ねえ当近さんちょっとレトロだけどわたしと交換日記をしない？

怪しげな視線

交換日記

　学校から帰ると、わたしは勉強机の上に交換日記を置き早速ページを開き読んだ。

　美衣佐からの交換日記には。

　当近さん、こんばんは。

　毎日交換日記を書いたり読んだりできることをわたしは楽しく感じています。

　当近さんも楽しいなと思ってくれていたら嬉しいな。

　さてさて話は変わりますが、当近さんもアルバイトがしたいのね。

　アルバイトは楽しいこともあるけど、やっぱり大変だよ。意地悪なおばさんもいるしね。もちろん優しくて親切な人もいるけどね。

　それにわたしはアルバイトを始めたのは……。ううん、何でもないです。

　まあ、アルバイトやってみるのもいいかもね。

　それはそうと今度わたしの家に遊びに来ませんか？　

　美衣佐より。

　わたしは美衣佐の交換日記を読み終え『今度わたしの家に遊びに来ませんか？』と書かれた丸っこくて可愛らしい文字に釘付けになった。

　だって、美衣佐がわたしを家に呼んでくれたんだよ。これはもう嬉しくてたまらない。

　わたしはノートを強く握りしめてしまった。

　そして、ボールペンを手に取り返事を書こうとした。


　文字を書こうと握ったボールペンをわたしは力強く握りしめていた。

　是非、美衣佐ちゃんのお家にお邪魔したいですと書こうとしたのだけど、小学校の時以来友達の家に遊びに行ったことなんてないのだ。

　嬉しいけれど、ちょっと戸惑ってしまう。でも、やっぱり美衣佐の家に遊びに行きたいなとわたしは思った。

　どんな家に住んでいるのかなと想像するとそれだけでもうワクワクしてきた。

　薔薇の花が咲き誇る家に住んでいるのだろうか。

　そんなことを考えながらわたしはボールペンをゆっくり動かし交換日記を書いた。

　こんばんは。美衣佐ちゃんへ。

　前回も書いたけれどわたしもアルバイトをやってみたいなと思ってしまいました。自分の人生にプラスになるかもしれないし社会勉強になるかもなんてね。

　でも、やっぱり大変なんだよね。まあ、のんびり学生生活を送るのもいいかな。ゆっくり考えるね。因みに美衣佐ちゃんはどんなアルバイトをしているのですか？

　それと、美衣佐ちゃんのお家に遊びに行きたいです。誘ってくれてめちゃくちゃ嬉しいです。

　当近海代より。