捨てられたもふもふなわたしは異世界で意地悪な悪役令嬢？になっていました(だけどそんなの嫌)やっぱりゆっくり楽しく過ごしたいです

ニャンリーとニッコリ

好発進

　わたしが嬉しくって頬を緩め笑っていると、「ニャンリーお嬢様良かったですね」、「ニャンリーお嬢様早速お友達ができたようですね」とわたしの耳元に口を近づけ小声でリリーナとジャックが言った。

「うん、良かった」

　わたしは二人に微笑み返す。

「ニャンリーちゃんね。猫みたいな可愛らしい名前だね」

「ほんとだ、にゃん語を話すニャンリーちゃんだね」

　ニッコリとコアーナがわたしに顔を近づけ微笑みを浮かべている。

「にゃはは、そうなのよ、名前に合わせてにゃん語使っているんだよ」

　くふふ、これで良し、だよね。

「さあ、ニャンリーちゃん教室に行こう」とニッコリとコアーナが声を揃えて言い、わたしの右腕にニッコリが左腕にコアーナが腕を組んでくる。

　これってなんだか親友みたいな感じだよ。あのノートに書かれていた牢屋行きや、りりこちゃんとほとりちゃんのマンガに出てくる意地悪な悪役令嬢は何かの間違いであるような気がしてきた。

　だって、わたしとニッコリは友達になったんだもんね。きっと、そうだよと考えながらわたしはニッコリの横顔をチラリと見る。

　その横顔は心からの笑顔に見えた。

「ニャンリーお嬢様気をつけていってらっしゃいませ～」とリリーナとジャックが手を振りわたしを見送ってくれた。

わたしは振り返り「は～い」と微笑みを浮かべる。

　取りあえず好発進だと胸を撫で下ろした。