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第15章:自己顕示欲と誇大妄想と被害妄想と支配欲

1話:お散歩実況

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 9月も終盤に差し掛かかるが、まだまだ残暑は厳しい。そんな状況でも、相撲部は放課後になれば部活動に勤しんでいた。

「もっとだ! 耐えろ!」
 裕也は真由美にタックルシールドを持たせ、その上から突っ張りを加えて攻撃する。身長は30センチメートル、体重にいたっては倍以上もある相手だ、最初のころは手加減をしても尻もちをつかされた真由美だったが、今は裕也の突っ張りを単発で受けても、よろけながらも転ばず耐え抜くようになっていた。
 彼女は数か月前よりも体重は増え、当然のことながら筋力も増え、そのうえちょっとやそっとじゃ転ばないための技術も身に着けた。当然、裕也が本気を出せば2秒で地面に転がってしまうだろうが、今の彼女はその辺の男に小突かれたくらいで無様に尻もちをつくことはないと、夏祭りの時に証明されている。もちろん、一対一で男と戦って勝てるかと言えばそうでもないが、一発喰らっても大丈夫という自信は、反抗心を産むことにつながる。別に、素手で戦う必要はないのだから、理不尽に殴られた時は武器を使ってでも勝てばいい。
 当然、防御のみではなく、攻撃力も大いに上がっている。足腰を鍛え、腕力も鍛え、技も覚えた彼女は、頭突きやタックルもそれなりの威力を持つようになった。きちんと待ち構えた裕也には全く通用しないが隙をついて攻撃すれば、男でも軽く尻もちをつく程度の威力はある
 強くなるために相撲を始めた真由美にとっては、半分くらいは目的を達したと言ってもいいだろう。
「真面目にやってるおかげか、強くなったな、真田さん」
「裕也さんや明日香さんが付き合ってくれるおかげです。本当、男じゃないから体を触れ合わせてぶつかれないのが申し訳ないくらいですが……」
「俺が女子とやったらさすがに顧問が黙っていないだろうな。顧問の仕事なんていつもさぼっているが、問題が出れば仕事は増えるから、問題が大ごとになる前に全力で止めに入るだろうし……」
「顧問の先生、ホント空気ですよねー……」
 真由美は顔も覚えていない顧問の教師、有田大河のことを気にかけて苦笑する。友梨佳のことだけはさすがに苦言をだしたことがあったが、夜遅くに1人で家に留守番するよりは、部活に一緒に参加したほうが安全と判断されて、結局おとがめなしとなっている。夏休みの始めに顔を見たきりなので、真由美はもううっすらとしか顔を覚えていなかった。

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