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うわー遅刻だ

寝過ごした

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 昨日の夜は飲み過ぎて頭が痛い。目覚まし時計がジリジリッンと鳴り響く。

 真理子はいつも通りぐーすかぐーすかといびきをかき寝まくりです。これはお決まりだ。

 なんだけれど、今日はお決まりの真理子だけで済まずに……。

 「ぎゃあ~まずいよ~」

 目覚まし時計を見てわたしは、悲鳴をあげた!

 寝過ごした。どうしたみどり!! わたしが寝過ごすなんて。

 どうしよう、どうしよう~。

 今日は七時に起きる予定だった。それなのに、時計の針を見ると現在の時刻は八時三十分なのだ。

 本日のお仕事開始は、九時開始。ベッドメイキングの仕事の日なのだ。朝ご飯を食べている時間がない。

 真理子の奴を起こしに行かないとならない。どうせ寝てることでしょう。

 慌ててパジャマから服に着がえて、隣の部屋の真理子部屋の扉をドンドンと叩く。

 「真理子~起きろ~遅刻だよ~」

 扉が、がちゃりと開き寝ぼけまなこの真理子が出てきた。

 「あ、みどりちゃん。おはよう」

 「何してるの! 出勤時間まで三十分しかないよ~」

 「えっ、嘘~」

 真理子はまだ、パジャマ姿のままだ。

  「真理子、早くしないと遅刻だよ~と、いうか遅刻決定だね」

 「待ってよ、みどりちゃん」

 「早くしないと置いてくからね」

 なんだかわたしは真理子の母親みたいになっている。

 「あ~あ~っ!」と真理子が大きな声を上げた。

 「どうしたの?」

 「財布がないよ」

 「そんなわけないでしょ?」と、言いながらわたしは真理子の部屋に足を踏み入れる。

 すると、ベッドの上や床に服が散乱していた。


 堆く積まれた本や服の山。なんなんだこれはと呆れてしまう。だって、ここに引っ越しをしてきてまだ数日。それなのにここまで散らかるなんてあり得ない。

 「わたしの財布何処~」

 真理子は半泣き状態だ。

 わたしは服の山をかき分ける。すると服の下から真理子の財布が出てきた。

 「あったよ」

 「あ、本当だ。良かった。落としたかもしれないって焦ってしまったよ」

 「まったくもう。でもあって良かったね。あ、遅刻だよ~」

 「みどりちゃん、朝ごはんは?」

 「アホか! 遅刻なんだよ、遅刻~」

 わたしと真理子は走る。

 寮の廊下を走り、階段を下りて、ホテルに向かい走る走る、走る。全速力で走る。もう息切れだ。

 只今の時刻は、午前八時五十分

 間に合うわけがない……。

 だって、これからホテルの更衣室に行き制服に着替えて、タイムカードを押してそれから仕事がスタートなのだから。

 それでも遅刻を最小限に押さえるために走る。まだ仕事を始めたばかりなのにこれだ。自分の不甲斐なさにがっくりする。

 スマホで時刻を確認すると、もう、八時五十二分だ。

 遅刻だよ。

 やっとホテルの従業員入口に着いた。その時、足が何かに引っかかり、バランス感覚を失う……。

 うわぁ~! わたしは、転けた。

 痛いよ……!!
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