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放課後 亜子ちゃんに聞いてもらう
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「過去の世界にいる人とノートを通じてだなんてなんだか夢があるね」
亜子ちゃんはチョコレートの付いているフォークを口に咥え舐めた。
「でしょう、夢があっていいと思うよね」
わたしは、身を乗りだしながら言った。
「……やっぱり早乙女ちゃんは変だね。どうかしちゃったのかな?」
「えっ? 分かってくれたんじゃないの?」
わたしは、がっくりと肩を落とした。亜子ちゃんは分かってくれたんじゃないんだ……。そうだよねと思いながら俯いていると亜子ちゃんが、
「あはは、早乙女ちゃんそんなに落ち込まないでよ。真面目に聞くよ」
亜子ちゃんはそう言ってニカッと笑った。
「ありがとう亜子ちゃん、さすが友達だよ」
「まあね、で、その過去の世界にいる人とノートを通じて話すってどういうことかな?」
「それはね……ある古いノートに書かれていた文章に面白半分で返事を書いてみるとなんとお返事が返ってきました。わたし、もうびっくりしちゃったんだよね」とわたしが言ったところで、
亜子ちゃんは目を見開き、「小説とか漫画の話をしてるの?」と聞いてきた。
「あ、まあ、そんな感じかもね……」
「ふ~ん、じゃあ続きを話してよ」
亜子ちゃんは残り少なくなったオレンジジュースをストローでずずっと吸い込みなが言った。
「うん、それでね、そのお返事をくれた人はなんと西暦二千年時代で生活をしている人だったんだよ」
「早乙女ちゃん、何のことかよく分からないよ~それって、西暦二千年に居る人とノートで会話をしてるってことかな?」
亜子ちゃんは呆れたように溜め息をついた。
「ピンポーン、ピンポーン! うん、正解だよ」
「……正解なんだ」
「うん、正解だよ」
「それで、その過去の時代に生きている人に何を聞きたいかってことなんだね?」
亜子ちゃんは目の前を通った店員さんにチョコレートケーキとオレンジジュースを再注文しながら言った。
「うん、そうだよ。わたし、その過去の時代の人と、あ、その人はわたし達と同じ高校三年生だよ。で、お互いの現在の状況を言い合っていたんだけど、ふと、大人になったその人は今はどんな生活をしているのかな?
夢は叶えたのかな~って気になったんだ」
わたしはちょっと興奮して勢いよく喋ってしまった。
亜子ちゃんは、店員さんが運んできてくれたオレンジジュースをジュルジュと飲みながら「それって気になるね」と言った。
「でしょう! やっぱり今どうしているのかも気になるよね」
わたしは、身を乗り出し亜子ちゃんの顔を見た。
「……早乙女ちゃんってば興奮し過ぎだよ」
亜子ちゃんに笑われわたしはちょっと恥ずかしくなった。
「大人になって夢が叶っているといいね。でもさ、夢が叶いましたかって聞くのもちょっと怖いね……」
亜子ちゃんがわたしの目を真っ直ぐ見て言った。
「それはどうして?」
「うん、だって、夢なんて全然叶ってないし全部諦めました。夢は夢でしかありません大人になったら現実しか見ませんなんて言われたらなんか寂しいやる気なくしてしまいそうじゃない?」
亜子ちゃんはそう言ってチョコレートケーキにフォークを入れ口に運んだ。
確かに亜子ちゃんの言う通りだと思った。だって、もし、祐介君が夢も希望もない大人になっていたら悲しくて寂しすぎる。
「でも、もし夢を叶えていたり新しい夢を見つけていたら希望が持てるし嬉しいよね」
わたしは、今の祐介君がそうであってほしいと思いながら言った。
「うん、まだ、夢もはっきり見つけられていないわたし達からするとそうだよね」
「うん、そうだよね。きっと、過去の世界にいるその人は今も幸せに生きているよね」
わたしは、今の祐介君が幸せに生きていますようにと祈った。
亜子ちゃんはチョコレートの付いているフォークを口に咥え舐めた。
「でしょう、夢があっていいと思うよね」
わたしは、身を乗りだしながら言った。
「……やっぱり早乙女ちゃんは変だね。どうかしちゃったのかな?」
「えっ? 分かってくれたんじゃないの?」
わたしは、がっくりと肩を落とした。亜子ちゃんは分かってくれたんじゃないんだ……。そうだよねと思いながら俯いていると亜子ちゃんが、
「あはは、早乙女ちゃんそんなに落ち込まないでよ。真面目に聞くよ」
亜子ちゃんはそう言ってニカッと笑った。
「ありがとう亜子ちゃん、さすが友達だよ」
「まあね、で、その過去の世界にいる人とノートを通じて話すってどういうことかな?」
「それはね……ある古いノートに書かれていた文章に面白半分で返事を書いてみるとなんとお返事が返ってきました。わたし、もうびっくりしちゃったんだよね」とわたしが言ったところで、
亜子ちゃんは目を見開き、「小説とか漫画の話をしてるの?」と聞いてきた。
「あ、まあ、そんな感じかもね……」
「ふ~ん、じゃあ続きを話してよ」
亜子ちゃんは残り少なくなったオレンジジュースをストローでずずっと吸い込みなが言った。
「うん、それでね、そのお返事をくれた人はなんと西暦二千年時代で生活をしている人だったんだよ」
「早乙女ちゃん、何のことかよく分からないよ~それって、西暦二千年に居る人とノートで会話をしてるってことかな?」
亜子ちゃんは呆れたように溜め息をついた。
「ピンポーン、ピンポーン! うん、正解だよ」
「……正解なんだ」
「うん、正解だよ」
「それで、その過去の時代に生きている人に何を聞きたいかってことなんだね?」
亜子ちゃんは目の前を通った店員さんにチョコレートケーキとオレンジジュースを再注文しながら言った。
「うん、そうだよ。わたし、その過去の時代の人と、あ、その人はわたし達と同じ高校三年生だよ。で、お互いの現在の状況を言い合っていたんだけど、ふと、大人になったその人は今はどんな生活をしているのかな?
夢は叶えたのかな~って気になったんだ」
わたしはちょっと興奮して勢いよく喋ってしまった。
亜子ちゃんは、店員さんが運んできてくれたオレンジジュースをジュルジュと飲みながら「それって気になるね」と言った。
「でしょう! やっぱり今どうしているのかも気になるよね」
わたしは、身を乗り出し亜子ちゃんの顔を見た。
「……早乙女ちゃんってば興奮し過ぎだよ」
亜子ちゃんに笑われわたしはちょっと恥ずかしくなった。
「大人になって夢が叶っているといいね。でもさ、夢が叶いましたかって聞くのもちょっと怖いね……」
亜子ちゃんがわたしの目を真っ直ぐ見て言った。
「それはどうして?」
「うん、だって、夢なんて全然叶ってないし全部諦めました。夢は夢でしかありません大人になったら現実しか見ませんなんて言われたらなんか寂しいやる気なくしてしまいそうじゃない?」
亜子ちゃんはそう言ってチョコレートケーキにフォークを入れ口に運んだ。
確かに亜子ちゃんの言う通りだと思った。だって、もし、祐介君が夢も希望もない大人になっていたら悲しくて寂しすぎる。
「でも、もし夢を叶えていたり新しい夢を見つけていたら希望が持てるし嬉しいよね」
わたしは、今の祐介君がそうであってほしいと思いながら言った。
「うん、まだ、夢もはっきり見つけられていないわたし達からするとそうだよね」
「うん、そうだよね。きっと、過去の世界にいるその人は今も幸せに生きているよね」
わたしは、今の祐介君が幸せに生きていますようにと祈った。
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