異世界に召喚された俺はなぜだかゴリラに懐かれました。俺がもふもふしたいのはゴリラじゃない猫だよ（俺って最強なの？）

日本から異世界へ

2 異世界の学校

　俺はゴリーラに気づかないフリをしてリュックから教科書を取り出しペラペラと捲る。

「お～い、ナオート」
「……今日の授業の予習でもしなきゃね」
「ナオートはそんな勉強家なキャラじゃないと思うぞ」

　ほっといてくれ。たった今から勉強家なキャラになったんだよと心の中で呟く俺。

「……うーん、なかなか難しい問題だぞ」
「お～い、ナオートてばてばナオート～」

　ゴリーラうるさいぞ。

「ナオートてばてばナオートよ。返事をしてくれなきゃ熱唱するぞ」

「な、なんだって！」

　俺は思わず教科書から顔を上げてしまった。

「くふふ、ゴリゴリ。ナオートやっと顔を上げてくれたね」

　ううっ、しまった……。

　ゴリーラの表情は得意満面だ。俺としたことがしくじったぜ。

「で、何の用事だよ？　俺は多忙なんだからね」

「ふ～ん、多忙なのか」

「そうだよ俺は勉強家なんだからね」

「ふ～ん、教科書上下逆さまになっているけど」

「えっ！？」

　俺は慌てて持っていた教科書を確認する。ゴリーラの言う通り教科書は上下逆さまになっているではないか。

　これは屈辱的だ……。

「こ、これが今の流行りなんだよ」

　俺は苦しい言い訳をする。

「そっか、流行りなんだね」

　ゴリーラはニンマリと笑った。

「それでなんだよ？」

「あはは、なんでもないよ」

　ゴリーラはそう答えにぱーと頬を緩めて笑う。

「はぁ？　ふざけるなよ。だったら前を向いておけよ」

　俺はプンスカと怒った。まったくいつもこれなんだから。