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英美利ちゃんは好きだけど嫌い
5 お茶会とそれから
しおりを挟むわたしは、何でもかんでもお姉ちゃんに結びつけてしまう。駄目だ、これは悪い癖だ。
わたしは、バタークッキーのまろやかな美味しさだけを味わおうと努力をした。お姉ちゃんのことなんて思い出さないよ。お姉ちゃんのことなんて思い出さないよと、心の中で呪文のように何回も唱えた。
その成果があったのかバタークッキーは美味しくて気がつくと何枚も食べていた。ピーチティーも香りがよくて幸せだ。
「ふふっ、葉月ちゃんってばクッキー好きなんだね?」
わたしは、英美利ちゃんのその声で我に返った。
「あっ、ごめんなさい! あまりに美味しくてたくさん食べてしまったよ」
わたしは、慌てて頭を下げた。
「どうして謝るのかな? 好きなだけ食べてね。葉月ちゃんって意外と食いしん坊だね。たくさん食べてもらえると嬉しいよ」
英美利ちゃんは、可笑しそうに笑った。
「あ、うん。では、お言葉に甘えて」
わたしは、バタークッキーをたらふく食べた。
ケーキやバタークッキーをたらふく食べた後は、軽くストレッチをした。
それも、英美利ちゃんが「さあ、食後の運動をするわよ」と言うものだから従うしかない。
「英美利様とご一緒に運動が出来るなんて雪本は幸せでございます」
雪本さんは満面の笑みを浮かべメイド服からスポーツウェアに着替えた。
「さあ、葉月ちゃんもスポーツウェアに着替えるのよ。わたしのスポーツウェアを貸してあげるわよ」
お断りしたいのにできなくてわたしもスポーツウェアに着替えた。
英美利ちゃんはやっぱり女優なのでピンク色のスポーツウェア姿も可愛らしくて格好いい。
わたしはオレンジ色のスポーツウェアを借りて着た。そして、雪本さんは黄色のスポーツウェアだ。
「さあ、ウォーキングに行くわよ」
英美利ちゃんは、明るい声で玄関の扉を開いた。
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