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あの子の影に怯えて
みんな
しおりを挟む春花ちゃんとおしゃべりをしていると、続々と元同級生の皆がやって来た。
すみれに、京香ちゃんは眠そうな顔をしている。太郎はあくびをしながら寝癖のついたままの髪型でやって来た。だらしない。
食堂は一気に賑やかになった。わたしの幽霊騒動は明るい皆のお陰で少しは忘れることができた。だけど、夜になるとどうなることやら。
「おっはよ~」
花音ちゃんもやって来た。
「なんかさー、凄く雪がどっさり積もっているよ」
花音ちゃんは、ポテトチップスの袋を手に持ち、バリバリ食べながら言った。
これから朝食だというのにポテトチップスってどれだけ食べるんだ。
それはそうと、わたしは昨日の夜の出来事で頭がいっぱいになり、窓の外を見る余裕もなかった。確か、日差しがカーテンの隙間から届いていたと思うけれど、昨夜のうちに降り積もったのかな。
観光とかできるのかな?
わたしは気になり、窓の外を確認した。すると、窓の外に見えるその世界は凄まじい雪一面の銀世界が広がっていた。
凄い積雪量だ。絶対に一メートルは越えている。いや、一メートルではきかないと思う。建物が雪で埋もれてしまいそうだよ。
「花音ちゃん、凄いよ雪」
わたしは、花音ちゃんの方を振り返り言った。
「ね、凄いでしょ。雪遊びしようよ」
花音ちゃんはポテトチップスの袋を手に持ち、子供のような無邪気な笑顔で微笑んだのだ。
皆で和やかに朝食タイムを過ごした。花音ちゃんは食パンにベッタリとイチゴジャムを塗りまくりおかずも大量に食べていた。小脇にポテトチップスを置いて。
すみれも、京香ちゃんも太郎も皆が笑顔で食事を終えた。
そして、花音ちゃんの提案通り午後からは雪遊びをすることにした。一旦皆それぞれの部屋に戻り雪遊びの準備開始だ。
楽しく、皆と笑いあっていると、あの子の『未央ちゃん』と囁く声が夢の世界の出来事に思えてきた。
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