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第8章:部活にクレーム
19話:誇らしい父
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放課後、学校から15キロメートルほど離れたとある物流倉庫。アキラの父親は、とある物流会社の事務所と現場を行き来する形で働いている。
「今川太助さん、お子様のアキラとトウキさんがお越しです……なんでも、父親に直接届けたいものがあるからと……」
基本的には事務所仕事だが、仕事量が多い日は現場を手伝いに……という感じだ。そんな父の元に、裕也はアキラを名乗り。アキラは弟の名前、冬喜(とうき)の名前を名乗って会社を訪れた。事務所に二人がたどり着くと、父親は不機嫌そうな様子で「何しに来た!?」とアキラ、トウキを一喝……したつもりだったが、そこにいたのは見知らぬ男、三橋裕也だ。
「え……誰だ、お前?」
「始めまして、今川明さんの友人の、三橋裕也と申します」
裕也は父親に問われるまま、事務所の全員に聞こえる声で自己紹介をする。
今日は、この会社の皆様に、息子が大事なことを伝えに来ました。ついてはその、立会人を申し出た次第でございます」
裕也はそう言って深々と頭を下げる。
「ご紹介に預かりました、今川明と申します」
「お前ら何のつもりだ! その男は誰だ!?」
大声を上げて父親である太助がアキラに詰め寄ろうとするが、それを裕也が立ちはだかって止める。
「邪魔させねえよ。今からお前の息子が、父親の素晴らしいところを発表するんだ。誇らしいだろ?」
裕也は冷たい目で父親を睨みつつ、厭味ったらしいことを言う。これから何が行われるかもわからない父親は、威圧感のある裕也を強行突破することも出来ず、足踏みをする。
「始めに言っておくことがありますが、恥ずかしながら俺はゲイです……男が好きな男なわけで、まぁ、少数派ですね。ただ、それを知った俺の親は、父親も母親も、俺のことを殴りました。お前は失敗作だ! 気持ち悪い! 汚らしいって、罵りながら。動画もあります。もしも詳しく知りたければ、後でいくらでも見せます!」
「な……お前は何を!?」
大声でアキラがスピーチするので、事務所にいる全員の視線がアキラの方へと向く。
「でも、父親にとってはそれが正しいみたいです。俺が『ゲイで何か迷惑をかけたか!? 犯罪でも犯したか?』って聞いても、『ゲイなんて普通じゃない、頭がおかしい』と、とても知性を感じる返答をいただけました。ここにいる皆さん、ゲイの息子を殴って躾けようとしたり、知性を感じる言葉で言い聞かせたこの父親と、母親を大いに褒めてください! はい、拍手!」
そうアキラが声を上げるが、事務所の空気は冷え切っている。中には電話をしている最中の人もいるのだが、その人は電話に集中できずに迷惑をかけてしまっていう。それに関しては、少し気まずい。冷え切った雰囲気の事務所の中、父親に注がれる視線は冷たかった。
「今川太助さん、お子様のアキラとトウキさんがお越しです……なんでも、父親に直接届けたいものがあるからと……」
基本的には事務所仕事だが、仕事量が多い日は現場を手伝いに……という感じだ。そんな父の元に、裕也はアキラを名乗り。アキラは弟の名前、冬喜(とうき)の名前を名乗って会社を訪れた。事務所に二人がたどり着くと、父親は不機嫌そうな様子で「何しに来た!?」とアキラ、トウキを一喝……したつもりだったが、そこにいたのは見知らぬ男、三橋裕也だ。
「え……誰だ、お前?」
「始めまして、今川明さんの友人の、三橋裕也と申します」
裕也は父親に問われるまま、事務所の全員に聞こえる声で自己紹介をする。
今日は、この会社の皆様に、息子が大事なことを伝えに来ました。ついてはその、立会人を申し出た次第でございます」
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大声を上げて父親である太助がアキラに詰め寄ろうとするが、それを裕也が立ちはだかって止める。
「邪魔させねえよ。今からお前の息子が、父親の素晴らしいところを発表するんだ。誇らしいだろ?」
裕也は冷たい目で父親を睨みつつ、厭味ったらしいことを言う。これから何が行われるかもわからない父親は、威圧感のある裕也を強行突破することも出来ず、足踏みをする。
「始めに言っておくことがありますが、恥ずかしながら俺はゲイです……男が好きな男なわけで、まぁ、少数派ですね。ただ、それを知った俺の親は、父親も母親も、俺のことを殴りました。お前は失敗作だ! 気持ち悪い! 汚らしいって、罵りながら。動画もあります。もしも詳しく知りたければ、後でいくらでも見せます!」
「な……お前は何を!?」
大声でアキラがスピーチするので、事務所にいる全員の視線がアキラの方へと向く。
「でも、父親にとってはそれが正しいみたいです。俺が『ゲイで何か迷惑をかけたか!? 犯罪でも犯したか?』って聞いても、『ゲイなんて普通じゃない、頭がおかしい』と、とても知性を感じる返答をいただけました。ここにいる皆さん、ゲイの息子を殴って躾けようとしたり、知性を感じる言葉で言い聞かせたこの父親と、母親を大いに褒めてください! はい、拍手!」
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