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4 いざ、雑草がぼうぼうに生えているおばあちゃんの家へ
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「ミケたんってまゆかおばあちゃんより先輩なんだよね」
わたしが葉っぱまみれのミケたんを見ながら言う。
「うん、二百歳を超えているんだよね。でも、なんか可愛いね」と美紀香ちゃんも笑う。
「あの子江戸時代生まれだよな?」
結太はケラケラ笑った。
「結太もミケたんが二百歳ってこと知ってるんだ」
「うん、だって、二百歳超えてるってあのミケたん自慢してたからな」
結太はわたしの顔を見てそれから雑草と戯れるミケたんに視線を向け笑った。
「幼い大先輩だよね」
「猫だからかな?」
「あれは性格なんじゃないの?」
わたし達はまゆかおばあちゃんに怒られているミケたんを見ながら考えた。
まあ、可愛らしいからなんでもいいか。
「それで結太はどうしてここに居るの?」
わたしは疑問に思っていたことを尋ねる。
「えっ! それは……あの牛柄ちゃんと遊んでいたらまゆかおばあちゃんが出てきたんだよ……」
結太はそう言ったけれどなんだか歯切れが悪いぞ。まあ、気にすることでもないか。
「結太も牛柄ちゃんに導かれたんだ」
「まあな、そうかもしれないね」
結太はまゆかおばあちゃんに着物の帯ごと引っ張られこちらに向かって来ているミケたんをじっと見ながら答えた。
「まったくお転婆で困ってしまうわ」
縁側に戻ってきたまゆかおばあちゃんは、ふぅーと溜め息をつきミケたんを板張りの空間に座らせた。
「もう、おばあちゃんってば引っ張るんだからにゃん」
ミケたんは着物を整えながら頬をぷくっと膨らませている。
「だって、ミケたんにノミがくっついてしまうでしょう」
「だったらおばあちゃん草刈りしたらいいんじゃない?」
ミケたんはぼうぼうに生えている雑草を見て言った。それはごもっともだとわたしも思う。
「だって、さっきも言ったけど雑草も頑張って生きているんだもの」とまゆかおばあちゃんは言った。
「確かにその通りかもにゃん。だけど、雑草は踏まれても草抜きされてもまた生えてくる強さを持っているんだにゃん」
「えっ? 強さ?」と言ってまゆかおばあちゃんは目をぱちくりさせた。
「そう強さだにゃん。踏んづけられても引っこ抜かれても生えてくるにゃん。おばあちゃんは優しすぎるのと面倒くさがりだにゃん」
ミケたんはそう言ってにゃぱーと笑った。
「そうなのかしらね?」
まゆかおばあちゃんは小首を傾げ「可哀想だけど草抜きしてみようかしらね」と言った。
「ミケたんも手伝うにゃん。いつ草抜きするにゃん?」
「近いうちにね」
「おばあちゃん後まわしにしたらダメだにゃん」
ミケたんは「だからおばあちゃんのお部屋はぐちゃぐちゃにゃんだよ」と言った。
何となく耳が痛い。だって、わたしの部屋もぐちゃぐちゃだもん。
やっぱりミケたんは人生の先輩なのかなと思った。(あ、でも猫か)だって、幼いけれど、しっかりしているところもある。
そんなことを考えながらミケたんをじっと見ていると目が合った。
「ことりちゃんどうしたにゃん?」
ミケたんは可愛らしく首を横に傾げた。
「ううん、ミケたんはやっぱりわたしより長く生きているんだな~って思ったんだよ」
「まあね、わたしは二百年以上生きてるからにゃん。でも、長く生きているだけじゃダメだにゃん。いろいろ勉強しないとね」
「勉強?」わたしは首を傾げ、「わたし勉強嫌いだな」と言った。
「わたしも勉強苦手」と美紀香ちゃんも言った。
「学校の勉強だけじゃないにゃん。本を読んだりまだ知らなかった新しいことと出会ったりすると良いかもにゃん。わたしもここに訪れる人から今の時代のことを吸収してるにゃん」
「そっか、わたし本は大好きだよ」とわたしは答え、美紀香ちゃんは、「わたしは本は苦手だけどマンガだったら読んでるよ」と胸を張る。
「にゃはは、本でもマンガでもいいんじゃない」
ミケたんはそう言って笑った。その幼い目はどこか遠くを見ている。
この庭に訪れた人達を思い出しているのかな? ってそういえば。
「ねえ、ミケたんはずっとまゆかおばあちゃんの家にいるの?」
わたしが葉っぱまみれのミケたんを見ながら言う。
「うん、二百歳を超えているんだよね。でも、なんか可愛いね」と美紀香ちゃんも笑う。
「あの子江戸時代生まれだよな?」
結太はケラケラ笑った。
「結太もミケたんが二百歳ってこと知ってるんだ」
「うん、だって、二百歳超えてるってあのミケたん自慢してたからな」
結太はわたしの顔を見てそれから雑草と戯れるミケたんに視線を向け笑った。
「幼い大先輩だよね」
「猫だからかな?」
「あれは性格なんじゃないの?」
わたし達はまゆかおばあちゃんに怒られているミケたんを見ながら考えた。
まあ、可愛らしいからなんでもいいか。
「それで結太はどうしてここに居るの?」
わたしは疑問に思っていたことを尋ねる。
「えっ! それは……あの牛柄ちゃんと遊んでいたらまゆかおばあちゃんが出てきたんだよ……」
結太はそう言ったけれどなんだか歯切れが悪いぞ。まあ、気にすることでもないか。
「結太も牛柄ちゃんに導かれたんだ」
「まあな、そうかもしれないね」
結太はまゆかおばあちゃんに着物の帯ごと引っ張られこちらに向かって来ているミケたんをじっと見ながら答えた。
「まったくお転婆で困ってしまうわ」
縁側に戻ってきたまゆかおばあちゃんは、ふぅーと溜め息をつきミケたんを板張りの空間に座らせた。
「もう、おばあちゃんってば引っ張るんだからにゃん」
ミケたんは着物を整えながら頬をぷくっと膨らませている。
「だって、ミケたんにノミがくっついてしまうでしょう」
「だったらおばあちゃん草刈りしたらいいんじゃない?」
ミケたんはぼうぼうに生えている雑草を見て言った。それはごもっともだとわたしも思う。
「だって、さっきも言ったけど雑草も頑張って生きているんだもの」とまゆかおばあちゃんは言った。
「確かにその通りかもにゃん。だけど、雑草は踏まれても草抜きされてもまた生えてくる強さを持っているんだにゃん」
「えっ? 強さ?」と言ってまゆかおばあちゃんは目をぱちくりさせた。
「そう強さだにゃん。踏んづけられても引っこ抜かれても生えてくるにゃん。おばあちゃんは優しすぎるのと面倒くさがりだにゃん」
ミケたんはそう言ってにゃぱーと笑った。
「そうなのかしらね?」
まゆかおばあちゃんは小首を傾げ「可哀想だけど草抜きしてみようかしらね」と言った。
「ミケたんも手伝うにゃん。いつ草抜きするにゃん?」
「近いうちにね」
「おばあちゃん後まわしにしたらダメだにゃん」
ミケたんは「だからおばあちゃんのお部屋はぐちゃぐちゃにゃんだよ」と言った。
何となく耳が痛い。だって、わたしの部屋もぐちゃぐちゃだもん。
やっぱりミケたんは人生の先輩なのかなと思った。(あ、でも猫か)だって、幼いけれど、しっかりしているところもある。
そんなことを考えながらミケたんをじっと見ていると目が合った。
「ことりちゃんどうしたにゃん?」
ミケたんは可愛らしく首を横に傾げた。
「ううん、ミケたんはやっぱりわたしより長く生きているんだな~って思ったんだよ」
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「にゃはは、本でもマンガでもいいんじゃない」
ミケたんはそう言って笑った。その幼い目はどこか遠くを見ている。
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「ねえ、ミケたんはずっとまゆかおばあちゃんの家にいるの?」
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