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第9章:最低な男を探せ

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「そんなこと言ったって! どうにもならないでしょ! そんなことをいうくらいなら助けなさいよ!」
「……まぁ、助けられそうならね。ってか、あんた態度大きい。助けてほしいなら頭くらい下げたらどうなの?」
「何よ! あんた見たところ若いようだけれど、中学生か高校生じゃないの!? 年上を敬う気持ちもないってわけ!?」
「……うん、ない。だって、本名も知らない男と、きちんとした避妊もせずにやっちゃう女を、どう敬えと……? 自分が敬われる相手だと思ってるわけ? どこからその自信が来るのよ!?」
 素華は相変わらず、敵を作りやすいくらいに歯に衣着せない言動で、正気でいることも難しい状況の女性に正論をズバズバと言う。
「うぅぅぅぅ……」
 女は反論も出来ずに歯を食いしばった。
「要するに、その最低な男を探せばいいってことだと思うけれど、なんかないの? 写真とか、そういうの……」
「うー……私は! あの人が好きだったの」
「いや、知らないから。ロクでもない男を好きになっちゃったのね。ってか、話聞いてる? 写真とかそういう、相手の情報が少しでもわかるもの、ないの?」
 素華はため息をついた。相手は興奮しすぎてこちらの話をちゃんと聞いてくれていない。冷静になれというのも難しい話かもしれないが、冷静にならないと話が進まない。
「あんた、少しは慰めるとかしてよぉ……」
「いや、そういうの私苦手なの。大体、あんたアホすぎて慰める気にもならないし。その彼氏さんを探すの、手伝わなくていいなら私もう帰るね……」
 どうにも、相手の頭が悪すぎる上に、感情に振り回されるばかりで論理的な思考が出来そうにない。そんな相手の面倒を見るのは疲れるので、やはり無視すべきかと素華はその場を去ろうとする。
「待って! 協力しなさいよ!」
 が、相手も頼れる人間がいない以上、素華に縋り付こうとする。
「……だから、態度。人にものを頼むときはそれなりの態度を取りなさい。あんた、人にものを頼むときはどうするか、今までの人生で学んでこなかったの? どういう人生を過ごしたらそうなるのよ、アホなの?」
 素華はもう一度ため息をつく。相手の女性もいきなり興奮を納めるのは難しいのか、一度深く深呼吸をする。
「……お願いします」
 彼女はようやく頭を下げた。
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