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楽しい仲間

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「姉ちゃんと亜子さん早いですね」と言いながら奈央と久美佐ちゃんとそれから青橋君が部室に入って来た。

「こんにちは」と久美佐ちゃんと青橋君も挨拶をした。

「部室の中からクマの鳴き声が聞こえてきたんだけど気のせいかな?」

  奈央はキョロキョロと部室の中を見渡す。

「ガォー」

「えっ!?  マジでクマがいるとか?  クマさんはどこにいますか?」

「奈央も亜子ちゃんもふざけないでよ」

「ガォー」

「ちょっと亜子ちゃん」

  亜子ちゃんは真面目な顔付きでクマの鳴き声を真似ているのだから笑いそうになる。

「ガォー!  あはは、ちょっとクマの鳴き声を真似てみました~」

「あ、なんだ、亜子さんだったんですか?」

「クマの鳴き声にそっくりだったかな?  わたしって鳴き真似の才能があるのかな?」

  なんて笑っている亜子ちゃんに「ないから」、「ありませんから」と奈央と声を合わせて言ってしまった。

「ちょっと、早乙女ちゃんと奈央君ってば酷いね」

  亜子ちゃんはぷくっと頬を膨らませガォーと鳴いた。


「亜子さんはいつまでクマさんの鳴き真似をするんでしょうね」

「うん、亜子さんの中ではきっとクマさんブームなのよ」

  青橋君と久美佐ちゃんはうんうんと頷き合っている。

「そんなわけないでしょ。旅行研究部同好会のメンバーは変わり者の集まりなんだから。わたしだけまともよね。ガォー」

「亜子ちゃんだけまとも?  そんなわけないでしょ!  旅行研究部同好会の一番の変わり者は亜子ちゃんでしょ」とわたしが言うと、みんなが「そうですよ。変わり者は亜子さんですよ」と続いて言った。

「ちょっと、ちょっと~みんなして酷いよ! 
 ところで早乙女ちゃんみんなに話したいことがあるんでしょう」

  亜子ちゃんは、バンバンと机を両手で叩きそれからわたしの顔を見た。

「あ、そうだった……」

  わたしが答えるとみんなの視線がわたしに集まった。亜子ちゃんのクマさん騒動で忘れかけていた。

  カフェノートのことを久美佐ちゃんと青橋君に話さなければと思うと胸がドキドキしてくる。

「……みんな聞いて」

  わたしは表情を引き締めて言った。



  みんながわたしの顔をじっと見ている。そんなに見られると困ってしまうなと思いながらわたしは鞄からカフェノートを取り出した。

  机の上にカフェノートを置きわたしは「このカフェノートは西暦二千年と現在の西暦二千二十二年が繋がっているんだよ」と言った。

  久美佐ちゃんと青橋君の顔を見ると口を半開きにしてカフェノートを見ている。きっと、驚いているのだろう。

  わたしは深呼吸をしてカフェノートを開いた。

  そして、奈央と亜子ちゃんに話したことと同じことを久美佐ちゃんと青橋君に話した。

  西暦二千年の高校三年生の祐介君からカフェノートを通して返事が来ること。わたしと祐介君がカフェノートを通して会話をしていることそして、祐介君がこの夏家族旅行をする予定だということを……。

「……それで早乙女さんはそのカフェノートの祐介さんと同じプランで旅行をしたいということなんですね?」

  青橋君がカフェノートに落としていた視線を上げわたしの顔を見て尋ねる。

「……えっと、簡単に言うとそう言うことになるかな」

  わたしはちょっと照れくさくなり頭を掻いた。

「ちょっとびっくりしましたけどなんだかロマンがあっていいですね」

  久美佐ちゃんがにっこりと笑って言った。

「あの……青橋君も久美佐ちゃんもカフェノートの話を信じてくれるのかな?」

  わたしは、二人の顔を交互に見て尋ねる。

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