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始まり わたしは捨てられた美猫です

わたし捨てられていないよね

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 わたし捨てられたのかにゃ? 周りをキョロキョロと見回すけれど、りりこちゃんもほとりちゃんもいないにゃ。

 一時間くらい待ったけれど誰もわたしのことを迎えに来ない。りりこちゃんもほとりちゃんもそれから二人のお父さんとお母さんもだ。

 わたしはひとりぼっちになったのかな? どうして? いつもにゃーん、にゃーんと鳴いて猫なのに愛嬌をふりまいていたというのに。

 ツンツンしているのも猫らしくて可愛らしいと思うけれど、わたしはにゃーん、にゃーんと鳴きサービス精神旺盛な猫だった。

 努力も猫なりにしていたのにこんなに悲しい結末があるなんて信じられない。

 きっと、迎えに来てくれる。わたしを捨てるなんてそんなはずがない。だって、りりこちゃんもほとりちゃんもわたしのことを宝物だよと言っていたのだから。

「にゃーはわたし達の宝物だよって言ってたんだからにゃん」とわたしは大きな声を上げた。

 きっと、人間にはにゃーんと鳴いているようにしか聞こえないだろう。でもね、わたしは人間の言葉をちゃんと理解しているのだ。

「りりこちゃん、ほとりちゃん、わたしはここにいるよ」

 わたしはにゃーにゃーんと鳴きながら橋の上から下を見下ろす。すると、青く透き通る綺麗な川が流れていた。

 そうなのだ。わたしは橋の上に取り残されたのだ。りりこちゃん、ほとりちゃん、わたしを早く迎えに来て。お腹が空いたよ。そろそろごはんの時間だよ。

 わたしは橋の上でにゃーにゃーと鳴きながらりりこちゃんとほとりちゃんを待ち続けた。それなのに待てど暮らせど二人は姿を見せなかった。

 気がつくと太陽が沈みきり空が真っ暗になっていた。ひとりぼっちで怖いよ。誰か助けてにゃん。

「りりこちゃん、ほとりちゃん助けてにゃん」

 わたしはにゃんにゃん鳴き叫んだ。それなのに……。りりこちゃんとほとりちゃんの返事はなかった。

 わたし捨てられていないよね?

 誰かそうだと言ってにゃん!
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