上 下
31 / 134

29※

しおりを挟む



  ーー陽人の目……すごく真剣で……身体が熱くなる………



  これから一線を越えてしまうという事に、心音は更に早くなって、耳の中で煩いくらいに木霊していた。






「……柚希………挿れても、いい?」

「…………いい…よ……」

「柚希にこんな事させて、ごめん。これ、使って。挿れるの、ゆっくりでいいから……無理ならいつでも止めて…」



  陽人がローションのボトルとコンドームをすまなそうに渡してきた。俺はそれを受け取ると手元に置いた。



「……俺が、頼んだんだから、謝んなよ。それに……無理してねぇし……」

「柚希……」



  陽人の双眸が餓えたような色に変わる。
  餌を前にした捕食者のような、鋭い目で見つめられ、身体がゾクゾクした。
  その視線を感じながら、慣れない手つきで陽人にコンドームをはめて、ローションをたっぷりと付けた。緊張からか、指先の震えが止まらない。



  ーー今から……陽人と……心臓が、すごく煩い……落ち着け…俺………



  静かに深く呼吸してから、陽人に跨がった。屹立した熱を手でやんわりと握り、腰をゆっくりと落とし窪みに切っ先を宛がう。
  滑りを帯びた猛々しいペニスが、ズプッと入口を割り開き、ほんの少し挿入ってきた。



「あっ……」



  ーー挿入ってきた……



  待ち焦がれた陽人のモノが僅かでも挿入ったと思うと、全身が歓喜した。
  力が抜け崩れ落ちそうになりながらも、少しずつゆっくりと陽人を受け入れる。
  挿入ってくる陽人の感触に中は蠢き、吸い付くように纏わり付いた。
  そんな俺に反応するように、陽人のペニスが質量を増すと、余計に感じてしまいキュッとなった。



  ーー陽人のが…俺の中に………陽人の…大きくて……すごく…熱い………






「………挿入った……陽人の…挿入ったよ……」

「柚希の中、あたたかい……それに…俺の事……容赦なく締め付けてくる………」

「…………そんな事……言うなよ……バカ………」

「ふふっ……また、キュッて締め付けてきた…可愛い………」

「もっ、大きくすんなっ……ムッツリスケベ!」

「ははっ………ムッツリなのは、間違いじゃないよ……柚希にいつも欲情してるしね……」

「えっ……何、それ…どういう………んぁっ……!」



  陽人は喋り終わる前に、突然下から突き上げてきた。不安定な体制で身体を支えてるので精一杯で、されるがままだ。



  ーー……なん、で……!…こんな……奥まで…………



「あっ……!ちょっ、まっ……深っ……!」

「ごめん……さっき、実は全部、挿入ってなかったんだ……」

「やっ、なっ……こんな……奥……んっ……」

「柚希の…奥にあたってるね……」

「ンア、もっ……奥…あたって……あっ……やめ…っ……!」



  騎乗位なんて初めてだから、慣れなくて体勢が不安定で……
  こんなに奥深くまで、陽人のモノが挿入ってると思うと、気持ちイイけどなんだか怖い……
  大きすぎる悦楽に、自分がどうにかなってしまいそうで……



  喘ぎながらも嫌がる俺を見て、陽人はピタリと動きを止めた。



「柚希……ギュウギュウ締め付けてきて…すごく感じてるね………でも…嫌なら、今すぐ止めてもいいよ………」

「陽人……なんか、その言い方……すげぇ意地悪い………」

「ふふっ……どうする?」

「…………続けろよ……変態王子……」

「ははっ……酷い言われようだな……じゃ、続けるよ………柚希、手出して……」



  俺の方へ陽人が手を伸ばし、その手に指を絡ませ繋いだ。
  俺が全然慣れてなくて、揺さぶられっぱなしで不安そうにしてるから……
  手を繋いで安心させる為に、途中で止めたんだ。
  そういう然り気無い気遣いと、少し意地悪っぽい言い草に、女みたいにキュンとしてしまう。



  ーー本当、顔も反則だけど、態度も王子でずりぃ……



「柚希……本当に無理なら、俺にちゃんと教えてね……」

「………陽人は…ずりぃよ……」

「……何?」

「………何でもねぇ………無理なら、言うから……続けて……」

「うん、わかったよ……柚希………」



  陽人は律動を再開した。俺に無理させないように、ゆっくりと動かしてくれた。
  その緩やかな刺激は、かえって挿入の気持ち悦さをダイレクトに伝え、身体中が甘く痺れ、奥がじくじくと疼いた。
  俺を気遣う陽人の優しさが、繋いだ手からも伝わってきて、離れないように手に力を入れた。






  繋がってる……

  陽人と…
  手も身体も……
  恋人同士じゃないけれど…
  こうしてると……恋人みたいって
  錯覚してしまう……









「……あぁ……アッ………気持ちイイ……はると……気持ち、イッ……」

「俺も…すごく、気持ちイイよ……体勢、辛くない?」

「んっ……陽人と……手…繋いでるから……大丈夫……」

「柚希……俺の手、しっかり握って……離さないで……」

「………陽人の手……ちゃんと掴んでる……」






   ーー好き……陽人が好き……どうしようもないくらい……愛してる………






  繋いだ指と指が絡み付き、手と手が固く結ばれる。
  お互いに切ない顔で見つめ合い、名前を何度も呼び合った。









「アッ……はる……あ、んっ………中の…気持ちイイとこ、ぜんぶ……はるとの……あたってくる……」

「ゆず……可愛いよ……いっぱい感じて……俺も、いっぱい感じてるよ……」

「……はる…と……気持ち…イイ……うっ、ンッ……イク、イキそう………」

「ゆず…き……すごい……中、蠢いてる……」

「あぁ、ダメ…もっ、んんっ…イクッ、イッちゃ!!!」



  目の前がチカチカして、身体がビクンと大きく跳ねた。
  勢いのない白濁がとぷとぷと溢れ、陽人のしなやかな筋肉の付いた腹の上を汚す。
  ヒクヒクと肉壁が陽人に吸い付いて、蠢き震えてるのがわかった。



「……ゆず………あっ…すごい……ゆずきの中……すごく…キツく吸い付いてきて……もっていかれそう………」

「…………はる……はると……」



  陽人がすごく愛しくて……
  ひとつになれたのが嬉しくて……



  繋いだ手をギュッとして、
  陽人を求めるみたいに……
  初めて俺から、陽人にキスをした。



  陽人は大きく目を見開き、すごく驚いた顔をして、今までよりも熱くて余裕のない瞳で俺を見つめた。



「……ゆずきが…そんな風に、可愛く煽るから……もう…優しくしてやれない……」

「……なっ!はる、やだぁ、動かさなっ、でっ!……イッたばっか、だから……ンンッ、おかしく、なるって!アァ!やぁ、ん!」

「ゆずき……ごめん……止められない……」



  さっきまでゆっくりだった陽人の抽挿は、深く鋭くなり、入り口から最奥くまで貫くように穿ち始めた。
  狭い部屋に激しい水音と、甲高い矯声が響き渡る。

  強い悦楽に身体は前後不覚になり、空になるまで欲を放ち、仰け反りながら何度も中で達した。

  身体を支えられずに、陽人の上に重なるように横たわると、ギュッと背中を強く抱かれ、貪るようにキスをされた。

  達した過敏な身体は激しいキスに痺れ、蕩けて全く力が入らない。
  ディープキスをしながら、身体を上下に揺さぶられ、そのまま突き上げるように穿たれた。 






  ーーダメ、だ……頭も身体もおかしくなる………ずっと、気持ちイイままで……イクの止まらない………はると……ダメ……気持ち悦すぎて……俺、ダメになる…………






「アッ、あん、やっ…もっ……はる……ダメ…なる……ダメェ……イク……!」

「ゆずき…可愛いよ……ゆず…き……□□…だ……」

「はる、と……な…に……?………もっ……わかんなっ…………も、まっ……アッ、止まん、なっ……!」

「わからなくて………いいよ……」

「やっ、また、イッ、イッちゃ、んあっ、アァァァァ!!!」






「……俺も……イク…よ……出るっ、うぅっ!………はっ、はっ………………ゆずき……□□…だよ………」









「……ゆずき………柚希………大丈夫?………って…ダメ、か……途中で気を失っちゃったね………無理させないつもりだったんだけど……柚希があまりに可愛いから……気持ちが溢れて…止められなかった…ごめん……」






  遠退いてく意識の中、陽人が何か言ってた気がするけど……

  それが何なのか、全くわからなかった。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

義兄に告白されて、承諾したらトロ甘な生活が待ってました。

アタナシア
恋愛
母の再婚をきっかけにできたイケメンで完璧な義兄、海斗。ひょんなことから、そんな海斗に告白をされる真名。 捨てられた子犬みたいな目で告白されたら断れないじゃん・・・!! 承諾してしまった真名に 「ーいいの・・・?ー ほんとに?ありがとう真名。大事にするね、ずっと・・・♡」熱い眼差を向けられて、そのままーーーー・・・♡。

美醜逆転した異世界で、絆されてハーレム作ることになりました

SHIRO
BL
ーー実は俺、異世界に行った事があるんだ。 酒の席で同期の山田に打ち明けられた異世界話。 まさか俺がその異世界に行くなんて!山田の話もっと真剣に聞いとけば良かった! しかもこの世界、美醜の感覚が地球とはちょっと違うみたい。 え、この世界男しかいないの?え、俺ハーレム作んの? 醜いと言われるイケメン達が大きな犬に見えてきて、なんかもうほっとけない。 そんな、健気な犬…じゃなかった、俺にとってはイケメンな男達に絆されまくる俺の話。 ・更新不定期です。 ・基本的にヤマなしタニなし、ほのぼのです。 ・R18には※マークつけます。苦手な方は飛ばして読んでいただければ幸いです。 ・男性妊娠表現が含まれます。苦手な方はご注意くださいませ。 ・すぐ行き詰まって心折れます。お気に入りやいいねや感想にとても救われています。ありがとうございます。

ポンコツ女子は異世界で甘やかされる(R18ルート)

三ツ矢美咲
ファンタジー
投稿済み同タイトル小説の、ifルート・アナザーエンド・R18エピソード集。 各話タイトルの章を本編で読むと、より楽しめるかも。 第?章は前知識不要。 基本的にエロエロ。 本編がちょいちょい小難しい分、こっちはアホな話も書く予定。 一旦中断!詳細は近況を!

恋人を取り戻すために、自己開発をがんばりたい

碧碧
BL
優しくて人望のある第三王子×素直になれない子爵息子。どちらも学生です。 (あらすじ) 身分の差はあれど、親同士の仲が良かったせいで幼馴染のように育ったエドワードとルーカスの2人。エドワードからの告白で、今では密かに恋人となっている。 ある日、エドワードが婚約したという噂が学園内に流れた。大きな歓声に外を見ると、エドワードと美しい女性が連れ立って歩いていた。ルーカスはあまりのショックにその場から逃げ出す。 いろんな勘違いをしながら、エドワードを取り戻すためにルーカスがんばるお話です。がんばった結果、エドワードが嫉妬に狂うことになります。 (18禁シーンの内容) 自分でアナル拡張、自慰、誘い受け、中出し要求、トコロテン、メスイキ、結腸責め、など。

私は私で勝手に生きていきますから、どうぞご自由にお捨てになってください。

木山楽斗
恋愛
伯爵令嬢であるアルティリアは、婚約者からある日突然婚約破棄を告げられた。 彼はアルティリアが上から目線だと批判して、自らの妻として相応しくないと判断したのだ。 それに対して不満を述べたアルティリアだったが、婚約者の意思は固かった。こうして彼女は、理不尽に婚約を破棄されてしまったのである。 そのことに関して、アルティリアは実の父親から責められることになった。 公にはなっていないが、彼女は妾の子であり、家での扱いも悪かったのだ。 そのような環境で父親から責められたアルティリアの我慢は限界であった。伯爵家に必要ない。そう言われたアルティリアは父親に告げた。 「私は私で勝手に生きていきますから、どうぞご自由にお捨てになってください。私はそれで構いません」 こうしてアルティリアは、新たなる人生を送ることになった。 彼女は伯爵家のしがらみから解放されて、自由な人生を送ることになったのである。 同時に彼女を虐げていた者達は、その報いを受けることになった。彼らはアルティリアだけではなく様々な人から恨みを買っており、その立場というものは盤石なものではなかったのだ。

やり直せるなら、貴方達とは関わらない。

いろまにもめと
BL
俺はレオベルト・エンフィア。 エンフィア侯爵家の長男であり、前世持ちだ。 俺は幼馴染のアラン・メロヴィングに惚れ込み、恋人でもないのにアランは俺の嫁だと言ってまわるというはずかしい事をし、最終的にアランと恋に落ちた王太子によって、アランに付きまとっていた俺は処刑された。 処刑の直前、俺は前世を思い出した。日本という国の一般サラリーマンだった頃を。そして、ここは前世有名だったBLゲームの世界と一致する事を。 こんな時に思い出しても遅せぇわ!と思い、どうかもう一度やり直せたら、貴族なんだから可愛い嫁さんと裕福にのんびり暮らしたい…! そう思った俺の願いは届いたのだ。 5歳の時の俺に戻ってきた…! 今度は絶対関わらない!

【R18】溺愛される公爵令嬢は鈍すぎて王子の腹黒に気づかない

かぐや
恋愛
公爵令嬢シャルロットは、まだデビューしていないにも関わらず社交界で噂になる程美しいと評判の娘であった。それは子供の頃からで、本人にはその自覚は全く無いうえ、純真過ぎて幾度も簡単に拐われかけていた。幼少期からの婚約者である幼なじみのマリウス王子を始め、周りの者が シャルロットを護る為いろいろと奮闘する。そんなお話になる予定です。溺愛系えろラブコメです。 女性が少なく子を増やす為、性に寛容で一妻多夫など婚姻の形は多様。女性大事の世界で、体も中身もかなり早熟の為13歳でも16.7歳くらいの感じで、主人公以外の女子がイケイケです。全くもってえっちでけしからん世界です。 設定ゆるいです。 出来るだけ深く考えず気軽〜に読んで頂けたら助かります。コメディなんです。 ちょいR18には※を付けます。 本番R18には☆つけます。 ※直接的な表現や、ちょこっとお下品な時もあります。あとガッツリ近親相姦や、複数プレイがあります。この世界では家族でも親以外は結婚も何でもありなのです。ツッコミ禁止でお願いします。 苦手な方はお戻りください。 基本、溺愛えろコメディなので主人公が辛い事はしません。

LOOK AT ME

天宮叶
BL
学校一の不良と恐れられている時のストーカーをしている空は、ある日時のことを盗撮しようとして本人にそのことがバレてしまう。 そのままパシリとして時の傍で過ごすことになった空だったが、接していくうちに、時は決していい人ではないと自覚させられてしまう。 それでも彼のことを好きだという気持ちは抑えられず……。 彼のことを見ているだけで幸せだと思っていた。 僕はβだから彼とは望んでも結ばれることはできない。 それなら彼がΩと結ばれて幸せになるところを見れればそれでいい……。 そのはずだったのに____ 運命の番に翻弄されるドタバタ学園ラブストリー ※攻めが最初めちゃくちゃクズです。でもあら不思議。最後には溺愛執着攻めの出来上がり♡って感じのお話なので、地雷踏み荒らされても大丈夫!って方におすすめです ※予告なく残酷(暴力表現)なシーンになることがあります。嘔吐表現等がありますので苦手な方は気をつけられてください ※ファンタジーの世界だと思って何も考えずに読んで頂けると幸いです 不良執着系α × 自分のことをβだと思いたいΩのお話です。 受けが可哀想な感じですが最初だけですm(_ _)m

処理中です...