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75 ~征爾 side~
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あおばスタジアムに着き、スマホで柚希のGPSを追跡する。
「発信器止まってるから、観戦中なのかもねぇ。ゆずゆず、何でもなさそうで良かったぁ」
動かない発信器に、成都はホッとした表情を浮かべ、走ってアプリの指し示す場所へ二人で向かった。
立ち見が出るほど観客で溢れ返ったスタジアムの、目的地へ辿り着いた。
観客席に柚希の姿は見当たらない。
「おかしいな……この辺で間違いない筈なんだが……」
昨日友紀に送ってもらった、私服の画像を見ながら探すも、やはり見つからない。
「ねぇ……あのバッグって……」
険しい顔をした成都が指を指した先では、3人組の不良達が足を広げ、背もたれに深く寄り掛かりながら、試合なんて見ないでダルそうにスマホを弄ってる。
その中の一人の足元に、陽人くん人形のぶら下げてある、白いハンドバッグが無造作に置かれていた。
友紀の画像をもう一度確認する。
柚希が手に持っているバッグと酷似している……いや、柚希のもので間違いない。
「おい……そのバッグ、どうした?」
「はぁ?彼女のやつ、預かってるだけなんだけど」
「バッグに付けてあるキーホルダーは、友人のもので間違いない。ハンドメイドで、簡単に手に入る代物じゃないんだ。嘘吐くな」
「いちいち、うるせぇなぁ。拾ったんだよ」
「それなら、友人に渡すから、返してほしい」
「勝手にしろよ」
不良は素直にバッグを渡すと、こちらをチラ見しながら、再びスマホを弄り出した。
俺達の動きを追うように、所々に点在する不良共が、スマホを弄りながら目で追ってくる。
ーー俺達の動きを逐一、グループトークに送って監視してるのかもしれない……
コンコースに入ると、不良達の数は更に多くなった。ただ、少人数でウロウロして、その場から離れずににいる感じだ。
「それぞれの不良を、一定間隔で配置してる感じだな」
「鋭い視線だねぇ……見張られてるって感じぃ」
奥の行き止まりの方へ近付くと、不良達がゾロゾロと近寄って行く手を塞いだ。
「よぉ、佐倉じゃねぇか?」
「悪い、通してくれ」
「同じNo.2同士、たまにはゆっくり話そうぜ」
話し掛けてきたのは、不良グループのNo.2の町田だ。
「すまないが、急いでいる」
「少しくらい、時間あるだろうがよ」
「邪魔する気か?この奥に、柚希がいるんだな?」
「何の事か、わからねぇし」
「とぼけんなっ!ゆずゆずは、どこだよぉ?」
隣でずっと黙っていた成都が、大声を張り上げた。
「さぁな……そういえば、おまえ達、付き合ってるんだって?俺、ヘテロだから、理解出来ねぇわ。しかも、佐倉んち金持ちで跡取りなのに、それを蹴ったんだろ?信じられねぇよ」
町田の言葉に、成都の顔が曇る。
その事は成都が、一番気にしている事だった。
「ま、藤堂は可愛い顔立ちしてるし、ハーフなのに小柄だから、わからなくもないけどさ。でも、可愛くてもちんこ付いてるのとか、マジで無理」
「無理で結構だが、成都を侮辱するな!」
涙目になる成都を見てしまうと、怒りが抑えきれなくなり、思わず奴の胸ぐらを掴んだ。
町田は煽るように、ニヤニヤと笑っていた。
「ゲイだと結婚は、養子縁組なんだってな?夫婦じゃなくて、親子じゃん?子供産めねぇし、養子とか取るようだろ?藤堂の事、男なのに“ママ”って呼ばせるの?おまえらの子供になった奴、すげー可哀想!」
とうとう成都は、ポロポロと大粒の涙を溢した。
最愛の人の涙に激昂し、我を失い拳を振り上げた。
「発信器止まってるから、観戦中なのかもねぇ。ゆずゆず、何でもなさそうで良かったぁ」
動かない発信器に、成都はホッとした表情を浮かべ、走ってアプリの指し示す場所へ二人で向かった。
立ち見が出るほど観客で溢れ返ったスタジアムの、目的地へ辿り着いた。
観客席に柚希の姿は見当たらない。
「おかしいな……この辺で間違いない筈なんだが……」
昨日友紀に送ってもらった、私服の画像を見ながら探すも、やはり見つからない。
「ねぇ……あのバッグって……」
険しい顔をした成都が指を指した先では、3人組の不良達が足を広げ、背もたれに深く寄り掛かりながら、試合なんて見ないでダルそうにスマホを弄ってる。
その中の一人の足元に、陽人くん人形のぶら下げてある、白いハンドバッグが無造作に置かれていた。
友紀の画像をもう一度確認する。
柚希が手に持っているバッグと酷似している……いや、柚希のもので間違いない。
「おい……そのバッグ、どうした?」
「はぁ?彼女のやつ、預かってるだけなんだけど」
「バッグに付けてあるキーホルダーは、友人のもので間違いない。ハンドメイドで、簡単に手に入る代物じゃないんだ。嘘吐くな」
「いちいち、うるせぇなぁ。拾ったんだよ」
「それなら、友人に渡すから、返してほしい」
「勝手にしろよ」
不良は素直にバッグを渡すと、こちらをチラ見しながら、再びスマホを弄り出した。
俺達の動きを追うように、所々に点在する不良共が、スマホを弄りながら目で追ってくる。
ーー俺達の動きを逐一、グループトークに送って監視してるのかもしれない……
コンコースに入ると、不良達の数は更に多くなった。ただ、少人数でウロウロして、その場から離れずににいる感じだ。
「それぞれの不良を、一定間隔で配置してる感じだな」
「鋭い視線だねぇ……見張られてるって感じぃ」
奥の行き止まりの方へ近付くと、不良達がゾロゾロと近寄って行く手を塞いだ。
「よぉ、佐倉じゃねぇか?」
「悪い、通してくれ」
「同じNo.2同士、たまにはゆっくり話そうぜ」
話し掛けてきたのは、不良グループのNo.2の町田だ。
「すまないが、急いでいる」
「少しくらい、時間あるだろうがよ」
「邪魔する気か?この奥に、柚希がいるんだな?」
「何の事か、わからねぇし」
「とぼけんなっ!ゆずゆずは、どこだよぉ?」
隣でずっと黙っていた成都が、大声を張り上げた。
「さぁな……そういえば、おまえ達、付き合ってるんだって?俺、ヘテロだから、理解出来ねぇわ。しかも、佐倉んち金持ちで跡取りなのに、それを蹴ったんだろ?信じられねぇよ」
町田の言葉に、成都の顔が曇る。
その事は成都が、一番気にしている事だった。
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「ゲイだと結婚は、養子縁組なんだってな?夫婦じゃなくて、親子じゃん?子供産めねぇし、養子とか取るようだろ?藤堂の事、男なのに“ママ”って呼ばせるの?おまえらの子供になった奴、すげー可哀想!」
とうとう成都は、ポロポロと大粒の涙を溢した。
最愛の人の涙に激昂し、我を失い拳を振り上げた。
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