42 / 111
海とポークたまごおにぎり
しおりを挟む
美川さんは紫色のヒョウ柄の海パンを穿いているのだからそのセンスを疑う。
せっかく鼻筋が通り肌が綺麗な眉目秀麗な男性だというのに残念な人だなと思う。
「俺の顔に何かついてますか?」
「いえ、顔には何もついていませんよ。さあ、海で泳ぎましょう」
わたしは、きょとんと不思議そうに首を傾げている美川さんを置いて砂浜を走っているきらりちゃんを追いかけた。
「ちょっと、愛可さん逃げるんですか~」
美川さんの大きな声が背中に聞こえてきた。だけど、知りませんよーだ。
海は水色でとても綺麗だった。離島の海には及ばないけれど那覇から行ける海としてはリゾート気分も味わえて最高だ。
わたしは、きらりちゃんの笑顔と美川さんの笑っているのかいないのかよく分からない表情を眺めた。
大人になってからできた友達と海に来ているんだなと思うと嬉しくて頬が揺るんだ。
海で泳いだあとはポークたまごおにぎりをお弁当屋さんで買って食べた。ポークたまごおにぎりは、溶き卵を焼いた卵焼きとポーク(ランチョンミート)をご飯に挟み海苔で巻いたおにぎりなのだ。
普通のおにぎりよりもボリュームがあり食べごたえがある。沖縄県のお弁当屋さんやコンビニエンスストアに売られているソウルフードなのだ。
「美味しそうだね。さあ、食べるぞ」
きらりちゃんはそう言ったかと思うとポークたまごおにぎりにかぶりついた。
その表情は幸せそうだった。きらりちゃんも笑顔でご飯を食べられるようになったんだなと眺めているとなんだか嬉しくなった。
「うん、美味しいな。わたしのポークたまごおにぎりはエビマヨ入りだもんね」
きらりちゃんはパクパクとエビマヨ入りのポークたまごおにぎりを食べている。
「あ、わたし達も食べましょう」
わたしは、美川さんの横顔を見て言った。
「そうですね。食べましょう」
美川さんはゴーヤ天ぷら入りのポークたまごおにぎりにかぶりついた。
わたしも負けじと同じくゴーヤ天ぷら入りのポークたまごおにぎりにかぶりついた。
海を眺めながら食べるポークたまごおにぎりは美味しくてほっぺたが落っこちそうだ。
「うん、美味しいな」
青くて澄んだ海とどこまでも続く白い砂浜がとても綺麗だった。そんな中でポークたまごおにぎりを食べるとより美味しく感じられる。
沖縄に住んでいるといつでも海に行けると思いあまり行かなかったりするのだけど、二人と来て良かったなと思う。
美川さんはとても幸せそうにポークたまごおにぎりを食べている。
やっぱりご飯を食べている時の顔はいつもの眉間に皺を寄せた時の表情とは違い目尻を下げてふにゃふにゃふにゃーと幸せそうで緩み切った顔で食べている。
毎回思うのだけど、普段からもっと笑顔になるといいのになと思いながら美川さんの横顔をじっと見てしまった。
すると、美川さんはわたしの視線に気づきこちらに振り返ると、「俺の顔に何かついていますか?」と言って真顔でわたしの顔を見た。
「あ、いえ何もついていません。……ただ……普段から笑顔になるといいのにな」と思っただけですよ。わたしは正直に答えた。
「……まあ、そうなんですけどね」
美川さんはそう言ってふぅーと溜め息をつきそれからゆっくりとポークたまごおにぎりを口に運んだ。
もちろん、ポークたまごおにぎりを食べる美川さんの表情は幸せそのものだった。
せっかく鼻筋が通り肌が綺麗な眉目秀麗な男性だというのに残念な人だなと思う。
「俺の顔に何かついてますか?」
「いえ、顔には何もついていませんよ。さあ、海で泳ぎましょう」
わたしは、きょとんと不思議そうに首を傾げている美川さんを置いて砂浜を走っているきらりちゃんを追いかけた。
「ちょっと、愛可さん逃げるんですか~」
美川さんの大きな声が背中に聞こえてきた。だけど、知りませんよーだ。
海は水色でとても綺麗だった。離島の海には及ばないけれど那覇から行ける海としてはリゾート気分も味わえて最高だ。
わたしは、きらりちゃんの笑顔と美川さんの笑っているのかいないのかよく分からない表情を眺めた。
大人になってからできた友達と海に来ているんだなと思うと嬉しくて頬が揺るんだ。
海で泳いだあとはポークたまごおにぎりをお弁当屋さんで買って食べた。ポークたまごおにぎりは、溶き卵を焼いた卵焼きとポーク(ランチョンミート)をご飯に挟み海苔で巻いたおにぎりなのだ。
普通のおにぎりよりもボリュームがあり食べごたえがある。沖縄県のお弁当屋さんやコンビニエンスストアに売られているソウルフードなのだ。
「美味しそうだね。さあ、食べるぞ」
きらりちゃんはそう言ったかと思うとポークたまごおにぎりにかぶりついた。
その表情は幸せそうだった。きらりちゃんも笑顔でご飯を食べられるようになったんだなと眺めているとなんだか嬉しくなった。
「うん、美味しいな。わたしのポークたまごおにぎりはエビマヨ入りだもんね」
きらりちゃんはパクパクとエビマヨ入りのポークたまごおにぎりを食べている。
「あ、わたし達も食べましょう」
わたしは、美川さんの横顔を見て言った。
「そうですね。食べましょう」
美川さんはゴーヤ天ぷら入りのポークたまごおにぎりにかぶりついた。
わたしも負けじと同じくゴーヤ天ぷら入りのポークたまごおにぎりにかぶりついた。
海を眺めながら食べるポークたまごおにぎりは美味しくてほっぺたが落っこちそうだ。
「うん、美味しいな」
青くて澄んだ海とどこまでも続く白い砂浜がとても綺麗だった。そんな中でポークたまごおにぎりを食べるとより美味しく感じられる。
沖縄に住んでいるといつでも海に行けると思いあまり行かなかったりするのだけど、二人と来て良かったなと思う。
美川さんはとても幸せそうにポークたまごおにぎりを食べている。
やっぱりご飯を食べている時の顔はいつもの眉間に皺を寄せた時の表情とは違い目尻を下げてふにゃふにゃふにゃーと幸せそうで緩み切った顔で食べている。
毎回思うのだけど、普段からもっと笑顔になるといいのになと思いながら美川さんの横顔をじっと見てしまった。
すると、美川さんはわたしの視線に気づきこちらに振り返ると、「俺の顔に何かついていますか?」と言って真顔でわたしの顔を見た。
「あ、いえ何もついていません。……ただ……普段から笑顔になるといいのにな」と思っただけですよ。わたしは正直に答えた。
「……まあ、そうなんですけどね」
美川さんはそう言ってふぅーと溜め息をつきそれからゆっくりとポークたまごおにぎりを口に運んだ。
もちろん、ポークたまごおにぎりを食べる美川さんの表情は幸せそのものだった。
0
お気に入りに追加
7
あなたにおすすめの小説
溺愛ダーリンと逆シークレットベビー
葉月とに
恋愛
同棲している婚約者のモラハラに悩む優月は、ある日、通院している病院で大学時代の同級生の頼久と再会する。
立派な社会人となっていた彼に見惚れる優月だったが、彼は一児の父になっていた。しかも優月との子どもを一人で育てるシングルファザー。
優月はモラハラから抜け出すことができるのか、そして子どもっていったいどういうことなのか!?
影の消えた夏
柴野日向
ライト文芸
逢坂陽向は世間から隠されて育ってきた。多くを諦めてきた陽向だったが、恋人である千宙さえも奪われかけ、相手の殺害を企てる。だが、陽向の行動を一人の青年が引きとめた。凪という名の彼は、ある島でのアルバイトを持ち掛ける。自暴自棄になった陽向は仕事を引き受け島に渡るが、そこに住むのは人ではない者たちだった。
サンタの村に招かれて勇気をもらうお話
Akitoです。
ライト文芸
「どうすれば友達ができるでしょうか……?」
12月23日の放課後、日直として学級日誌を書いていた山梨あかりはサンタへの切なる願いを無意識に日誌へ書きとめてしまう。
直後、チャイムの音が鳴り、我に返ったあかりは急いで日誌を書き直し日直の役目を終える。
日誌を提出して自宅へと帰ったあかりは、ベッドの上にプレゼントの箱が置かれていることに気がついて……。
◇◇◇
友達のいない寂しい学生生活を送る女子高生の山梨あかりが、クリスマスの日にサンタクロースの村に招待され、勇気を受け取る物語です。
クリスマスの暇つぶしにでもどうぞ。
悲鳴じゃない。これは歌だ。
羽黒 楓
ライト文芸
十五歳の〝私〟は死に場所を求めて家出した。
都会の駅前、世界のすべてを呪う〝私〟はしかし、このとき一人の女性と出会う。
彼女は言った。
「あんた、死んだ私の知り合いに似てる――」
そこから始まる、一人の天才ロックシンガーの誕生譚。
夢見るディナータイム
あろまりん
ライト文芸
いらっしゃいませ。
ここは小さなレストラン。
きっと貴方をご満足させられる1品に出会えることでしょう。
『理想の場所』へようこそ!
******************
『第3回ライト文芸大賞』にて『読者賞』をいただきました!
皆様が読んでくれたおかげです!ありがとうございます😊
こちらの作品は、かつて二次創作として自サイトにてアップしていた作品を改稿したものとなります。
無断転載・複写はお断りいたします。
更新日は5日おきになります。
こちらは完結しておりますので、最後までお付き合いいただければ幸いです。
とりあえず、最終話は50皿目となります。
その後、SSを3話載せております。
楽しんで読んでいただければと思います😤
表紙はフリー素材よりいただいております。
秘花~王太子の秘密と宿命の皇女~
めぐみ
BL
☆俺はお前を何度も抱き、俺なしではいられぬ淫らな身体にする。宿命という名の数奇な運命に翻弄される王子達☆
―俺はそなたを玩具だと思ったことはなかった。ただ、そなたの身体は俺のものだ。俺はそなたを何度でも抱き、俺なしではいられないような淫らな身体にする。抱き潰すくらいに抱けば、そなたもあの宦官のことなど思い出しもしなくなる。―
モンゴル大帝国の皇帝を祖父に持ちモンゴル帝国直系の皇女を生母として生まれた彼は、生まれながらの高麗の王太子だった。
だが、そんな王太子の運命を激変させる出来事が起こった。
そう、あの「秘密」が表に出るまでは。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる