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日本から異世界へ

3 動物園から異世界へ

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 その天使みたいな女性はモフーと名乗った。

 髪の色はブロンドでふわふわとした綿菓子のようなロングヘア。柔らかそうなぷるんぷるんの唇に目はとても大きくて青味がかっている。肌は透明感がありキメが細かい。

 こんな天使のような女性がいるんだと俺はじっと眺めてしまった。

「もふもふモフラーとは何でしょうか?」

 お父さんが俺も疑問に思っていたことを尋ねた。

「もふもふモフラー世界よ」

 モフーは天使のような微笑みを浮べた。

「はぁ? もふもふモフラー世界ですか……」

「うふふ、皆さんが住んでいた世界と違う世界よ。簡単に言えば異世界ですよ」

「い、異世界!!」

 俺とお父さんはほぼ同時に叫んだ。ゴリラは呑気にぷちぷち草を抜いている。お母さんはワンテンポ遅れて「い、異世界なの!!」と叫ぶ。

 異世界って漫画とか小説に出てくるあの異世界なのかなと、俺は興奮してしまった。

「そうよ、ようこそ~」

 モフーはあっさりそう言ってにっこり笑った。

 この世界はモフーの話によるともふもふな可愛らしい動物がたくさんいる世界らしい。しかも、その動物は人間の言葉を喋ることが出来るとのことだ。

 そして、俺達はこのもふもふモフラーな世界に召喚されたらしい。

 しかも、俺達は動物やモンスターをテイム出来る能力を手に入れたとのことだ。

「ねえ、モフーさん、俺もふもふな動物ともふもふできるの?」

 俺は大好きな猫を思い浮かべながら尋ねた。

「あら、君はもうもふもふタイムをしてるじゃない?」

「へ?」

「そのゴリラのことを言ってるのよ」

「そのゴリラってまさか……」

 俺はチラリと草を抜いて遊んでいるゴリラに視線を向けながら尋ねた。

「うふふ、正解~そのゴリラよ~」

 モフーは歌を歌うように楽しそうに言った。

「あの、俺がもふもふしたいのは猫さんなんだよ」

 俺はお父さんとお母さんの足元で丸くなり寝ている真っ白な猫に視線を向ける。

「ああ、この子は君のお父さんとお母さんに選ばれたんじゃない?」

「え~! どうしてだよ。猫が大好きなのは俺なのに……」

 俺はスヤスヤとそれはもう可愛らしい寝息を立てる白猫にふにゃりと頬を緩めそして、視線をお父さんとお母さんに向けキッと睨んでやった。

「おいおい、直人そんな怖い目で睨むなよ」
「直ちゃん睨まないでよ」

 お父さんとお母さんは困ったように眉を下げて俺を見る。

「うふふ、直人君、いいじゃないの君には可愛らしいゴリラがいるのよ」

 モフーは天使のような美しい笑みを浮べているけれど、このゴリラのどこが可愛いんだよ。

 俺は、面白可愛い顔で花を摘んでグッホグッホと笑っているゴリラに視線を向け溜め息をついた。

 そんなこんなで俺はゴリラに懐かれる能力をこの異世界で手に入れたらしい。

 なんだかトホホだ。
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