上 下
38 / 54
近所を散策(シーサーを探そう)

シーサーを発見

しおりを挟む
 とりあえずは、近所のシーサーでも見て歩こうということになった。

 自転車を押しながらわたしと真理子は歩く。汗もようやく乾き、Tシャツに少し残った汗がひんやりと冷たい。


 「見てみて、こんなところにもシーサーだよ」

 真理子が指差す方向に視線を向けると、そこにはマンションが建っていた。マンションの前にもシーサーが置いてあった。

 シーサーは、人々を悪霊や災いから守り、幸運を運んでくるのかな。

 「本当だね!」

 このあとも、シーサーを見つけては感想を真理子と言い合った。

 シーサーを発見する度に、ああ、わたしは今沖縄に居るんだなと実感した。

 ほら、こっちにもあっちにも、シーサーシーサーである。民家の門柱にも、玄関にも、屋根瓦の上にも気にして探すとシーサーだらけだ。

 それから、シーサーの顔の表情も様々だ。

 口を開けたシーサー、口を閉じているシーサー、笑っているシーサー面白いねと真理子と話していると一軒のお店が目に入った。

 お店の入り口には大きなシーサーがでーんと置いてあり、お店の前の看板には手書きで、『シーサーありま~す専門店』と書かれていた。

 「真理子どうする? 入ってみる?」

 「うん。入りたい!」

 「じゃあ、真理子お先に」

 「いえいえ、みどりちゃんに譲ります」

 「はいはい、どうせわたしに入らせるんでしょ」

 「当たり!」

 何が当たりなんだか……。

 重たい木製の扉をわたしは押した。すると、ギーギーッと音がなり扉は開いた。

 そして、扉が開いた瞬間に目に飛びこんできたのは、シーサーシーサーもう数え切れないほどのシーサーが店内を埋めつくしていた。

 「わぁ~凄いよ~」

 「なにこれ、可愛い~」

 わたし達が歓声をあげていると、お店の奥から店員さんの「いらっしゃいませ~」という声が聞こえてきた。

 それはそれは色々なシーサー達がいた。

 色鮮やかなシーサー、一色のシーサー。

 笑っているシーサー、ピースサインをしているシーサー。もう眺めているだけで楽しい。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

鎌倉古民家カフェ「かおりぎ」

水川サキ
ライト文芸
旧題」:かおりぎの庭~鎌倉薬膳カフェの出会い~ 【私にとって大切なものが、ここには満ちあふれている】 彼氏と別れて、会社が倒産。 不運に見舞われていた夏芽(なつめ)に、父親が見合いを勧めてきた。 夏芽は見合いをする前に彼が暮らしているというカフェにこっそり行ってどんな人か見てみることにしたのだが。 静かで、穏やかだけど、たしかに強い生彩を感じた。

すこやか食堂のゆかいな人々

山いい奈
ライト文芸
貧血体質で悩まされている、常盤みのり。 母親が栄養学の本を読みながらごはんを作ってくれているのを見て、みのりも興味を持った。 心を癒し、食べるもので健康になれる様な食堂を開きたい。それがみのりの目標になっていた。 短大で栄養学を学び、専門学校でお料理を学び、体調を見ながら日本料理店でのアルバイトに励み、お料理教室で技を鍛えて来た。 そしてみのりは、両親や幼なじみ、お料理教室の先生、テナントビルのオーナーの力を借りて、すこやか食堂をオープンする。 一癖も二癖もある周りの人々やお客さまに囲まれて、みのりは奮闘する。 やがて、それはみのりの家族の問題に繋がっていく。 じんわりと、だがほっこりと心暖まる物語。

まずい飯が食べたくて

森園ことり
ライト文芸
有名店の仕事を辞めて、叔父の居酒屋を手伝うようになった料理人の新(あらた)。いい転職先の話が舞い込むが、新は居酒屋の仕事に惹かれていく。気になる女性も現れて…。 ※この作品は「エブリスタ」にも投稿しています

マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました

東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。 攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる! そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。

婚約破棄されたら魔法が解けました

かな
恋愛
「クロエ・ベネット。お前との婚約は破棄する。」 それは学園の卒業パーティーでの出来事だった。……やっぱり、ダメだったんだ。周りがザワザワと騒ぎ出す中、ただ1人『クロエ・ベネット』だけは冷静に事実を受け止めていた。乙女ゲームの世界に転生してから10年。国外追放を回避する為に、そして后妃となる為に努力し続けて来たその時間が無駄になった瞬間だった。そんな彼女に追い打ちをかけるかのように、王太子であるエドワード・ホワイトは聖女を新たな婚約者とすることを発表した。その後はトントン拍子にことが運び、冤罪をかけられ、ゲームのシナリオ通り国外追放になった。そして、魔物に襲われて死ぬ。……そんな運命を辿るはずだった。 「こんなことなら、転生なんてしたくなかった。元の世界に戻りたい……」 あろうことか、最後の願いとしてそう思った瞬間に、全身が光り出したのだ。そして気がつくと、なんと前世の姿に戻っていた!しかもそれを第二王子であるアルベルトに見られていて……。 「……まさかこんなことになるなんてね。……それでどうする?あの2人復讐でもしちゃう?今の君なら、それができるよ。」 死を覚悟した絶望から転生特典を得た主人公の大逆転溺愛ラブストーリー! ※最初の5話は毎日18時に投稿、それ以降は毎週土曜日の18時に投稿する予定です

青い花の里の物語

安珠あんこ
ライト文芸
 その日、僕の住んでいた里は真っ赤に燃えていた。僕の家族も、僕の友達も、みんなみんな炎の中に消えていった……。そして僕も、みんなの待っている、炎の中へと入っていった……。僕はなんで生まれてきたんだろう。あの人に会うため?あの人を導いてこの世界を●してもらうため?里のみんなは、僕に優しくしてくれた。だけど、何故かみんな、哀しげな顔をしていたんだ。その日も、僕の住んでいる里には、青い花が咲き乱れていた。扉絵:越乃かん様

ごはんがあれば、だいじょうぶ。~美佳と瞳子のほっこり一皿~

五色ひいらぎ
ライト文芸
シェアハウスで共に暮らす、大学三年瀬川美佳(せがわみか)と、短大一年宮原瞳子(みやはらとうこ)。 美佳に嫌なことがあった日、瞳子はそっと手料理を作ってくれる。 凝った料理ではないけれど、あたたかな一皿は不思議と美佳の心を癒す。 クレーマーに遭った日も、 仲間と袂を分かった日も、 悲しい別れがあった日も、 世の理不尽に涙した日も、 きっと、おいしいごはんがあればだいじょうぶ。 ※約3万字の短編です。ほんのり百合風味の日常物語。 ※第7回ほっこり・じんわり大賞にエントリーしています。 ※表紙素材: 写真AC/チョコクロ様より https://www.photo-ac.com/main/detail/553254

処理中です...