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これからお母さんと
しおりを挟むわたしは二十三年間生きてきてやっとお母さんに近づけたそんな気がする。
もっと早く分かり合えていれば良かったなと思う。けれど、今からだって遅くはないはずだ。
「お母さんしばらくこの森浜食堂で働くことにしたから愛可も時々来てくれると嬉しいな」
お母さんは今までにない優しい目でわたしの顔を見た。
「うん、船に乗ってびゅ~んとご飯を食べに行くよ」
「良かった。ちょっと船で遠いけどね」
お母さんはふふっと笑った。
「大丈夫だよ~高速船だったら近いもん」
わたしとお母さんが笑い合っていると、おばさんが、「愛可ちゃんも里可さんも良かったね」と言ってわたしとお母さんの肩をぽんぽんと優しく叩いた。
「はい、良かったです。今日は今まで生きてきた人生の中で一番幸せな日かもしれないです」
そう、わたしはお母さんに自分の存在を認めて欲しかった。それが今日叶った。
「わたしもです。なんだか森浜さんがわたしと愛可を引き合わせてくれたそんな気がします」
「そんなことはないですよ。きっと、里可さんも愛可さんもその思いがすれ違っていただけだと思いますよ」
おばさんはそう言ってとびっきりの笑顔を浮かべた。このおばさんの優しい笑顔が幼いあの日のわたしを救ってくれた。
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