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第5章:相撲部、復活
7話
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「それで、離婚するのはいいとしてさ。今後の生活の基盤とかは、何か聞いてる?」
「母さん、一応パートで働いてはいるけれど、それだけじゃ生活できないって……でも、由香利ももう一人でお留守番できる年齢だから、これからは仕事増やせるって。
それでも足りない分はどうしようかって感じで……」
「そこは、養育費とか慰謝料で何とかするべきだろ? 言っちゃ悪いが、お前の母親大丈夫なのか? なんか、父親が少しでもごねてきたら、お前の母親って養育費をあきらめたりしちゃいそうで……」
「多分、ダメだと思います。昔から、私が殴られた時に、母は『ごめんね、素華』って謝ってきてくれてたんですけれど、具体的な行動は今まで何もしなかったので。私が何もしなかったら……貴方たちに出会えなかったら、今日の夜も私、殴られていたんじゃないですかね?」
全くどうしようもない、と、真由美は言う。
「そういうことなら、弁護士を挟んで交渉させたほうがいいだろうね。知り合いの知り合いに弁護士がたくさんいるから、そこから回してもらうように頼んでみるよ」
もっとも、その弁護士というのは暴力団御用達の弁護士であるため、離婚やDVの弁護士とはさすがに毛色が違う。とはいえ、証拠写真、証拠の動画も抑えてあるので、弁護士にとっては簡単な案件だろうから、どんな奴が来ても大丈夫そうだと裕也は楽観的に考えた。
その後、真由美は明日香とも話した後、母親に近況を聞いてみたが案の定だったようで。
やれ、『お前から離婚を切り出したんだから慰謝料は払わない』だの、『娘をあんな風に育てるような出来損ないの妻を持って俺が慰謝料を貰いたいくらい』だの、理解に苦しむような発言のオンパレードだそうなのだが、それに押し切られて、『慰謝料は貰わないほうがいいのだろうか』……と、悩んでいるらしかった。
「……こりゃダメだ。うちの母親、ダメですね」
「二回も言うほどダメだったのか? 無駄に5・7・5になってるぞ?」
「はい、ダメです。昔っから優柔不断で、父親に逆らうことも逃げることも全くできない人でしたから」
諦めたように真由美は苦笑した。
「母さん、一応パートで働いてはいるけれど、それだけじゃ生活できないって……でも、由香利ももう一人でお留守番できる年齢だから、これからは仕事増やせるって。
それでも足りない分はどうしようかって感じで……」
「そこは、養育費とか慰謝料で何とかするべきだろ? 言っちゃ悪いが、お前の母親大丈夫なのか? なんか、父親が少しでもごねてきたら、お前の母親って養育費をあきらめたりしちゃいそうで……」
「多分、ダメだと思います。昔から、私が殴られた時に、母は『ごめんね、素華』って謝ってきてくれてたんですけれど、具体的な行動は今まで何もしなかったので。私が何もしなかったら……貴方たちに出会えなかったら、今日の夜も私、殴られていたんじゃないですかね?」
全くどうしようもない、と、真由美は言う。
「そういうことなら、弁護士を挟んで交渉させたほうがいいだろうね。知り合いの知り合いに弁護士がたくさんいるから、そこから回してもらうように頼んでみるよ」
もっとも、その弁護士というのは暴力団御用達の弁護士であるため、離婚やDVの弁護士とはさすがに毛色が違う。とはいえ、証拠写真、証拠の動画も抑えてあるので、弁護士にとっては簡単な案件だろうから、どんな奴が来ても大丈夫そうだと裕也は楽観的に考えた。
その後、真由美は明日香とも話した後、母親に近況を聞いてみたが案の定だったようで。
やれ、『お前から離婚を切り出したんだから慰謝料は払わない』だの、『娘をあんな風に育てるような出来損ないの妻を持って俺が慰謝料を貰いたいくらい』だの、理解に苦しむような発言のオンパレードだそうなのだが、それに押し切られて、『慰謝料は貰わないほうがいいのだろうか』……と、悩んでいるらしかった。
「……こりゃダメだ。うちの母親、ダメですね」
「二回も言うほどダメだったのか? 無駄に5・7・5になってるぞ?」
「はい、ダメです。昔っから優柔不断で、父親に逆らうことも逃げることも全くできない人でしたから」
諦めたように真由美は苦笑した。
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