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わたしの部屋

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  目を開けると見慣れた部屋がそこにあった。天井も本棚の上に飾ってあるおばあちゃんからもらったクマのぬいぐるみもいつもと変わらない。

  おばあちゃんに会ったのは夢だったのかな?  それから神本さんとひよこちゃんのきつねとたぬきの妖しに会ったのも……。

  きっとそうだ。だって、亡くなったおばあちゃんに会えるなんてそんなこと現実にあるはずはないし、それに、きつねとたぬきの妖しが存在するのも有り得ない。

  なんだかとてもリアルな夢を見ていたなと思いながらわたしは、体を起こして周りを見渡した。

「ぎゃ~!」

  思わず声を上げてしまった。だって、そこには……。

「あ、オーナー佐波ちゃんが気がついたよ」

「佐波さんは部屋に着くなりグーグーいびきをかいて寝るんだもんな。びっくりしたね」

「ど、ど、どうしているんですか?」

  わたしの顔をじっと見ている神本さんとひよこちゃんを指差して言った。

  そうなのだ。きつねとたぬきの妖しの二人は存在していたのだ。

「あはは、佐波ちゃんってばびっくりした顔をして面白いな」

「佐波さん、どうしてそんなにびっくりしているんですか?  一緒にこの部屋に戻ってきたじゃないですか」

  神本さんは口元に手を当ててクスクスと笑った。

「……夢だったのかなと思っていました」

  そう答えるわたしの顔にググッと神本さんは顔を近づけ「夢じゃありませんよ」と言って微笑みを浮かべた。

  神本さん、顔が近すぎますよ。

「夢じゃないもんね。わたしとオーナーの修行の成果を発揮したんだもん」

  ひよこちゃんのツインテールの髪の毛がふわふわと揺れた。

「……修行の成果を発揮って?」

「あ、それは……えっと、妖しのわたしとオーナーが人の願いを叶えると」

  ひよこちゃんがそこまで言ったところで、神本さんが、

「気にしないでください。あ、佐波さん、お腹が空きましたよね」

  神本さんはそう言って笑ったのだけど気になるではないか。だけど、わたしのお腹は正直でぐぅーと鳴った。
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