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第11章:いいお話があります
20話
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『そして、分身が摂取したそのお祈りの気持ちとかを、本体が回収するの。その時に、分身が見たこと、聞いたこと……そういった記憶と、栄養が本体の中に上書きされていくの』
「そりゃ便利だな。お前らにとって分身は栄養を取ってこさせる働きバチみたいなもんか」
『上手いたとえね。分身は自分から生まれた存在だから、食べればそのまま栄養になるのよ。挿し木して成長した分身は、そのまま本体に接ぎ木されて、本体の一部になるの。私達のもてなしとはそうやって分身を成長させて、レベルの高い分身を本体に食べさせることね。そのためには、分身を信仰心とか感謝の心だけを食べさせて育てないといけなくて……。ともかく、そうすることで、本体のレベルも上がる。代わりに、喰われた分身はレベルが下がってまた育てなおしになるんだけれどね』
「そりゃ苦労が絶えないな」
『そう、苦労が絶えないのよ! その重要な時期を切り抜けるためにも、タケミカヅチをおもてなしした後も、しばらくは信仰心を集めないといつまでも分身が弱いままになっちゃうから……だから、タケミカヅチをおもてなしした後も、人助けをよろしくお願いね?』
「え、そういう流れなの!? まぁ、そりゃご利益貰ったからって、人助けをいきなり辞めるつもりはないけれどさ……それでいいんだろ?」
『うん。分身がある程度成長すれば、私達の負担も少なくなるからね』
古々は言質が取れてご機嫌な表情を浮かべている。
『そんなわけで、分身っていうものは、神にとっては案外簡単に生み出せるものだし、利用法も様々なのよね……簡単に生み出せるから、監視をするために分身を作ることもあるし……場合によっては、神様の分身を守護霊として連れていかせることもできるわけで』
「……マジか!?」
分身とはいえ、神を守護霊として連れ歩くなど、そんなことが出来るものなのかと裕也は目を見開く。どれくらいすごいのかよくわからないが、とりあえず、とてもすごい響きである。響きに惹かれて、裕也はもっと話を聞く気になる。
『もちろん、本家本元の神様に認めてもらうくらいの活躍をした場合に限るし、分身のレベルが低ければいかに神と言えど大したは出来ない。だから、神様を守護霊にしたいだなんて野望があるなら、これからもあなたは人助けを頑張らないとね』
「……なんか、やる気が出てきたかも。ちなみに、タケミカヅチを守護霊にしたら何が出来るんだ?」
『発泡スチロールがめっちゃくっつく!』
「だからそれはいらねぇっての!? もっと有益な能力とかないのかよ!?」
裕也は古々のボケに遠慮なくツッコミを入れた。
『地震の予知ができるとか?』
「そっちのほうがずっと有益だろ……」
古々がたまにズレた回答をするときは天然なのか、それとも計算ずくなのか。全く面白い奴だと裕也は笑う。
タケミカヅチの分身が見守っている。場合によってはその分身を守護霊として連れ歩くこともできる。そうとくれば、神社で迂闊なことはできないなと裕也は理解する。とはいえ、古々から今教えてもらったことを踏まえたところで、今までとやることなんて変わらないのだ。人のため、それ以上に自分のために、裕也は人助けを続けること決意を改めて固めた。
「そりゃ便利だな。お前らにとって分身は栄養を取ってこさせる働きバチみたいなもんか」
『上手いたとえね。分身は自分から生まれた存在だから、食べればそのまま栄養になるのよ。挿し木して成長した分身は、そのまま本体に接ぎ木されて、本体の一部になるの。私達のもてなしとはそうやって分身を成長させて、レベルの高い分身を本体に食べさせることね。そのためには、分身を信仰心とか感謝の心だけを食べさせて育てないといけなくて……。ともかく、そうすることで、本体のレベルも上がる。代わりに、喰われた分身はレベルが下がってまた育てなおしになるんだけれどね』
「そりゃ苦労が絶えないな」
『そう、苦労が絶えないのよ! その重要な時期を切り抜けるためにも、タケミカヅチをおもてなしした後も、しばらくは信仰心を集めないといつまでも分身が弱いままになっちゃうから……だから、タケミカヅチをおもてなしした後も、人助けをよろしくお願いね?』
「え、そういう流れなの!? まぁ、そりゃご利益貰ったからって、人助けをいきなり辞めるつもりはないけれどさ……それでいいんだろ?」
『うん。分身がある程度成長すれば、私達の負担も少なくなるからね』
古々は言質が取れてご機嫌な表情を浮かべている。
『そんなわけで、分身っていうものは、神にとっては案外簡単に生み出せるものだし、利用法も様々なのよね……簡単に生み出せるから、監視をするために分身を作ることもあるし……場合によっては、神様の分身を守護霊として連れていかせることもできるわけで』
「……マジか!?」
分身とはいえ、神を守護霊として連れ歩くなど、そんなことが出来るものなのかと裕也は目を見開く。どれくらいすごいのかよくわからないが、とりあえず、とてもすごい響きである。響きに惹かれて、裕也はもっと話を聞く気になる。
『もちろん、本家本元の神様に認めてもらうくらいの活躍をした場合に限るし、分身のレベルが低ければいかに神と言えど大したは出来ない。だから、神様を守護霊にしたいだなんて野望があるなら、これからもあなたは人助けを頑張らないとね』
「……なんか、やる気が出てきたかも。ちなみに、タケミカヅチを守護霊にしたら何が出来るんだ?」
『発泡スチロールがめっちゃくっつく!』
「だからそれはいらねぇっての!? もっと有益な能力とかないのかよ!?」
裕也は古々のボケに遠慮なくツッコミを入れた。
『地震の予知ができるとか?』
「そっちのほうがずっと有益だろ……」
古々がたまにズレた回答をするときは天然なのか、それとも計算ずくなのか。全く面白い奴だと裕也は笑う。
タケミカヅチの分身が見守っている。場合によってはその分身を守護霊として連れ歩くこともできる。そうとくれば、神社で迂闊なことはできないなと裕也は理解する。とはいえ、古々から今教えてもらったことを踏まえたところで、今までとやることなんて変わらないのだ。人のため、それ以上に自分のために、裕也は人助けを続けること決意を改めて固めた。
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