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第13章:お祭りの日
12話:悪い人
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『ねぇ、ところでさ、裕也。貴方、この信仰心を集めるための親切の見返りに、貴方は一体どんなご利益を望むのかしら? そろそろ決まった? タケミカヅチの分身を分けてもらって、それを守護霊にするとかそういう野望は出来たかしら?』
「うーん……あんまり、いらないかな。もう、ご利益なら受け取ってる」
『ふーん。まぁ、なんとなくわかるよ。今のあなた、すごく幸せそうだし』
「やっぱりわかるか? なんていうか……人に親切にしてたら人が集まってきて、集まった人たちはみんないい人たちで、話していて気分がいい。人助けをすると、気分もよくなるし、人がついて来てくれる。それに、古々も家にいてくれる。これ以上望むことなんてないよ」
『ふーん。でも、私が何にもしないっていうのは、協力頼んだ身としては、心苦しいなぁ……』
「何もしないって、お前は俺の望むことをしてくれているだろ? 俺の守護霊になってくれてる。話し相手になってくれている。それだけじゃ足りないって思うならさ、明日香の兄ちゃんはプロの格闘家目指してるんだろ? 神様の分身を守護霊にして貰えるって言うんなら、あの人に譲っちゃっていいよ。俺は、たいそうな幸せとかに興味はないし」
『無欲ね。つまらないわ……欲とかないの?』
「つまらないって……そりゃ、俺にだって欲求はあるさ? 美味しいものを食べたいし、女とヤリたいし、怠けていたいし。でも、分不相応のものを望み過ぎると……破滅する。人を不幸にする。俺はそんな奴にはなりたくないし。俺は煌びやかな服も宝石もいらないし……俺が欲しいのは、多分……愛だよって、なんか女みたいなこと言ってるな。なんかこう、もっとうまい言い方ないかなぁ……愛とか言うの照れくさいし」
『欲に溺れないようにするってのはいい心がけね。でも、女とヤリたいのなら……振々に頼めば女性の性欲を刺激することもできる。あなたならそうそう悪用もしないだろうし、必要になったらそれくらいの手助けはしてもいいからね?』
「前も言ったけれど、守護霊だからって見られながらってのはどうもなー……まぁ、お前案外口が堅いところはあるし、お前相手なら見られても大丈夫かもなぁ……うーん、露出趣味はないんだがなぁ……」
『えー、貴方の初体験を観察するのは楽しみなのになぁ……』
「勘弁してくれ
行き交う人を眺めながら、裕也は言う。親しい人と祭りばやしを聞いていると、嫌なことはすべて忘れて、楽しいことばかりがあふれるような気分であった。古々との会話を終え、再び真由美たちと合流した裕也は二人との世間話を再開する。
しかし、こちらがどんなにいい気分でも、悪い奴というのは待ってくれない。
『ねぇ、裕也。ちょっといいかな?』
裕也は、古々にちらりと目をやると、スマートフォンを取り出し、画面を見る。
『助けを求めている人がいる……女の子二人の友達同士。お祭りだから、やっぱりみんなお金を持ち歩いているってことで……それを狙う悪い奴人がいるみたい。行ってあげて』
「しゃーねぇな……すまん、真田さん、及川さん。なんかトラブルがあったみたいで、行ってくる、ちょっと暴力沙汰になるかも」
「あ、行ってらっしゃい……気を付けて……」
素華は立ち上がる裕也を座ったまま見送る。
「私も行きます」
が、真由美はついていくつもりのようだ。スマートフォンをこの時点から撮影状態にするあたり、彼女は心得ている。有事の際、裕也が武力行使をした時など、その正当性を主張するために撮影、ということだろう。
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「うーん……あんまり、いらないかな。もう、ご利益なら受け取ってる」
『ふーん。まぁ、なんとなくわかるよ。今のあなた、すごく幸せそうだし』
「やっぱりわかるか? なんていうか……人に親切にしてたら人が集まってきて、集まった人たちはみんないい人たちで、話していて気分がいい。人助けをすると、気分もよくなるし、人がついて来てくれる。それに、古々も家にいてくれる。これ以上望むことなんてないよ」
『ふーん。でも、私が何にもしないっていうのは、協力頼んだ身としては、心苦しいなぁ……』
「何もしないって、お前は俺の望むことをしてくれているだろ? 俺の守護霊になってくれてる。話し相手になってくれている。それだけじゃ足りないって思うならさ、明日香の兄ちゃんはプロの格闘家目指してるんだろ? 神様の分身を守護霊にして貰えるって言うんなら、あの人に譲っちゃっていいよ。俺は、たいそうな幸せとかに興味はないし」
『無欲ね。つまらないわ……欲とかないの?』
「つまらないって……そりゃ、俺にだって欲求はあるさ? 美味しいものを食べたいし、女とヤリたいし、怠けていたいし。でも、分不相応のものを望み過ぎると……破滅する。人を不幸にする。俺はそんな奴にはなりたくないし。俺は煌びやかな服も宝石もいらないし……俺が欲しいのは、多分……愛だよって、なんか女みたいなこと言ってるな。なんかこう、もっとうまい言い方ないかなぁ……愛とか言うの照れくさいし」
『欲に溺れないようにするってのはいい心がけね。でも、女とヤリたいのなら……振々に頼めば女性の性欲を刺激することもできる。あなたならそうそう悪用もしないだろうし、必要になったらそれくらいの手助けはしてもいいからね?』
「前も言ったけれど、守護霊だからって見られながらってのはどうもなー……まぁ、お前案外口が堅いところはあるし、お前相手なら見られても大丈夫かもなぁ……うーん、露出趣味はないんだがなぁ……」
『えー、貴方の初体験を観察するのは楽しみなのになぁ……』
「勘弁してくれ
行き交う人を眺めながら、裕也は言う。親しい人と祭りばやしを聞いていると、嫌なことはすべて忘れて、楽しいことばかりがあふれるような気分であった。古々との会話を終え、再び真由美たちと合流した裕也は二人との世間話を再開する。
しかし、こちらがどんなにいい気分でも、悪い奴というのは待ってくれない。
『ねぇ、裕也。ちょっといいかな?』
裕也は、古々にちらりと目をやると、スマートフォンを取り出し、画面を見る。
『助けを求めている人がいる……女の子二人の友達同士。お祭りだから、やっぱりみんなお金を持ち歩いているってことで……それを狙う悪い奴人がいるみたい。行ってあげて』
「しゃーねぇな……すまん、真田さん、及川さん。なんかトラブルがあったみたいで、行ってくる、ちょっと暴力沙汰になるかも」
「あ、行ってらっしゃい……気を付けて……」
素華は立ち上がる裕也を座ったまま見送る。
「私も行きます」
が、真由美はついていくつもりのようだ。スマートフォンをこの時点から撮影状態にするあたり、彼女は心得ている。有事の際、裕也が武力行使をした時など、その正当性を主張するために撮影、ということだろう。
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