52 / 97
華夜ちゃんと神社へ
華夜ちゃんもびっくりした
しおりを挟む
「華夜ちゃん、落ち着いた?」
わたしはペットボトルの水を拝殿の石段に腰をかけている華夜ちゃんに手渡しながら尋ねた。
華夜ちゃんはペットボトルの水をゴクゴクと飲んだ。
「うん、奈夜ちゃん、もう大丈夫だよ。ありがとう。でも、びっくりしたよ~」
「本当にびっくりするよね。お金を舐める神様なんてね」
「この神社の神様は変わっているね」
「わたしもそう思うよ」
だけど、あの変わり者の神様のおかげで今、華夜ちゃんとこうして石段に座り話をすることができているんだなと思うと感謝の気持ちでいっぱいになる。
「おい、君達、俺の噂をしてるのかね」
神様がわたし達を見下ろし頬を膨らませている。
「だって、お金を舐める神様なんて珍しいんだもん」
「そうかね? 奈夜ちゃん。神様はみんなお金が大好きだと思うぞ」
神様は首を横に傾げながらわたしの右隣に腰を下ろした。
「他の神様は違うと思いますよ」
「う~ん、そうかな? お金は美味しいのにな」
「あはは、神様って面白いね」
華夜ちゃんがふふっと手を叩いて笑った。
「華夜ちゃん笑うんじゃないぞ」
神様は面白くなさそうな声を出した。
なんだかそれがまた可笑しくて思わずわたしは笑ってしまった。この神社の神様は面白いよ。
「あははっ、可笑しかった~」
華夜ちゃんは可笑しくて笑い泣きしてながれた涙を手の甲で拭いペットボトルの水をゴクゴクと飲んだ。
「華夜ちゃんって笑い上戸なんだね」
「そっかな? あはは、そう言う奈夜ちゃんも笑ってるね」
「あ、あはは、わたしも笑ってるね」そう言ってわたしと華夜ちゃんは顔を見合わせて笑った。
「おいおい、二人とも笑うんじゃないぞ」
神様はわたしと華夜ちゃんをギロリと睨んだ。
「でもね、神様のおかげでこうして奈夜ちゃんと話せているんだもんね。感謝だね」
華夜ちゃんは空を見上げて言った。
「うん、神様のおかげだね」と答えわたしも空を見上げた。空はオレンジ色に染まっていてとても綺麗だった。
「わたし、奈夜ちゃんは人と話をするのが好きじゃないと思っていたんだ。でもそうじゃないみたいだね?」
華夜ちゃんはそう言ってわたしの顔を見た。
「う、うん。わたし、人に自分がどう思われるかなとか気になってうまく話せないんだ……こんなこと言ったら嫌われちゃうかな? とかいろいろ考えてしまって……でも本当はみんなと仲良くしたいと思っているよ」
なぜだか華夜ちゃんにだったら自分の本当の気持ちを話しても大丈夫だと思った。
わたしはペットボトルの水を拝殿の石段に腰をかけている華夜ちゃんに手渡しながら尋ねた。
華夜ちゃんはペットボトルの水をゴクゴクと飲んだ。
「うん、奈夜ちゃん、もう大丈夫だよ。ありがとう。でも、びっくりしたよ~」
「本当にびっくりするよね。お金を舐める神様なんてね」
「この神社の神様は変わっているね」
「わたしもそう思うよ」
だけど、あの変わり者の神様のおかげで今、華夜ちゃんとこうして石段に座り話をすることができているんだなと思うと感謝の気持ちでいっぱいになる。
「おい、君達、俺の噂をしてるのかね」
神様がわたし達を見下ろし頬を膨らませている。
「だって、お金を舐める神様なんて珍しいんだもん」
「そうかね? 奈夜ちゃん。神様はみんなお金が大好きだと思うぞ」
神様は首を横に傾げながらわたしの右隣に腰を下ろした。
「他の神様は違うと思いますよ」
「う~ん、そうかな? お金は美味しいのにな」
「あはは、神様って面白いね」
華夜ちゃんがふふっと手を叩いて笑った。
「華夜ちゃん笑うんじゃないぞ」
神様は面白くなさそうな声を出した。
なんだかそれがまた可笑しくて思わずわたしは笑ってしまった。この神社の神様は面白いよ。
「あははっ、可笑しかった~」
華夜ちゃんは可笑しくて笑い泣きしてながれた涙を手の甲で拭いペットボトルの水をゴクゴクと飲んだ。
「華夜ちゃんって笑い上戸なんだね」
「そっかな? あはは、そう言う奈夜ちゃんも笑ってるね」
「あ、あはは、わたしも笑ってるね」そう言ってわたしと華夜ちゃんは顔を見合わせて笑った。
「おいおい、二人とも笑うんじゃないぞ」
神様はわたしと華夜ちゃんをギロリと睨んだ。
「でもね、神様のおかげでこうして奈夜ちゃんと話せているんだもんね。感謝だね」
華夜ちゃんは空を見上げて言った。
「うん、神様のおかげだね」と答えわたしも空を見上げた。空はオレンジ色に染まっていてとても綺麗だった。
「わたし、奈夜ちゃんは人と話をするのが好きじゃないと思っていたんだ。でもそうじゃないみたいだね?」
華夜ちゃんはそう言ってわたしの顔を見た。
「う、うん。わたし、人に自分がどう思われるかなとか気になってうまく話せないんだ……こんなこと言ったら嫌われちゃうかな? とかいろいろ考えてしまって……でも本当はみんなと仲良くしたいと思っているよ」
なぜだか華夜ちゃんにだったら自分の本当の気持ちを話しても大丈夫だと思った。
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
どうかわたしのお兄ちゃんを生き返らせて
なかじまあゆこ
児童書・童話
最悪な結末が……。
わたしの大好きなお兄ちゃんは、もうこの世にいない。
大好きだった死んだお兄ちゃんに戻ってきてもらいたくて、史砂(ふみさ)は展望台の下で毎日、「お兄ちゃんが戻ってきますように」と祈っている。そんな時、真っ白な人影を見た史砂。
それから暫くすると史砂の耳に悪魔の囁き声が聞こえてきて「お前のお兄ちゃんを生き返らせてほしいのであれば友達を犠牲にしろ」と言うのだけど。史砂は戸惑いを隠せない。
黒いカラスが史砂を襲う。その理由は? 本当は何が隠されているのかもしれない。どんどん迫り来る恐怖。そして、涙……。
最後まで読んでもらえると分かる内容になっています。どんでん返しがあるかもしれないです。
兄妹愛のホラーヒューマンそしてカラスが恐ろしい恐怖です。よろしくお願いします(^-^)/
わたし雑草がぼうぼうと生えているおばあちゃんの家にお邪魔します!(猫と不思議な生き物が住みついています)
なかじまあゆこ
児童書・童話
猫好きな小鳥浜ことりが最近気になるのは雑草がぼうぼうに生えているおばあちゃんの家だ。
その家に大好きな猫が通っているのを見かけめちゃくちゃ興味を持っていた。
そんなある日、猫と遊んでいると、その家に住むおばあちゃんに声を掛けられて。
小鳥浜ことり小学五年生と幼なじみの紫美紀香と町田結太におばあちゃんと猫。それからちょっと不思議なあやかしの物語です。
よろしくお願いします(^^)/
忠犬ハジッコ
SoftCareer
児童書・童話
もうすぐ天寿を全うするはずだった老犬ハジッコでしたが、飼い主である高校生・澄子の魂が、偶然出会った付喪神(つくもがみ)の「夜桜」に抜き去られてしまいます。
「夜桜」と戦い力尽きたハジッコの魂は、犬の転生神によって、抜け殻になってしまった澄子の身体に転生し、奪われた澄子の魂を取り戻すべく、仲間達の力を借りながら奮闘努力する……というお話です。
※今まで、オトナ向けの小説ばかり書いておりましたが、
今回は中学生位を読者対象と想定してチャレンジしてみました。
お楽しみいただければうれしいです。
しずかのうみで
村井なお
児童書・童話
小学五年生の双子姉弟がつむぐ神道系ファンタジー。
春休みの始まる前の日、息長しずかは神気を見る力に目覚めた。 しずかは双子の弟・のどかと二人、琵琶湖のほとりに立つ姫神神社へと連れて行かれる。 そして叔母・息長みちるのもと、二人は神仕えとしての修行を始めることになるのだった。
猫のお菓子屋さん
水玉猫
絵本
クマのパン屋さんのおとなりに、猫のお菓子屋さんができました。
毎日、いろんな猫さんが、代わる代わるに、お店番。
お店番の猫さんが、それぞれ自慢のお菓子を用意します。
だから、毎日お菓子が変わります。
今日は、どんなお菓子があるのかな?
猫さんたちの美味しい掌編集。
ちょっぴり、シュールなお菓子が並ぶことも、ありますよ。
顔見知りの猫さんがお当番の日は、是非是非、のぞいてみてください!
児童絵本館のオオカミ
火隆丸
児童書・童話
閉鎖した児童絵本館に放置されたオオカミの着ぐるみが語る、数々の思い出。ボロボロの着ぐるみの中には、たくさんの人の想いが詰まっています。着ぐるみと人との間に生まれた、切なくも美しい物語です。
極甘独占欲持ち王子様は、優しくて甘すぎて。
猫菜こん
児童書・童話
私は人より目立たずに、ひっそりと生きていたい。
だから大きな伊達眼鏡で、毎日を静かに過ごしていたのに――……。
「それじゃあこの子は、俺がもらうよ。」
優しく引き寄せられ、“王子様”の腕の中に閉じ込められ。
……これは一体どういう状況なんですか!?
静かな場所が好きで大人しめな地味子ちゃん
できるだけ目立たないように過ごしたい
湖宮結衣(こみやゆい)
×
文武両道な学園の王子様
実は、好きな子を誰よりも独り占めしたがり……?
氷堂秦斗(ひょうどうかなと)
最初は【仮】のはずだった。
「結衣さん……って呼んでもいい?
だから、俺のことも名前で呼んでほしいな。」
「さっきので嫉妬したから、ちょっとだけ抱きしめられてて。」
「俺は前から結衣さんのことが好きだったし、
今もどうしようもないくらい好きなんだ。」
……でもいつの間にか、どうしようもないくらい溺れていた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる