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猫助の前世は……
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「羨ましいよ~俺の前世は誰だったのかなって時々考えてしまうもんね」
俺が前世での記憶の中をぼんやり彷徨っていると猫助がクッキーをぽりぽり食べながら言った。
「それにしても猫助は食いしん坊だよな。お前の前世は貧しい家庭で育った猫なんじゃねえの?」
「えっ!? 何でだよ」
猫助は口の周りにクッキーの食べかすをたくさんくっつけて抗議をする。
「あはは、猫助の前世は飢えた猫だよ」
「ちょっと、猫太ってば酷いよ~」
そう言いながら猫助はクッキーをぽりぽり食べる。
「飢えた猫は冗談だけど、食べ物と関係があったりするかもね。料理人とかさ」
俺は猫助の美味しそうにクッキーを食べるその姿を眺めながら言った。
「そっかな? まあ、俺は食べることが一番好きだけどね。料理人ってなんだか格好いいな」
「料理人そうだね。それより口拭いた方がいいよ。口の周りにクッキーの食べかすがくっついているぞ」
「えっ! それは大変だ~」
慌てて猫助は肉球のある可愛らしい手を舌でペロペロと舐め頬やおでこをその手で丁寧にこすり洗った。
「猫助って綺麗好きなのに食べ方が汚ないんだよね」
俺は、可笑しくてクスクスと笑ってしまった。俺の親友は可愛くて面白い奴だなと改めて思った。
「食べ方が汚なくて悪かったな。あ、猫太もクッキー食べるかい?」
猫助はクッキーを差し出した。
「ありがとう。食べるよ」
俺は差し出されたクッキーに手を伸ばした。クッキーを口に運ぶとほんのりと甘い香りがした。
その時、
「猫太君に猫助君~」
にゃんぴが制服の裾を翻しこちらに向かってきた。
俺が前世での記憶の中をぼんやり彷徨っていると猫助がクッキーをぽりぽり食べながら言った。
「それにしても猫助は食いしん坊だよな。お前の前世は貧しい家庭で育った猫なんじゃねえの?」
「えっ!? 何でだよ」
猫助は口の周りにクッキーの食べかすをたくさんくっつけて抗議をする。
「あはは、猫助の前世は飢えた猫だよ」
「ちょっと、猫太ってば酷いよ~」
そう言いながら猫助はクッキーをぽりぽり食べる。
「飢えた猫は冗談だけど、食べ物と関係があったりするかもね。料理人とかさ」
俺は猫助の美味しそうにクッキーを食べるその姿を眺めながら言った。
「そっかな? まあ、俺は食べることが一番好きだけどね。料理人ってなんだか格好いいな」
「料理人そうだね。それより口拭いた方がいいよ。口の周りにクッキーの食べかすがくっついているぞ」
「えっ! それは大変だ~」
慌てて猫助は肉球のある可愛らしい手を舌でペロペロと舐め頬やおでこをその手で丁寧にこすり洗った。
「猫助って綺麗好きなのに食べ方が汚ないんだよね」
俺は、可笑しくてクスクスと笑ってしまった。俺の親友は可愛くて面白い奴だなと改めて思った。
「食べ方が汚なくて悪かったな。あ、猫太もクッキー食べるかい?」
猫助はクッキーを差し出した。
「ありがとう。食べるよ」
俺は差し出されたクッキーに手を伸ばした。クッキーを口に運ぶとほんのりと甘い香りがした。
その時、
「猫太君に猫助君~」
にゃんぴが制服の裾を翻しこちらに向かってきた。
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