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ああげっそり真理子

ちょっとどうしたの?

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 真理子はしゃがみこみ丸まっていた体を起こして、わたしの方に顔を向けた。

 「みどりちゃんを待っていたんだよ~」

 と、ぞわぞわとする虚ろな表情で真理子は言った。

 「待っていたのは分かったけど、なんで人の部屋の中に居るわけ?」

 「だって~みどりちゃん帰ってきてるかな? と思って、ノックしたんだけど返事がなかったからドアノブを回してみたんだ。そしたら開いたの」

 なんで、開いたからって勝手に人の部屋の中にお邪魔しているんだ。

  なんて言い訳なんだろ……。真理子らしいと、いえば真理子らしいけれど。

  「呆れた」

 「ごめんね。みどりちゃん。だけど、わたし早くみどりちゃんに会いたくて……」

 半泣き顔の真理子の表情を見ると、これ以上責めることなどできなかった。

 「どうしちゃたの? あれから真中さんに何か言われた? 心配していたんだよ」

 「うん。あんたはやる気があるのとか、鈍くさい、どうやって育てられたんだとか親の悪口まで言われたんだよ!」

 「なにそれ! 酷い真中さん! 真理子が鈍くさいのは分かるけど」

 「みどりちゃん、一言多い」

 と言って真理子は笑った。

 真理子に笑顔が出てきて良かった。

 真理子の話によると、真中さんは散々お説教をしたあと、掃除道具を真理子に突きつけ、そのまま出ていってしまったらしい。

  「真理子も大変だったのね」

 と、わたしは真理子に慰めの言葉をかけた。

 「うん。あの人最悪だよー」

 「だよね。それで風呂場の掃除はちゃんと出来たの?」

 「う~ん、それが……真中さんは何も教えてくれないから、洗い場にホースの水を適当にまいて、浴槽も適当に洗ったんだよ! そしたら……」

 「そしたら、どうしたの?」

 「暫くしてから真中さんが大浴場に戻ってきて、梅木さーん! あなたは風呂場掃除もまともに出来ないのですかーって言って恐い顔をするんだよ」

 真理子は真中さんの顔真似をして目を吊り上げている。

 その表情は面白くて笑えたけれど、真理子あなたはやっぱり風呂場掃除もできなかったのね……。

 笑っていいのか悪いのか複雑な気持ちになった。
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