18 / 33
わたしの部屋
しおりを挟む目を開けると見慣れた部屋がそこにあった。天井も本棚の上に飾ってあるおばあちゃんからもらったクマのぬいぐるみもいつもと変わらない。
おばあちゃんに会ったのは夢だったのかな? それから神本さんとひよこちゃんのきつねとたぬきの妖しに会ったのも……。
きっとそうだ。だって、亡くなったおばあちゃんに会えるなんてそんなこと現実にあるはずはないし、それに、きつねとたぬきの妖しが存在するのも有り得ない。
なんだかとてもリアルな夢を見ていたなと思いながらわたしは、体を起こして周りを見渡した。
「ぎゃ~!」
思わず声を上げてしまった。だって、そこには……。
「あ、オーナー佐波ちゃんが気がついたよ」
「佐波さんは部屋に着くなりグーグーいびきをかいて寝るんだもんな。びっくりしたね」
「ど、ど、どうしているんですか?」
わたしの顔をじっと見ている神本さんとひよこちゃんを指差して言った。
そうなのだ。きつねとたぬきの妖しの二人は存在していたのだ。
「あはは、佐波ちゃんってばびっくりした顔をして面白いな」
「佐波さん、どうしてそんなにびっくりしているんですか? 一緒にこの部屋に戻ってきたじゃないですか」
神本さんは口元に手を当ててクスクスと笑った。
「……夢だったのかなと思っていました」
そう答えるわたしの顔にググッと神本さんは顔を近づけ「夢じゃありませんよ」と言って微笑みを浮かべた。
神本さん、顔が近すぎますよ。
「夢じゃないもんね。わたしとオーナーの修行の成果を発揮したんだもん」
ひよこちゃんのツインテールの髪の毛がふわふわと揺れた。
「……修行の成果を発揮って?」
「あ、それは……えっと、妖しのわたしとオーナーが人の願いを叶えると」
ひよこちゃんがそこまで言ったところで、神本さんが、
「気にしないでください。あ、佐波さん、お腹が空きましたよね」
神本さんはそう言って笑ったのだけど気になるではないか。だけど、わたしのお腹は正直でぐぅーと鳴った。
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
あやかし猫がいるこたつがある喫茶店にようこそ!
なかじまあゆこ
キャラ文芸
ある日永久(とわ)は昔書いていた日記帳を見つけた。そこには懐かしい日々が綴られていた。亡くなった大好きだったおばあちゃんのことも。
おばあちゃんに会いたいよと涙を零した永久は不思議なあやかしがいるこたつのある不思議な喫茶店を見つける。
その喫茶店は亡くなった人と交流が出来る場所でもあったのだ。
猫神様と妖かし達と僕の夏休み
くま
キャラ文芸
東北で港から離れている田代島へ遊びに来た主人公如月ふうた、高校三年生17歳。
そこは古くから「猫の島」と呼ばれている不思議な島。おじいちゃんと猫神社へ行ったのに、いつのまにか、目覚めるとなんと昭和にタイムスリップ!?!
そして何故か自分は、10歳のおチビになってる!なんで?!そんな中フウタが出会ったのは二人の少年だった。
あれあれ?一人の少年の名前は知っている!?
津田…津田つとむ?
じいちゃんだ!?!どういうこと!?
化け猫達などの妖かしの悩みを聞いて解決している過去のじいちゃん。
反対に妖かしを退治しようとしている島の唯一のお寺の息子であるクールな章太郎君との不思議な不思議な体験をした夏休みを過ごす事になったけど…
河童はムキムキマッチョだったり、人魚は頭が魚で足が美脚かーい!想像したのと違う!(ツッコミ)
そして猫神様よ、無駄にイケメン過ぎやしないか?!羨ましい!でも、もふもふ姿に罪はなし!
えーと、なんだかわからないけれど、じいちゃん達と一緒に妖かし達の悩みや、問題を解決させていただきます!
とりあえず、どうやって…現代に帰れるのかな?
主人公ふうたのちょっとモフモフで、切なくて、ほっこりした、不思議な和風ファンタジーな、お話しです。多分!
※舞台は確かに実在する島ですが、少し題材も自身の祖父から周りに聞いたものだったりしておりますがそこから話しを作ったものなのでご了承下さいませ。
※昭和時代流行りのものとか調べてたりしてますが、あれ、なんか違う?とか、あるかもしれません。
これはあくまでもちょっと不思議な猫と妖かしとチビっ子男子達のお話しです。それでもよければ、どうぞ楽しんで下さい!
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
clovernote~僕と鏡の魔女~
sohko3
キャラ文芸
『「みく」は忘れ者』
星や石や虫などの自然が大好きな、マイペースな16歳の女の子・みく。好きなものが多すぎて、逆に知識として覚えきれないのが悩みの種。
みくの部屋にある鏡の向こうには、不思議な話し友達の「魔女」がいて、相談したら「思い出したいことを書くと思い出せるノート」を貸してくれた。これでみくの悩みは解決するのかな?
『「鏡の魔女」と、あの日の星』
生まれて初めての新幹線ひとり旅に挑戦して、憧れのプラネタリウムへ聖地巡礼する計画を立てる、みく。そのプラネタリウムは「魔女」にとっても憧れの「あの日の投影機」に会える場所だ。魔女は鏡の魔法で、みくの旅に同行させてもらうことにする。
神様の縁結び〜台灣で挑む月下老人のおいしいミッション〜
樹沙都
キャラ文芸
台湾語学留学初日から家族ぐるみで世話をしてくれた親友、林旭海がバイクの事故で亡くなった。
林美鈴は、彼の想いと家族の希望に応えるため、古くから伝わる死者との婚姻の儀式『冥婚』を行う。
葬儀を終え、日常を取り戻したある日、旭海の幽霊が美鈴の前に現れた。
さらに、突然現れた縁結びの神さまである月下老人から『このままだと旭海の魂が消滅する』と、とんでもない通告を受ける。
『ミッションをクリアすれば助けてやる』との申し出を受け、林旭海の魂の消滅を阻止すべく、美鈴は与えられたふたつのミッションに挑む。
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる