異世界に召喚された俺はなぜだかゴリラに懐かれました。俺がもふもふしたいのはゴリラじゃない猫だよ（俺って最強なの？）

日本から異世界へ

2異世界の日常

　その時。

「お～い、ナオート。お～い、お～い、ナオート」

　背中にゴリラ声が聞こえてくる。そのことに気がついたけれど、俺は聞こえないふりをして歩く。

「お～い、ナオートってばナオートよ」

　そのゴリラ声はなんだか切なげだ。ああ、もう返事をしないとより鬱陶しいことになるだろうと思い、俺は溜め息つきながら振り向いた。

　すると、やっぱり思った通りだ。ゴリーラが切なげな目でこちらをじっと見ていた。
　
「ゴリーラなんだよ？」
「ナオート俺を置いていくなよ」
「はぁ……知るかよ」
「俺も学校へ行くんだよ」

　ゴリーラはゴリラの絵がプリントされた学生鞄をブンブン振り回しながら言った。

「あ、そうなんだね」
「知っているくせにな」

　俺の目の前までやって来たゴリーラは頬を膨らませプンスカプンプンと拗ねたような表情で俺を見る。

「そう怒るなよ。じゃあ行こうか」
「ふん、許してやるよ」

　許すも何も怒られる筋合いはないと思うのだけどな。

　俺はゴリラと肩を並べ学校へ向かう。地球の学生がこんな状況を見るとびっくりして腰を抜かしてしまうんじゃないかな。

　だがしかしこの世界ではこれが普通だったりするのだ。

「くふふ、俺ってば勉強が好きなんだよね」

　ゴリーラは得意げな表情でそう言うけれど、本当なのかい。いつもの様子からはとてもじゃないけどそう思えないぞ。