのめそうと思います!

れもん・檸檬・レモン?
ファンタジー
私には双子の妹がいる この世界はいつの頃からか妹を中心に回るようになってきた・・・私を踏み台にして・・・ 妹が聖女に選ばれたその日、私は両親に公爵家の慰み者として売られかけた そんな私を助けてくれたのは、両親でも妹でもなく・・・妹の『婚約者』だった 婚約者に守られ、冒険者組合に身を寄せる日々・・・ 強くならなくちゃ!誰かに怯える日々はもう終わりにする 私を守ってくれた人を、今度は私が守れるように!

義母に毒を盛られて前世の記憶を取り戻し覚醒しました、貴男は義妹と仲良くすればいいわ。

克全
ファンタジー
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。 11月9日「カクヨム」恋愛日間ランキング15位 11月11日「カクヨム」恋愛週間ランキング22位 11月11日「カクヨム」恋愛月間ランキング71位 11月4日「小説家になろう」恋愛異世界転生/転移恋愛日間78位

【完結】婚約破棄にて奴隷生活から解放されたので、もう貴方の面倒は見ませんよ?

かのん
恋愛
 ℌot ランキング乗ることができました! ありがとうございます!  婚約相手から奴隷のような扱いを受けていた伯爵令嬢のミリー。第二王子の婚約破棄の流れで、大嫌いな婚約者のエレンから婚約破棄を言い渡される。  婚約者という奴隷生活からの解放に、ミリーは歓喜した。その上、憧れの存在であるトーマス公爵に助けられて~。  婚約破棄によって奴隷生活から解放されたミリーはもう、元婚約者の面倒はみません!  4月1日より毎日更新していきます。およそ、十何話で完結予定。内容はないので、それでも良い方は読んでいただけたら嬉しいです。   作者 かのん

欲しいのならば、全部あげましょう

杜野秋人
ファンタジー
「お姉様!わたしに頂戴!」 今日も妹はわたくしの私物を強請って持ち去ります。 「この空色のドレス素敵!ねえわたしに頂戴!」 それは今月末のわたくしの誕生日パーティーのためにお祖父様が仕立てて下さったドレスなのだけど? 「いいじゃないか、妹のお願いくらい聞いてあげなさい」 とお父様。 「誕生日のドレスくらいなんですか。また仕立てればいいでしょう?」 とお義母様。 「ワガママを言って、『妹を虐めている』と噂になって困るのはお嬢様ですよ?」 と専属侍女。 この邸にはわたくしの味方などひとりもおりません。 挙げ句の果てに。 「お姉様!貴女の素敵な婚約者さまが欲しいの!頂戴!」 妹はそう言って、わたくしの婚約者までも奪いさりました。 そうですか。 欲しいのならば、あげましょう。 ですがもう、こちらも遠慮しませんよ? ◆例によって設定ほぼ無しなので固有名詞はほとんど出ません。 「欲しがる」妹に「あげる」だけの単純な話。 恋愛要素がないのでジャンルはファンタジーで。 一発ネタですが後悔はありません。 テンプレ詰め合わせですがよろしければ。 ◆全4話+補足。この話は小説家になろうでも公開します。あちらは短編で一気読みできます。 カクヨムでも公開しました。

処理中です...