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第5章:相撲部、復活

2話

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「ところで古々。お前、なんか父親に変なことをしていなかったか? あれは、なんだったんだ?」
『あぁ、あれ? ほら、最初に会ったときに言ったけれど、私って電気を操れるじゃない? だから、目の周りの筋肉に電気を流して、瞼とか眼球とかをびくびくってさせたの。大した能力じゃないけれど、それで注意を逸らすことで、真由美ちゃんのサポートしていたのよ』
「へー……便利だな。発泡スチロールがめっちゃくっつく能力と言われた時は利用価値皆無だと思ってたが……使いようによってはめっちゃ使えるじゃないか」
『すごいでしょー? あれがなくても、真由美ちゃんは父親を刺せていたと思うけれど、あれでサポートもできるのよ』
「その能力、いつか使うかもしれないから覚えておくよ。しかし……今後が心配だな。ちゃんと母親は離婚できるのかどうか……」
『確かに、ちょっと気になるわね。私もちょっと様子見てくる』
「お、おう……行ってらっしゃい」
 古々はそう言うなり、塀に飛び乗り、屋根の上を駆け、駅のほうへと向かって行く。やはり幽霊は身軽だし、誰にも咎められることがなくて便利だ。
「そう言えばあいつ、窓とかすり抜けたり空も飛べるくせに、電車に乗っていくんだな……すり抜けることもすり抜けないこともできるのかな? というか空は飛べないのかな……? 空飛べたら飛行機よりも速く飛べるのかな……?」
 そういえば、自分は古々のことを何も知らない。幽霊や妖怪のようなものだとは認識しているが、彼らはどんなふうに生活(死活?)しているのかとか、知ろうともしていなかった。もしも幽霊の研究者であれば、古々の存在は垂涎ものの状況だろうに、何もしないというのは少しもったいない気もした。
 とはいえ、古々達は自分の研究をされるのは嫌がっている。彼らが自分から何かを言わない限りは、触れないほうが正解なのかもしれない。
「ところであいつ、真由美の親がどの病院いったとか知ってるのかな……?」
 古々が肝心なことを忘れて行動している事に気づいたのは、彼女が出ていって数十秒後のことであった。

 古々が出ていってから2時間ほど、裕也は夜を過ごしていた。色々なことをやってみたが、今日はだめな日だ。裕也は勉強をしてはいるものの、全く頭に入ってこない。諦めてゲームをしてみても、集中力が全く続かず、野良で仲間になった味方に迷惑ばかりかけてしまっている。ここまでダメな日は、さっさと寝てしまいたいところだが、寝てしまっても結局は眠れなくなってしまいそうな気がする。真由美のせいだというつもりはないが、真由美が父親の脚を刺した時のあの光景、あの叫び声がいまだに心の中に残っている。
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