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放課後
しおりを挟む放課後、わたしは、教科書を鞄に詰めて急いで教室を出た。
帰り道、カフェノートを早く返しに行かなきゃと思い慌てて歩いていると、
「早乙女ちゃ~ん!」と声をかけられた。振り返ると亜子ちゃんがぶんぶん手を振りながらこちらに向かって歩いてきた。
「亜子ちゃんも帰りなんだ……」
「うん、一緒に帰ろよ。あ、お茶でもする?」
「あ、えっと……」
「うん? なんだか嫌そうな顔してな~い? わたしとお茶に行くのが嫌なのかな……それとも用事があるの?」
亜子ちゃんは怪訝な目でわたしの顔をじっと見た。
「まさか、そんなことないよ。あ、じゃあ、お茶に行こうよ」
カフェノートを返しに行こうと思っていたのに亜子ちゃんとお茶に行くことになってしまったのだった。
「う~ん、めちゃくちゃ美味しいね」
亜子ちゃんがチョコレートケーキをぱくぱく食べながら言った。
「うん、このカフェのチョコレートケーキ美味しいね。ねえ、亜子ちゃん、チョコレートケーキにオレンジジュースの組み合わせって甘すぎない?」
亜子ちゃんは、チョコレートケーキを食べながらオレンジジュースを飲んでいるのだった。
「え? そんなことないよ。わたし、甘いものが大好きなんだもん」
亜子ちゃんはオレンジジュースをストローを使いジュルジュルと飲んだ。
そんな亜子ちゃんを眺めながらわたしは、ガムシロップの入っていないアイスティーをストローで飲んだ。うん、甘いものを食べる時はやっぱりガムシロップを入れないのが一番だと思う。
「ねえ、亜子ちゃん、わたし達高校三年生だよね……」
なんて当たり前のことをわたしはストローで氷をかき混ぜながら呟いた。
「うん、わたし達高校三年生だよ」
亜子ちゃんもわたしと同じようにストローで氷をかき混ぜた。
「高校に入学した時は三年間長いだろうなと思ったのにあっという間だね」
「うん、なんだかあっという間だね。早乙女ちゃんってばいつになく真面目なことを言うね」
亜子ちゃんはそう言ってわたしの顔をじっと見た。
「わたしはいつも真面目じゃん。うん、高校三年生になっても進路が決まらないんだもん。将来なんて高校生の間に決められないよ……なんて思ってね」
「そうだよね。わたしも同じだよ~」
わたしと亜子ちゃんは顔を見合わせて、ふぅーと深い溜め息をついた。
「勉強も好きじゃないし大学に行くのもどうかなって思うし就職するのもまだまだやりたいことが分からないのにっていろいろ考えてしまうよ」
わたしは、ストローでアイスティーを飲みふぅーと溜め息をついた。
「わたしもそうだよ。大学にも行かず就職もしないで、フリーターや派遣なんかで働きながら将来を考えるのかな?」
亜子ちゃんもふぅーと溜め息をついた。
そして、「わたし達ってなんだか似ているね」と言い合い二人して溜め息をつきそして笑い合った。
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