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しおりを挟むーー陽人の目……すごく真剣で……身体が熱くなる………
これから一線を越えてしまうという事に、心音は更に早くなって、耳の中で煩いくらいに木霊していた。
「……柚希………挿れても、いい?」
「…………いい…よ……」
「柚希にこんな事させて、ごめん。これ、使って。挿れるの、ゆっくりでいいから……無理ならいつでも止めて…」
陽人がローションのボトルとコンドームをすまなそうに渡してきた。俺はそれを受け取ると手元に置いた。
「……俺が、頼んだんだから、謝んなよ。それに……無理してねぇし……」
「柚希……」
陽人の双眸が餓えたような色に変わる。
餌を前にした捕食者のような、鋭い目で見つめられ、身体がゾクゾクした。
その視線を感じながら、慣れない手つきで陽人にコンドームをはめて、ローションをたっぷりと付けた。緊張からか、指先の震えが止まらない。
ーー今から……陽人と……心臓が、すごく煩い……落ち着け…俺………
静かに深く呼吸してから、陽人に跨がった。屹立した熱を手でやんわりと握り、腰をゆっくりと落とし窪みに切っ先を宛がう。
滑りを帯びた猛々しいペニスが、ズプッと入口を割り開き、ほんの少し挿入ってきた。
「あっ……」
ーー挿入ってきた……
待ち焦がれた陽人のモノが僅かでも挿入ったと思うと、全身が歓喜した。
力が抜け崩れ落ちそうになりながらも、少しずつゆっくりと陽人を受け入れる。
挿入ってくる陽人の感触に中は蠢き、吸い付くように纏わり付いた。
そんな俺に反応するように、陽人のペニスが質量を増すと、余計に感じてしまいキュッとなった。
ーー陽人のが…俺の中に………陽人の…大きくて……すごく…熱い………
「………挿入った……陽人の…挿入ったよ……」
「柚希の中、あたたかい……それに…俺の事……容赦なく締め付けてくる………」
「…………そんな事……言うなよ……バカ………」
「ふふっ……また、キュッて締め付けてきた…可愛い………」
「もっ、大きくすんなっ……ムッツリスケベ!」
「ははっ………ムッツリなのは、間違いじゃないよ……柚希にいつも欲情してるしね……」
「えっ……何、それ…どういう………んぁっ……!」
陽人は喋り終わる前に、突然下から突き上げてきた。不安定な体制で身体を支えてるので精一杯で、されるがままだ。
ーー……なん、で……!…こんな……奥まで…………
「あっ……!ちょっ、まっ……深っ……!」
「ごめん……さっき、実は全部、挿入ってなかったんだ……」
「やっ、なっ……こんな……奥……んっ……」
「柚希の…奥にあたってるね……」
「ンア、もっ……奥…あたって……あっ……やめ…っ……!」
騎乗位なんて初めてだから、慣れなくて体勢が不安定で……
こんなに奥深くまで、陽人のモノが挿入ってると思うと、気持ちイイけどなんだか怖い……
大きすぎる悦楽に、自分がどうにかなってしまいそうで……
喘ぎながらも嫌がる俺を見て、陽人はピタリと動きを止めた。
「柚希……ギュウギュウ締め付けてきて…すごく感じてるね………でも…嫌なら、今すぐ止めてもいいよ………」
「陽人……なんか、その言い方……すげぇ意地悪い………」
「ふふっ……どうする?」
「…………続けろよ……変態王子……」
「ははっ……酷い言われようだな……じゃ、続けるよ………柚希、手出して……」
俺の方へ陽人が手を伸ばし、その手に指を絡ませ繋いだ。
俺が全然慣れてなくて、揺さぶられっぱなしで不安そうにしてるから……
手を繋いで安心させる為に、途中で止めたんだ。
そういう然り気無い気遣いと、少し意地悪っぽい言い草に、女みたいにキュンとしてしまう。
ーー本当、顔も反則だけど、態度も王子でずりぃ……
「柚希……本当に無理なら、俺にちゃんと教えてね……」
「………陽人は…ずりぃよ……」
「……何?」
「………何でもねぇ………無理なら、言うから……続けて……」
「うん、わかったよ……柚希………」
陽人は律動を再開した。俺に無理させないように、ゆっくりと動かしてくれた。
その緩やかな刺激は、かえって挿入の気持ち悦さをダイレクトに伝え、身体中が甘く痺れ、奥がじくじくと疼いた。
俺を気遣う陽人の優しさが、繋いだ手からも伝わってきて、離れないように手に力を入れた。
繋がってる……
陽人と…
手も身体も……
恋人同士じゃないけれど…
こうしてると……恋人みたいって
錯覚してしまう……
「……あぁ……アッ………気持ちイイ……はると……気持ち、イッ……」
「俺も…すごく、気持ちイイよ……体勢、辛くない?」
「んっ……陽人と……手…繋いでるから……大丈夫……」
「柚希……俺の手、しっかり握って……離さないで……」
「………陽人の手……ちゃんと掴んでる……」
ーー好き……陽人が好き……どうしようもないくらい……愛してる………
繋いだ指と指が絡み付き、手と手が固く結ばれる。
お互いに切ない顔で見つめ合い、名前を何度も呼び合った。
「アッ……はる……あ、んっ………中の…気持ちイイとこ、ぜんぶ……はるとの……あたってくる……」
「ゆず……可愛いよ……いっぱい感じて……俺も、いっぱい感じてるよ……」
「……はる…と……気持ち…イイ……うっ、ンッ……イク、イキそう………」
「ゆず…き……すごい……中、蠢いてる……」
「あぁ、ダメ…もっ、んんっ…イクッ、イッちゃ!!!」
目の前がチカチカして、身体がビクンと大きく跳ねた。
勢いのない白濁がとぷとぷと溢れ、陽人のしなやかな筋肉の付いた腹の上を汚す。
ヒクヒクと肉壁が陽人に吸い付いて、蠢き震えてるのがわかった。
「……ゆず………あっ…すごい……ゆずきの中……すごく…キツく吸い付いてきて……もっていかれそう………」
「…………はる……はると……」
陽人がすごく愛しくて……
ひとつになれたのが嬉しくて……
繋いだ手をギュッとして、
陽人を求めるみたいに……
初めて俺から、陽人にキスをした。
陽人は大きく目を見開き、すごく驚いた顔をして、今までよりも熱くて余裕のない瞳で俺を見つめた。
「……ゆずきが…そんな風に、可愛く煽るから……もう…優しくしてやれない……」
「……なっ!はる、やだぁ、動かさなっ、でっ!……イッたばっか、だから……ンンッ、おかしく、なるって!アァ!やぁ、ん!」
「ゆずき……ごめん……止められない……」
さっきまでゆっくりだった陽人の抽挿は、深く鋭くなり、入り口から最奥くまで貫くように穿ち始めた。
狭い部屋に激しい水音と、甲高い矯声が響き渡る。
強い悦楽に身体は前後不覚になり、空になるまで欲を放ち、仰け反りながら何度も中で達した。
身体を支えられずに、陽人の上に重なるように横たわると、ギュッと背中を強く抱かれ、貪るようにキスをされた。
達した過敏な身体は激しいキスに痺れ、蕩けて全く力が入らない。
ディープキスをしながら、身体を上下に揺さぶられ、そのまま突き上げるように穿たれた。
ーーダメ、だ……頭も身体もおかしくなる………ずっと、気持ちイイままで……イクの止まらない………はると……ダメ……気持ち悦すぎて……俺、ダメになる…………
「アッ、あん、やっ…もっ……はる……ダメ…なる……ダメェ……イク……!」
「ゆずき…可愛いよ……ゆず…き……□□…だ……」
「はる、と……な…に……?………もっ……わかんなっ…………も、まっ……アッ、止まん、なっ……!」
「わからなくて………いいよ……」
「やっ、また、イッ、イッちゃ、んあっ、アァァァァ!!!」
「……俺も……イク…よ……出るっ、うぅっ!………はっ、はっ………………ゆずき……□□…だよ………」
「……ゆずき………柚希………大丈夫?………って…ダメ、か……途中で気を失っちゃったね………無理させないつもりだったんだけど……柚希があまりに可愛いから……気持ちが溢れて…止められなかった…ごめん……」
遠退いてく意識の中、陽人が何か言ってた気がするけど……
それが何なのか、全くわからなかった。
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