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過去の日の

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「それは何だよ?  めちゃくちゃ気になるよ」

「えっと、なんて言えばいいのかな?  あ、でも、奈央には関係ないことだから気にしないでよ」

  わたしは、奈央に祐介君のことを正直に話して良いものか判断できなくてそう答えたのだけど。

「旅行研究部同好会で関西に旅行に行こうとしているんだから関係あるよね?」

  奈央はそう言ってわたしの顔を真っ直ぐ見て言った。

  どうしたら良いものかわたし早乙女は大ピンチなのだ。わたしは、アイスティーをジュルジュル飲み心を落ち着かせた。

  いやいやこれは落ち着かない。だって、奈央がじっとわたしの顔を見ているのだから。

  わたしはその視線に堪えかねて、

「祐介君は過去の時代の高校三年生なんだもん!」と思わず叫んでしまった。

「か、過去の時代の祐介君……」と言って奈央は目を剥き口を金魚のようにパクパクさせている。

  わたしは、なんて答えたらいいのか分からなくて黙ってしまった。しばらくの間奈央は目を剥き口をパクパクさせ、わたしは壁の染みをじっと眺めていた。

「……姉ちゃん冗談を言っているの?」

  先に口を開いたのは奈央だった。

「じ、冗談じゃないよ。本当のことだもん」

「へぇ~冗談じゃないんだね。そのノートの祐介君は過去の時代の高校三年生なんだ? 
 ちょっと意味が分からないよ。姉ちゃん説明してよ」

  奈央はそう言って鼻でふふんと笑った。

  なんだか偉そうな態度なのでわたしはムッとした。奈央の奴は憎たらしくて生意気な態度ではないか。

「このノートの祐介君は西暦二千年当時高校三年生だったんだよ」

  わたしはおもいきって本当のことを言った。

「ね、ね、姉ちゃん、頭がおかしくなったの?  まあ元々おかしいけれど」

  奈央のその顔は半笑い顔になっている。きっと、びっくりしているのかなと思う。

  まあ、わたしが逆の立場であれば同じ表情になっているのかもしれないけれど。


「このノートは西暦二千年と現在の西暦二千二十二年が繋がっているんだよ」

  わたしは、カフェノートを鞄から取り出しテーブルに置いた。

「西暦二千年と西暦二千二十二年繋がっているってマジかよ」

 テーブルの上に置いたカフェノートを奈央は食い入るように眺めている。

「うん、嘘みたいだけど本当のことなんだよ」

「……信じられないけど表紙に2000年と書いてあるね。ただの過去のノートじゃなくて本当に現在と繋がっているの?」

「うん、そうなんだよ」

  わたしは答えながらここまで話してしまったのでノートの中身を本当は見せたくはないけれど見せるしかないかなと考えた。

  それに亜子ちゃんにも見せてしまったことではあるし。

  首を傾げながらカフェノートの表紙をじっと見つめ続けている奈央にわたしは、「ノートの中身を見る?」と聞いた。

  奈央は顔を上げわたしの顔を見た奈央の表情は大きく目を見開いていた。

「読んでもいいの?」

「うん、仕方ないから読ませてあげるよ」

  わたしは奈央にカフェノートを渡した。
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