8 / 33
あの日のお好み焼き
しおりを挟むお皿からはみ出しそうなビックなお好み焼きからほわほわと美味しそうな湯気が立っている。
ソースの香りとかつおぶしの香りが食欲をそそる。それと、ふわりと漂うお好み焼きの香りを嗅ぐだけで懐かしい記憶がよみがえり涙が出そうになった。
「さあ、どうぞ召し上がってくださいね」
「ください~」
「あ、はい、いただきます」
もう、食べる前からほくほく顔になる。
おばあちゃんが『お好み焼きできたよ~次、食べる人~』と階下から呼ぶ。その声に『は~い、食べる』とわたしは答えながら階段をダダッーと下りる。
『佐波ちゃん、どうぞ~美味しいよ』
おばあちゃんはいつもそう言いながらお好み焼きを大皿に盛りつけてくれた。その薄くて大きなお好み焼きが大好きだった。
「いただきます~」と言って二階の居間で食べるお好み焼きは最高だった。
そんなことを思い出しながらわたしは、お好み焼きにマヨネーズをたっぷりかけて、お箸で口に運んだ。
すると、豚のバラ肉がカリカリで香ばしくてキャベツはシャキシャキしていてもちもちした生地によく合う。
「美味しい~」
お好み焼きから天国へ旅立ってしまったおばあちゃんの優しい味がした。料理が好きだったおばあちゃんは、美味しい料理をたくさん食べさせてくれた。
今も天国で料理をしていたらいいのにななんて思いながらわたしは、お好み焼きを食べ続けた。
「ああ、美味しかった~」
わたしは、微笑みを浮かべながらお皿にお箸を置いた。
「満足してもらえて良かったですよ」
神本さんがアーモンドアイの大きな綺麗な目を細めて笑った。
「佐波ちゃんの笑顔を見ることができてわたしも嬉しいよ」
ひよこちゃんもニコニコ笑った。
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子
ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。
Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。
マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました
東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。
攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる!
そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる