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第5章:相撲部、復活
19話
しおりを挟む「なるほど、レイプってのは古々から見れば種イモや種もみを根こそぎ食べるようなもんだってわけか……しかし、百合根のご先祖様の名前がこうして出るとはなぁ。たしか、百合根と明日香はひいじいさんが兄弟同士なんだっけか? 人の歴史も妖怪の歴史も面白いもんだ。でも、それなら……お前たち、直接戦場に行けばいいんじゃないのか? 戦闘機同士での戦いならともかくだが……そう、例えば沖縄とかみたいな、陸上でのゲリラ戦なら、他人の殺意とか敵意を感じて、場所がわかるんじゃないのか?
たとえば、狙撃銃を持っている奴にお前が守護霊として憑けば大活躍間違いなしだし、お前は偵察もし放題。最強じゃないか?」
『そういう、守護霊を連れて戦場に出ているような奴もいたみたいだけれどね。シモ・ヘイヘとか……でも、私は、人の死霊(しりょう)はめったなことじゃ喰わないし、セックスしてる場合じゃないから、美味しい感情が手に入らないのよ。あ、死霊ってわかる? 人が死んだときに発生する幽霊のことね。死者の魂を食らうってイメージで言えばわかりやすいかな?』
「そんな奴もいるのか……戦場では跳梁跋扈してそうだな」
「えぇ、いっぱいいすぎて、そういう死霊を食べる霊がうようよしていると、私達まで穢れるから行きたくない。人間に例えれば、ハエや蛆が湧いている場所にいるようなものだからね……それに、あまりに悪魔的な活躍をすると、私達の存在が一般市民にバレる可能性もある。科学が発展した今、人間がいつ我々妖怪や幽霊、神といった見えざる者を観測し、何時しか干渉できるようになるかはわからない。そういうリスクは防ぎたいわ』
「そっか……なるほど、お前たち妖怪やら神使は、正体を知られたくないって事情も絡むのか……それじゃあ、それより前の時代は……お前は何をしていたんだ? どんな生活をしていた?」
『どんな感じだと思う? 当ててみて』
そう言って怪しく微笑む古々は、なんというか男を手玉に取るのが上手そうだな、と裕也は思う。
「この神社は……確か戦国時代に、畑を荒らす巨大な鹿を、当時の武将が討ち取って……あまりの巨体にこの鹿は山の神の怒りだと思った地域の住民が、怒りを鎮めるために建てた祠が元だって聞いたな。以前は誇張が入ってると思ってたが、お前を見た後だと、本当なのかと思ってきたぞ……」
『よく覚えているじゃない。ちなみに本当よ』
このお話に関しては、毎年の夏祭りの際や、食事でお世話になった時期に何度か聞いたことがあるし明日香からも一度聞いたことがある。古々の反応を見るに、どうやら実話らしいのだが、一体どんな巨体だったのやら。
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