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日本から異世界へ

守ってあげるよ&助けてくれ

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「あはは、ナオートの髪の毛ボサボサになったね」

 ゴリーミはもふもふごわごわの大きな手を口元に当てて笑っている。

「あのね、誰のせいで俺の髪の毛がぐちゃぐちゃになったと思っているんだよ」

 俺はゴリーミにぐちゃぐちゃにされた髪を手櫛で整える。

「ありゃま、わたしのせいかな?」

 ゴリーミは舌をびょーと出して照れたように笑う。

「うん、そうだよ。あ、そうだ、壁に飾られているゴリラの絵も猫と交換してくれないかな?」

「え? 絵を猫に……それはダメだよ」
「俺が頼んでも?」
「うん、ナオートの頼みでもこれはちょっと譲れないかな~」

 ゴリーミはごめんねと手を合わせて謝る。

「……そっか」

 ゴリラから猫に変えてほしかったけれど、まあ、仕方がないかなと俯く。そんな俺にゴリーミは。

「その代わりナオートが危ない目に遭いそうな時はわたしやそれからゴリラ仲間が守るからね」

「それはありがとう」

 なんだか嫌な気配を感じながら顔を上げると俺の周りをたくさんのゴリラが取り囲んでいた。

「わっ⁉ な、なんだよ」

 ゴリラ、ゴリラ、ゴリラだらけだよ。しかも、そのゴリラ達が順番にブサカワな顔を俺に近づけてくる。

「う、うわぁ~そんなに近づくなよ」

「ナオート俺達が守ってあげるよ」
「ナオートわたし達が守ってあげるね」とゴリラ達は声を合わせて言った。

 そして、ゴリラ達はふんがーと鼻息を吐く。鼻の穴をほじくっている奴までいる。だ、誰か助けてください。怯える俺にゴリラ達はニンマリ笑っている。

 ゴリラの鼻息で俺の髪の毛はまたまたぐちゃぐちゃになるし鼻くそまで飛んでくる始末だ。

 俺って本当にゴリラに好かれているのかな。

「ナオート俺達が守ってあげるよ」
「ナオートわたし達が守ってあげるね」

 人の気も知らないゴリラ達は満面の笑みを浮かべ俺の顔を見る。

 朝の日課はこのゴリラカフェに様子を見に行くことだけど明日からやめようかなと本気で考えてしまった。

 だって、俺のほっぺたにゴリラのばっちい鼻くそがくっついているんだぞ。
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