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わたしと里美
全ての中心は里美
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夕食の席で里美はお母さんに、
『聞いて聞いて、未央ちゃんが巾着を縫ってくれたのほらこれ可愛いでしょう?』と言った。
お母さんは里美からわたしが縫った巾着を受け取り、『あらまあ、可愛いわね。良かったわね。里美ちゃん』と里美の顔を見て微笑みを浮かべた。
『うん、お母さん』
なんだろ? この疎外感。お母さんにとってきっと里美が中心なんだと思った。
わたしが縫い縫いしてあげたことや、わたしが可愛らしい巾着を作ったことよりも、里美が可愛らしい巾着をもらったことがお母さんにとっては重要なんだ。きっとそうなんだ。
わたしなんて、いらない子なんだ。
わたしと里美とすみれ、京香ちゃん、花音ちゃん、春花ちゃん、太郎君の七人は仲良しだった。
家もある程度近かったのと、幼稚園からずっと一緒だったのでいつもつるんでいた。太郎君だけ男の子だったけれど、誰も気にすることなく遊んでいたし太郎君本人もまったく気にする様子はなかったのだ。
学校の校庭のブランコやジャングルジムで遊んだり、公園で遊んだり放課後を楽しく過ごしていたのだ。
だけど、何となくだけど、この五人もわたしよりも里美のことが好きなようだった。
里美が風邪で休んだ時なんて、とてもつまらなさそうにした。わたしがいるのに。
みんな里美のことが大好きで、わたしはどうでもいい子のようだった。
里美が休んだ時に、里美ちゃん大丈夫とみんながお見舞いに来たことがあった。だけどわたしが休んだ時は来なかった。ううん。来てくれたこともあったかもしれない。
ただのわたしの思い違いかもしれないけれど、わたしはだんだん卑屈で嫌な子になっていたのだった。
そして、そんな自分のことも嫌いになった。どうしてわたしはこんなに思いやりのない子なんだろうと自分自身に呆れたりもした。
これがわたしの里美の小学校時代の思い出なのかな。なんだか哀しくて辛い……。
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