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第13章:お祭りの日
5話
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「ほら、女を倒すことすらできない。情けない」
言いながら真由美は、タバコを掴んでいた火バサミを逆手に握りしめ、武器のように構える
「拾え! 三度も言わせるな!」
そうこうしているうちに、相手の背後に裕也がやってきている。裕也は真由美のほうを見て驚いた顔をしていたが、状況を把握してか歩いて近寄ってきた。相手が殴ってきたらいつでも仇は取るぞ、とばかりの態度で、どうやら助けを求められるまではこちらを助けるつもりもないらしい。面倒見がいいけれど、甘やかしはしない……裕也は以前からそういう男だ。ポイ捨てした男はといえば、さすがに武器を使われれば部が悪いと判断したのかもしれない、憎らしそうにこっちを睨んでいたが、やがて真由美を無視してその場を去ろうとしてきた。
「逃げるな!」
真由美はタバコを火バサミでつかむと、そいつの後ろをついていく。裕也も真由美の後ろをついていく。男は走り出した。真由美もその後ろを走る。タバコのせいで持久力がないのか、男はすぐにばてた。しかし、気付けばあまり一通りの少ないところ。
「へ、てめぇ、こんなところに1人できて、危なくないのか? ハァハァ……」
男は走って息切れをしながらも得意げな態度だったが……
「じゃ、2人になります」
と、裕也が後ろから出てきたところで顔色が変わってしまった。
「……それで、そのタバコどうするの? 持って帰るの?」
裕也に睨まれた男は悔し気に歯を食いしばってから、真由美が火バサミでつまんでいるタバコをポケットに入れ、黙って立ち去っていく。
「本当に男には何も言えないんですね。あいつ、女のくせに生意気だとか言ってきたんですよ?」
「え、そんなこと言っていたの? ダサすぎるだろ……っていうか、弱いくせに生意気だよな」
「はい、情けないくせに生意気です。男に勝てないから女を恫喝する、弱いものに強い典型的な小物でした」
裕也と真由美は相手に聞こえるようにそう言ってやる。結局、男はタバコのポイ捨てをしたばかりに、大きな屈辱とストレスを感じながら一日を過ごすことになってしまうのであった。
「おっと、アキラも助け呼んでくれてありがとな」
「い、いえ……むしろ、あれしかできなくって申し訳ないくらいですよ。俺、男なのに何にもできないで……」
一方、裕也の背中をさらに追っていた今川アキラはといえば、自分より体の小さい女子が男相手に一歩も引かないのに、自分は助けを呼ぶのが背一杯という事実に情けなさを感じるのであった。
「しゃーね―さ。むしろ真由美、お前ちょっと危ない橋渡りすぎだぞ。いきなり殴りかかってきたらどうするんだ?」
「なんとなくですけれど、いきなり顔を殴ってくるほどの度胸があるように見えなかったので、つい……」
裕也はしょうがないというが、それでも女性に度胸で負けていると思うと、やっぱり男としてどうしても気になってしまうのだ。
言いながら真由美は、タバコを掴んでいた火バサミを逆手に握りしめ、武器のように構える
「拾え! 三度も言わせるな!」
そうこうしているうちに、相手の背後に裕也がやってきている。裕也は真由美のほうを見て驚いた顔をしていたが、状況を把握してか歩いて近寄ってきた。相手が殴ってきたらいつでも仇は取るぞ、とばかりの態度で、どうやら助けを求められるまではこちらを助けるつもりもないらしい。面倒見がいいけれど、甘やかしはしない……裕也は以前からそういう男だ。ポイ捨てした男はといえば、さすがに武器を使われれば部が悪いと判断したのかもしれない、憎らしそうにこっちを睨んでいたが、やがて真由美を無視してその場を去ろうとしてきた。
「逃げるな!」
真由美はタバコを火バサミでつかむと、そいつの後ろをついていく。裕也も真由美の後ろをついていく。男は走り出した。真由美もその後ろを走る。タバコのせいで持久力がないのか、男はすぐにばてた。しかし、気付けばあまり一通りの少ないところ。
「へ、てめぇ、こんなところに1人できて、危なくないのか? ハァハァ……」
男は走って息切れをしながらも得意げな態度だったが……
「じゃ、2人になります」
と、裕也が後ろから出てきたところで顔色が変わってしまった。
「……それで、そのタバコどうするの? 持って帰るの?」
裕也に睨まれた男は悔し気に歯を食いしばってから、真由美が火バサミでつまんでいるタバコをポケットに入れ、黙って立ち去っていく。
「本当に男には何も言えないんですね。あいつ、女のくせに生意気だとか言ってきたんですよ?」
「え、そんなこと言っていたの? ダサすぎるだろ……っていうか、弱いくせに生意気だよな」
「はい、情けないくせに生意気です。男に勝てないから女を恫喝する、弱いものに強い典型的な小物でした」
裕也と真由美は相手に聞こえるようにそう言ってやる。結局、男はタバコのポイ捨てをしたばかりに、大きな屈辱とストレスを感じながら一日を過ごすことになってしまうのであった。
「おっと、アキラも助け呼んでくれてありがとな」
「い、いえ……むしろ、あれしかできなくって申し訳ないくらいですよ。俺、男なのに何にもできないで……」
一方、裕也の背中をさらに追っていた今川アキラはといえば、自分より体の小さい女子が男相手に一歩も引かないのに、自分は助けを呼ぶのが背一杯という事実に情けなさを感じるのであった。
「しゃーね―さ。むしろ真由美、お前ちょっと危ない橋渡りすぎだぞ。いきなり殴りかかってきたらどうするんだ?」
「なんとなくですけれど、いきなり顔を殴ってくるほどの度胸があるように見えなかったので、つい……」
裕也はしょうがないというが、それでも女性に度胸で負けていると思うと、やっぱり男としてどうしても気になってしまうのだ。
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