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運命が動く
懐かしい笑顔
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「あ、はい……ごめんなさい。気安く英美利ちゃんなんて呼んでしまって」
わたしはチラリと英美利ちゃんの美しい目を見て言った。
「ううん、英美利ちゃんでいいよ。それより、葉月ちゃん久しぶりだね」
英美利ちゃんはにっこりと天使のような微笑みを浮かべた。相変わらずうっとりするような美しさだ。
「何年ぶりでしょうか?」
「う~ん、わたしがアイドルになってからは町ですれ違ったくらいだったかな? もう何年もまともに話してないね」
英美利ちゃんは顎に人差し指を当ててうーんと考えるポーズを取る。その姿は女優だけありまるで映画の中の一コマのように見えた。
そんな英美利ちゃんを綺麗だなと惚れ惚れしながらじーと見ていると、
「浜本~お茶の用意をお願い~早く~」と扉に向かって英美利ちゃんは叫んだ。
「なんだよ、英美利うるさいな。なんで俺がお茶を淹れなきゃないけないんだよ」
浜本と呼ばれた三十代半ばくらいの男性が嫌そうな顔をして部屋に入ってきた。
「葉月ちゃんにお茶を淹れてあげてよ」
「あーん、あ、どうも英美利のマネージャーの浜本です」
浜本さんは、わたしに気づきぺこりと頭を下げた。
わたしも慌ててぺこりと頭を下げ、「はじめまして、成田葉月です。わたしがお茶を淹れます。お手伝いさんの仕事で来ましたし」と言った。
「葉月ちゃん、いいのよ。今日は、仕事の説明だけで来てもらったんだから。浜本~早くお茶を淹れてよ!」
英美利ちゃんは、わたしに天使の微笑みを向け、浜本さんを急かす。
「英美利分かったよ。淹れたらいいんだろ。いつも偉そうなその態度がムカつくんだよ」
「美人なわたしがお願いしているのよ。さっさとしなさいよ」
英美利ちゃんは腰に手を当ててふんぞり返る。
「はい、はい。英美利様。美人なのも今だけだぞ。そのうちしわくちゃのババアになるんだよ」
浜本さんは、ふんっと鼻息を荒くしてドスンドスンと大股で歩き部屋を出て行った。
「しわくちゃのババアになるんだよってなんて失礼な奴なのよ! あ、葉月ちゃん、座って」
英美利ちゃんは、キッと目を三角にしてそれからソファーを指差しわたしに座るように勧めた。
「浜本は本当に頭にくるよ。このわたしにあんなことを言うなんてね」
「いつも浜本さんはあんな感じなんですか?」
わたしは勧められたソファに座りながら言った。ソファは柔らかくて座り心地がとても良かった。これはきっと高級な素材を使っているな。ふかふかだもん。
「うん、そうだよ。わたしを馬鹿にして頭にくるよ。あ、葉月ちゃん敬語なんて使わなくていいからね。学生時代の頃の話し方でいいからね」
英美利ちゃんは花のような笑顔を浮かべて言った。
「あ、はい。うん、じゃあ、お言葉に甘えて……」
わたしもにっこり笑った。
「浜本のことは脇に置いといて、久しぶりだから仕事の話をする前に昔話でもしようよ」
「……あ、うん」
昔話か……。あまり思い出したくないこともあるけれど。英美利ちゃんはどう思っているのだろうか。
「でも、葉月ちゃんが元気そうで良かった。たまにね葉月ちゃんどうしてるかなって思い出すこともあったんだよ」
英美利ちゃんは女優の顔からわたしのよく知っている学生時代の懐かしい表情に戻る。
「本当に……思い出してくれたりしていたの? わたしはテレビで英美利ちゃんをよく見かけていてコメディ女優として活躍していて凄いなと思っていたよ」
「あははっ、コメディ女優って……わたしはコメディ女優なんかじゃなくてこの美しい顔が活かせる絶世の美女役をやりたかったのに人生って思った通りにならないよね」
英美利ちゃんは、ふぅーと息を吐いた。
相変わらず英美利ちゃんは自分に自信があって羨ましいなと思う。まあ、これだけの美女だとそうなるのかもしれないけれど。
「それがね、浜本の奴がコメディ作品の仕事ばかり取ってくるんだよ。マネージャー失格だよね」
英美利ちゃんは鼻息を荒くして言った。
「そうなんだ。でも大活躍してるからいいじゃない」と、わたしが言ったところで扉がガチャリと開いた。
浜本さんがお盆にティーカップを載せて立っていた。
わたしはチラリと英美利ちゃんの美しい目を見て言った。
「ううん、英美利ちゃんでいいよ。それより、葉月ちゃん久しぶりだね」
英美利ちゃんはにっこりと天使のような微笑みを浮かべた。相変わらずうっとりするような美しさだ。
「何年ぶりでしょうか?」
「う~ん、わたしがアイドルになってからは町ですれ違ったくらいだったかな? もう何年もまともに話してないね」
英美利ちゃんは顎に人差し指を当ててうーんと考えるポーズを取る。その姿は女優だけありまるで映画の中の一コマのように見えた。
そんな英美利ちゃんを綺麗だなと惚れ惚れしながらじーと見ていると、
「浜本~お茶の用意をお願い~早く~」と扉に向かって英美利ちゃんは叫んだ。
「なんだよ、英美利うるさいな。なんで俺がお茶を淹れなきゃないけないんだよ」
浜本と呼ばれた三十代半ばくらいの男性が嫌そうな顔をして部屋に入ってきた。
「葉月ちゃんにお茶を淹れてあげてよ」
「あーん、あ、どうも英美利のマネージャーの浜本です」
浜本さんは、わたしに気づきぺこりと頭を下げた。
わたしも慌ててぺこりと頭を下げ、「はじめまして、成田葉月です。わたしがお茶を淹れます。お手伝いさんの仕事で来ましたし」と言った。
「葉月ちゃん、いいのよ。今日は、仕事の説明だけで来てもらったんだから。浜本~早くお茶を淹れてよ!」
英美利ちゃんは、わたしに天使の微笑みを向け、浜本さんを急かす。
「英美利分かったよ。淹れたらいいんだろ。いつも偉そうなその態度がムカつくんだよ」
「美人なわたしがお願いしているのよ。さっさとしなさいよ」
英美利ちゃんは腰に手を当ててふんぞり返る。
「はい、はい。英美利様。美人なのも今だけだぞ。そのうちしわくちゃのババアになるんだよ」
浜本さんは、ふんっと鼻息を荒くしてドスンドスンと大股で歩き部屋を出て行った。
「しわくちゃのババアになるんだよってなんて失礼な奴なのよ! あ、葉月ちゃん、座って」
英美利ちゃんは、キッと目を三角にしてそれからソファーを指差しわたしに座るように勧めた。
「浜本は本当に頭にくるよ。このわたしにあんなことを言うなんてね」
「いつも浜本さんはあんな感じなんですか?」
わたしは勧められたソファに座りながら言った。ソファは柔らかくて座り心地がとても良かった。これはきっと高級な素材を使っているな。ふかふかだもん。
「うん、そうだよ。わたしを馬鹿にして頭にくるよ。あ、葉月ちゃん敬語なんて使わなくていいからね。学生時代の頃の話し方でいいからね」
英美利ちゃんは花のような笑顔を浮かべて言った。
「あ、はい。うん、じゃあ、お言葉に甘えて……」
わたしもにっこり笑った。
「浜本のことは脇に置いといて、久しぶりだから仕事の話をする前に昔話でもしようよ」
「……あ、うん」
昔話か……。あまり思い出したくないこともあるけれど。英美利ちゃんはどう思っているのだろうか。
「でも、葉月ちゃんが元気そうで良かった。たまにね葉月ちゃんどうしてるかなって思い出すこともあったんだよ」
英美利ちゃんは女優の顔からわたしのよく知っている学生時代の懐かしい表情に戻る。
「本当に……思い出してくれたりしていたの? わたしはテレビで英美利ちゃんをよく見かけていてコメディ女優として活躍していて凄いなと思っていたよ」
「あははっ、コメディ女優って……わたしはコメディ女優なんかじゃなくてこの美しい顔が活かせる絶世の美女役をやりたかったのに人生って思った通りにならないよね」
英美利ちゃんは、ふぅーと息を吐いた。
相変わらず英美利ちゃんは自分に自信があって羨ましいなと思う。まあ、これだけの美女だとそうなるのかもしれないけれど。
「それがね、浜本の奴がコメディ作品の仕事ばかり取ってくるんだよ。マネージャー失格だよね」
英美利ちゃんは鼻息を荒くして言った。
「そうなんだ。でも大活躍してるからいいじゃない」と、わたしが言ったところで扉がガチャリと開いた。
浜本さんがお盆にティーカップを載せて立っていた。
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