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始まり

バスから見えた雪景色と不気味な女性

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それからもバスは走り続ける。バスの窓から見える景色さ真っ白な世界。外は寒そうだな。わたしは、流れていく景色をぼんやりと眺めていた。

そうだ、旅行に行くとさわちゃんに話したら、さわちゃんが『お土産買ってきてね』って言ってたのを思い出した。だけど、お土産屋さんなんてなさそうだ。

特に何も考えないで旅行に行くことにしたけれど、観光するところもないかもね。

まあ、この自然に癒されるかな。

なんて、ぼんやり考えていると、流れる白い世界の隙間に人影が見えたような気がした。

やっぱり人だ。

こんな雪の中で何をしているのかな?

黒い長い髪、女性みたいだ。でも変だな?  と思った。

だって、上着も着てない。


  
何故?

わたしは、もう一度目凝らす、黒い長い髪の女性はやっぱり薄着で立っている。

そして、しゅっと消えた!

まるで、早送りされたかのように。

え、え!?  消えた!!!

嘘でしょう?

そんなことってないよね。きっと、あれだ、バスから見えたのだから通りすぎただけだろう。

そう、絶対にそうだよ。

隣に座る京香ちゃんをチラリと確認すると、読書中だ。通路を挟んで座るすみれは、お菓子を食べている。


  今のは見間違いだよ。うん、きっとそうだよ。人が消えたなんて二人に話すと絶対に笑われる。未央ちゃん、頭が変になったんじゃないのって笑われ呆れられるのがオチだ。

絶対に見間違いだからと自分に言い聞かせるわたし。こうでもしないと、頭がおかしくなりそうだ。



「未央ちゃん~未央ちゃん~」

とわたしを揺する京香ちゃんの声で目が覚めた。

わたしは、いつの間にか眠っていたようだ。


  
そして、わたし達三人はバスから降りた。雪がかなり降っていて木々に雪が積もり、目の前の田んぼにも雪がどっさり積もっている。
  辺り一面真っ白な雪景色。

もう、これは寒いなんてもんじゃない。殺人的な寒さだ。

「寒いぞ~」とわたし。

「寒くて凍えそうだ~」と京香ちゃん。

「あははっ、さむーい」とすみれ。

東京育ちのわたし達には辛すぎる寒さだった。
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