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第15章:自己顕示欲と誇大妄想と被害妄想と支配欲

20話・終

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「あ、じゃあ150万円払ってもらいますか。体で。ねぇ、達樹君、家に入れてくれない? 放送の最中に、私の声を聞かせてあげましょ」
 当然、あるぽんは違約金を払うことはできるわけもなく、百合根のお世話になる未来が待っているだろう。何らかの手段で気絶させられた後、強引にヤクザに車の中へと押し込まれて、容易には逃げられない山奥か、もしくは離島の現場に連れていかれるのだ。異常に多くの手数料が引かれるために実質的な低賃金で、150万円を返すために数年は働かせることになるであろう。家族は、それすらも了承した。あるぽんは、嫌われるという事がどういうことか、これから理解させられることになる。
「こんにちは」
 そうして、配信中の光輝の背後に現れた明日香は、後ろから話しかけて彼を戦慄させた。
「言い訳はある? 契約は守ってね」
 そう言い終えた瞬間に配信が終了する。光輝は明日香のチョークスリーパーで頸動脈を締められて気絶させられると、知らないうちにガムテープで縛られてしまう。そして、夜になり人目も少ない時間帯になると彼の家には百合根が使わした作業員がやってきて、数人がかりで車に押し込められていくのであった。
 夏休み、家出をするために遼が向かった現場と同じ類の場所ではあるが、働く意欲がない光輝の待遇は、遼と違って悲惨なものとなるだろう。唯一の望みは警察の職務質問に捕まり、車が検挙されることだが、警察の検問も車二台体制で躱しているため、職質に合う望みは薄いだろう。
 家族がヤクザに連れられてひどい目にあう。それはそれは酷い出来事なのだが、残された家族はよほど光輝に耐えかねていたのだろう。いなくなってせいせいしたと、酷くほっとした顔をしているのが悲しかった。人を救うということは難しい。本当は、彼がまじめに働いてくれたなら何の憂いもなく人助けが終わったのだが……合法的な手段であるぽんこと光輝を働かせるのは、無理なものは無理なのだ。
 その後、お荷物の兄がいなくなった達樹は、改めてお礼のためにと、家族ともども神社へお参りに来るようになるのであった。

 一方、明日香のトゥモローチャンネルは……
「あ……投げ銭ありがとうございます……気付かないでごめん……必死で……」
 明日香は汗だくになりながら、ファンたちからの投げ銭に対して笑顔を振りまく。
 彼女のチャンネルはセクシーな女性がひたすら筋トレをする動画として口コミでどんどん客が増え続けた。明日香は今回の件が終わればチャンネルを消そうと思っていたのに、辞めるにやめられなくなっていくのであった。
「どうしてこうなったんだろ……」
 スーパーチャットを貰うことでお小遣いは増えたが、複雑な気分であった。


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