278 / 423
第13章:お祭りの日
14話
しおりを挟む
「それもありだけれど、警察に突き出すよりも、もっと素敵なところに連れて行こうと思うの」
百合根は裕也と真由美の顔をガシっと掴んで近寄せると、二人にだけ聞こえる声でそう言った。
「そ、それはその、中々刺激的ですね……また、山奥の現場ですかね? 例の盲導犬の時みたいに」
真由美は苦笑しながらそう尋ねる。
「うーん、そこはこいつらの事情と要相談ね。親がきちんと責任を取るのならまぁ……シャバに放してあげないこともないけれど。もしも責任取れないなら……まぁ、自分で責任を取るしかないよねぇ」
真由美にこいつらの処遇を聞かれた百合根は、肝心なところをどうするか言わずに話をはぐらかす。
「なんだ、もしかして真由美も、百合根が盲導犬のトラブルに関わっていた事、知ってるのか?」
「あ、はい。ちょっと聞く機会があったので」
裕也に問われると、真由美は小さく頷いた。
「じゃ、ちょうどいい、百合根、聞きたいことがあったんだ。お前、中学二年生のころから、よくこうやって悪党を退治しては、地獄を見せるようになったじゃないか……お前は何のためにそんなことを始めたのかなって、前々から気になってたんだ。お前、盲導犬の時から、なんか人が変わったように悪党退治をはじめたじゃないか?」
「なあに、唐突に?」
「俺も、人助けをするようになってから色々あって、気になったんだよ。誰かの笑顔を見られるのは好きだし、褒められたり感謝されるのも気持ちいい。だからこうやって人助けをしているけれど……お前の場合は、何を思って人助けというか、悪党退治をしているのかなってさ? 金のためか? それともすっきりするからか? それとも、世のため人のためか?」
裕也がそう尋ねると、百合根は少し悩んでから回答をまとめた。
「全部かな。少なくとも、裕也が言ったことは全部。悪い人が一人でも少なくなるのはいいことだし、お金も手に入るし、悪党を退治すれば誰かが褒めてくれる……。で、最後の理由なんだけれど……もう真由美ちゃんには話したけれどさ。盲導犬に大怪我をさせた男を現場に送ったときね……私、すごく楽しかったの。気付いちゃったんだよね……私は人を虐げるのが好きだってこと」
昔を懐かしむように百合根は言う。
百合根は裕也と真由美の顔をガシっと掴んで近寄せると、二人にだけ聞こえる声でそう言った。
「そ、それはその、中々刺激的ですね……また、山奥の現場ですかね? 例の盲導犬の時みたいに」
真由美は苦笑しながらそう尋ねる。
「うーん、そこはこいつらの事情と要相談ね。親がきちんと責任を取るのならまぁ……シャバに放してあげないこともないけれど。もしも責任取れないなら……まぁ、自分で責任を取るしかないよねぇ」
真由美にこいつらの処遇を聞かれた百合根は、肝心なところをどうするか言わずに話をはぐらかす。
「なんだ、もしかして真由美も、百合根が盲導犬のトラブルに関わっていた事、知ってるのか?」
「あ、はい。ちょっと聞く機会があったので」
裕也に問われると、真由美は小さく頷いた。
「じゃ、ちょうどいい、百合根、聞きたいことがあったんだ。お前、中学二年生のころから、よくこうやって悪党を退治しては、地獄を見せるようになったじゃないか……お前は何のためにそんなことを始めたのかなって、前々から気になってたんだ。お前、盲導犬の時から、なんか人が変わったように悪党退治をはじめたじゃないか?」
「なあに、唐突に?」
「俺も、人助けをするようになってから色々あって、気になったんだよ。誰かの笑顔を見られるのは好きだし、褒められたり感謝されるのも気持ちいい。だからこうやって人助けをしているけれど……お前の場合は、何を思って人助けというか、悪党退治をしているのかなってさ? 金のためか? それともすっきりするからか? それとも、世のため人のためか?」
裕也がそう尋ねると、百合根は少し悩んでから回答をまとめた。
「全部かな。少なくとも、裕也が言ったことは全部。悪い人が一人でも少なくなるのはいいことだし、お金も手に入るし、悪党を退治すれば誰かが褒めてくれる……。で、最後の理由なんだけれど……もう真由美ちゃんには話したけれどさ。盲導犬に大怪我をさせた男を現場に送ったときね……私、すごく楽しかったの。気付いちゃったんだよね……私は人を虐げるのが好きだってこと」
昔を懐かしむように百合根は言う。
0
お気に入りに追加
38
あなたにおすすめの小説
ハーレムに憧れてたけど僕が欲しいのはヤンデレハーレムじゃない!
いーじーしっくす
青春
赤坂拓真は漫画やアニメのハーレムという不健全なことに憧れる健全な普通の男子高校生。
しかし、ある日突然目の前に現れたクラスメイトから相談を受けた瞬間から、拓真の学園生活は予想もできない騒動に巻き込まれることになる。
その相談の理由は、【彼氏を女帝にNTRされたからその復讐を手伝って欲しい】とのこと。断ろうとしても断りきれない拓真は渋々手伝うことになったが、実はその女帝〘渡瀬彩音〙は拓真の想い人であった。そして拓真は「そんな訳が無い!」と手伝うふりをしながら彩音の潔白を証明しようとするが……。
証明しようとすればするほど増えていくNTR被害者の女の子達。
そしてなぜかその子達に付きまとわれる拓真の学園生活。
深まる彼女達の共通の【彼氏】の謎。
拓真の想いは届くのか? それとも……。
「ねぇ、拓真。好きって言って?」
「嫌だよ」
「お墓っていくらかしら?」
「なんで!?」
純粋で不純なほっこりラブコメ! ここに開幕!
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
校長先生の話が長い、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
学校によっては、毎週聞かされることになる校長先生の挨拶。
学校で一番多忙なはずのトップの話はなぜこんなにも長いのか。
とあるテレビ番組で関連書籍が取り上げられたが、実はそれが理由ではなかった。
寒々とした体育館で長時間体育座りをさせられるのはなぜ?
なぜ女子だけが前列に集められるのか?
そこには生徒が知りえることのない深い闇があった。
新年を迎え各地で始業式が始まるこの季節。
あなたの学校でも、実際に起きていることかもしれない。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
ずっと女の子になりたかった 男の娘の私
ムーワ
BL
幼少期からどことなく男の服装をして学校に通っているのに違和感を感じていた主人公のヒデキ。
ヒデキは同級生の女の子が履いているスカートが自分でも履きたくて仕方がなかったが、母親はいつもズボンばかりでスカートは買ってくれなかった。
そんなヒデキの幼少期から大人になるまでの成長を描いたLGBT(ジェンダーレス作品)です。
[完結済み]男女比1対99の貞操観念が逆転した世界での日常が狂いまくっている件
森 拓也
キャラ文芸
俺、緒方 悟(おがた さとる)は意識を取り戻したら男女比1対99の貞操観念が逆転した世界にいた。そこでは男が稀少であり、何よりも尊重されていて、俺も例外ではなかった。
学校の中も、男子生徒が数人しかいないからまるで雰囲気が違う。廊下を歩いてても、女子たちの声だけが聞こえてくる。まるで別の世界みたいに。
そんな中でも俺の周りには優しいな女子たちがたくさんいる。特に、幼馴染の美羽はずっと俺のことを気にかけてくれているみたいで……
彼女に振られた俺の転生先が高校生だった。それはいいけどなんで元カノ達まで居るんだろう。
遊。
青春
主人公、三澄悠太35才。
彼女にフラれ、現実にうんざりしていた彼は、事故にあって転生。
……した先はまるで俺がこうだったら良かったと思っていた世界を絵に書いたような学生時代。
でも何故か俺をフッた筈の元カノ達も居て!?
もう恋愛したくないリベンジ主人公❌そんな主人公がどこか気になる元カノ、他多数のドタバタラブコメディー!
ちょっとずつちょっとずつの更新になります!(主に土日。)
略称はフラれろう(色とりどりのラブコメに精一杯の呪いを添えて、、笑)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる