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第2章:いじめを終わらせよう

19話

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「ところで、皆さん喧嘩慣れしてる感じでしたけれど、格闘技か何かやってるんですか?」
 藪の蛇をつつきそうになってばつが悪くなった素華は、話題を変えて話を逸らす。
「私は柔道と薙刀と空手。剣道も出来なくはないけれど、もうやめちゃった。独学でカポエイラやレスリング、ボクシングも練習してる。ま、要は総合格闘技ね」
 明日香はそう言って微笑む。
「俺は相撲部。まぁ、肉付きはいいと思ってるけれど、決してデブじゃないからな」
 裕也はまださっき、女子に言われたことを気にしているようであった。
「私は剣術よ。剣道じゃなくって剣術。あとは護身術も少々たしなんでいるの。合気道のような何かをね」
 格闘技とは違うが、三者三様に武道をたしなんでいると聞いて、素華は感心したように頷く。
「へぇ、剣術に柔道に空手に相撲……皆さん、鍛えているんですね」
 素華は三人を憧れるように見渡す。
「薙刀もね!」
 自分が習っている武術の事を忘れられた明日香は念を押すように付け加える。
「あ、はい……でも、使える機会が限られていそうですね……。それで、私ちょっと考えたんです。今回、私がいじめられたのって、私が生意気な態度をとったのもあると思うんですが、私が弱くなかったらきっといじめられずに済んだんですよね。ハサミで髪を切られそうになったら、顔をぶんなぐってやればよかった……今はそう後悔してます」
「じゃあ、空手でもやってみる? 教えてあげるわよ」
 自分の拳を見つめる素華に、明日香は笑みを浮かべて言う。
「いや、それもありですけれど……私、相撲の方がいいかな」
「え?」 「え?」 「うぇ?」
 素華の思わぬ発言に、明日香、百合根、裕也。三人が聞き返す。
「いや、相撲なの? いいの? 空手とかじゃなくて?」
 明日香は驚き、念のために確認する。
「確かに、それもありなんですが……相撲って、防御もせずに真正面からぶつかり合って、やばいじゃないですか。私に足りなかったのって、それだと思うんです……傷を負ってでも、立ち向かう勇気って言うんですかね? 大相撲ってほら、真正面から突っ張りや頭突きで、怪我が日常茶飯事じゃないですか?」
 素華はそう言って三人に同意を求めた。
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