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第7章:男になりたい?
17話
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「あ、あれは……家族同士の事だからふざけ合いや冗談になるのであって……」
「ほー? あれってどれのことだ? 何かやらかした自覚あるんだな、お前ら。まぁ、元から言い訳なんてさせないつもりだったが」
「……くそ」
語るに落ちたことを自覚して父親が毒づく。まだ昨夜の光景が録画、録音されていることまでは頭が回っていないようだが、それを突きつける必要すらないようだ。
「とにかく、警察を呼ばれたくなかったら、そこを動くな!」
「勝手に呼べば? っていうかさ、今の言葉……家族同士ならふざけ合いや冗談になる……って発言、後悔しないな?」
「何を言っているんだお前は!? いいからそこにいろ!!」
父親に言われるが、裕也は綾乃の気配を感じて一言。
「嫌ですよ」
『裕也。綾乃ちゃんは準備万端よ。私が勇気をあげてくる』
「オーケー。存分にやりなよ。全く、自分が同じことをやられて反省の一つでもするんならまだ救いようもあったけれど……どうやら、自分を客観視することはできないみたいだ」
古々に促されて、裕也は小走りで玄関に向かい、避難した。一方、綾乃はといえば、冬用の分厚いコートを身に纏い、顔にはガスマスク、腕には二本の催涙スプレーという姿で、家族全員が揃っているリビングへと入っていく。綾乃は腕を掴まれないように、腕には大量の画びょうを貼り付けていた。
これではたとえ裕也でも、彼女を掴んで押さえつけるのは困難を極める。
「もう、救うのは無理だってわかったわ」
裕也がそう捨てセリフを吐き終わる前に、綾乃は祖父に催涙スプレーをぶっかけた。突如上がる悲鳴。それは祖父の声はもちろんだが、母親の声も混じっていた。何が起こったかわからず、身構えられる前に綾乃は父親の元に向かい、同様に催涙スプレーを噴射する。父親はスプレーの直撃を腕で防御をしたが、無駄だった。完全に目を覆っていればあるいは催涙スプレーを防げたかもしれないが、ただ顔の前に腕を構えただけでは防げない。目を瞑っていたが、そんなものは無駄である。
最後に弟の元へ。弟は座っていた場所に置いてあった花瓶を手に取り、それを振り回す。中の水が綾乃にかかるが、当然その程度なんの意味もない。家を散らかしてはいけない、という理性が僅かに勝ってその花瓶を投げることも出来ず、弟もなすすべなく催涙スプレーを浴びせかけられる。花瓶は絨毯の上に落ちて、割れることなく転がった。
全員、目はもちろんのこと鼻や喉にも催涙スプレーが入り込んだのだろう、くしゃみと咳が止まらず、音で綾乃の居場所を知るということもできない。
「もう嫌だ」
綾乃の手には竹の棒に結びつけられた自転車のチェーンが握られていた。それを、一気に振り下ろす。催涙スプレーをかけられたそれとは比べ物にならないほどの汚い悲鳴が部屋の中に轟いた。
「ほー? あれってどれのことだ? 何かやらかした自覚あるんだな、お前ら。まぁ、元から言い訳なんてさせないつもりだったが」
「……くそ」
語るに落ちたことを自覚して父親が毒づく。まだ昨夜の光景が録画、録音されていることまでは頭が回っていないようだが、それを突きつける必要すらないようだ。
「とにかく、警察を呼ばれたくなかったら、そこを動くな!」
「勝手に呼べば? っていうかさ、今の言葉……家族同士ならふざけ合いや冗談になる……って発言、後悔しないな?」
「何を言っているんだお前は!? いいからそこにいろ!!」
父親に言われるが、裕也は綾乃の気配を感じて一言。
「嫌ですよ」
『裕也。綾乃ちゃんは準備万端よ。私が勇気をあげてくる』
「オーケー。存分にやりなよ。全く、自分が同じことをやられて反省の一つでもするんならまだ救いようもあったけれど……どうやら、自分を客観視することはできないみたいだ」
古々に促されて、裕也は小走りで玄関に向かい、避難した。一方、綾乃はといえば、冬用の分厚いコートを身に纏い、顔にはガスマスク、腕には二本の催涙スプレーという姿で、家族全員が揃っているリビングへと入っていく。綾乃は腕を掴まれないように、腕には大量の画びょうを貼り付けていた。
これではたとえ裕也でも、彼女を掴んで押さえつけるのは困難を極める。
「もう、救うのは無理だってわかったわ」
裕也がそう捨てセリフを吐き終わる前に、綾乃は祖父に催涙スプレーをぶっかけた。突如上がる悲鳴。それは祖父の声はもちろんだが、母親の声も混じっていた。何が起こったかわからず、身構えられる前に綾乃は父親の元に向かい、同様に催涙スプレーを噴射する。父親はスプレーの直撃を腕で防御をしたが、無駄だった。完全に目を覆っていればあるいは催涙スプレーを防げたかもしれないが、ただ顔の前に腕を構えただけでは防げない。目を瞑っていたが、そんなものは無駄である。
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全員、目はもちろんのこと鼻や喉にも催涙スプレーが入り込んだのだろう、くしゃみと咳が止まらず、音で綾乃の居場所を知るということもできない。
「もう嫌だ」
綾乃の手には竹の棒に結びつけられた自転車のチェーンが握られていた。それを、一気に振り下ろす。催涙スプレーをかけられたそれとは比べ物にならないほどの汚い悲鳴が部屋の中に轟いた。
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