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第2章:いじめを終わらせよう
13話
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「おい及川! なによこの女? 上級生連れてきていきがってるつもり?」
「ゴミ虫のくせに私たちを呼びつけちゃってるとか、ふざけてるの?」
口々に汚い罵りを発するのは、いじめの主犯格である体長塚友愛(ながつか ゆあ)、学年は三年生。彼女は及川の胸にドン、と手のひらを叩きつけた。それを横から、百合根が無言で長塚の耳をつかんだ。
「情けないねぇ、一人の女に寄ってたかって」
ぎゅうぎゅうと遠慮なしに、力任せに耳をつかまれ、その痛みから逃れようとする長塚だが、当然耳をつままれてしまえば逃げるのは容易ではない。
「離せ! くそ……耳掴むなんて何を考えてるの……」
友愛は百合根の腕をつかんで抵抗するのだが、本気で耳をつかまれたら逃げることなんて決してかなうはずはない。耳をちぎられてもいいというのなら別かもしれないが……
「ま、ここじゃなんだし場所変えよっか? この子が髪の毛、切られちゃったところとか?」
小声になって百合根は言う彼女は耳をつかむ手を離すことなく引っ張っていく。こういうところが、学級組長なのだ。百合根の態度に、ただならぬものを感じたらしい加害者たちは『やばいんじゃない?』だの、『なによこいつ』だの、のんきなことを話している。
いまさらそんなことを話したところで無駄なのに、と百合根は笑いながら、片手でスマートフォンを操作して明日香と裕也を体育倉庫に呼ぶ。体育倉庫はその名の通り、ボールや△コーンなどの資材が所狭しと詰め込まれている場所。そして、及川素華が長かった髪の毛を切られた場所だ。
体育倉庫に押し込まれた数人は、体格のいい裕也と明日香の二人に入り口を押さえられ、主に裕也に威圧される形で後ずさる。資材に圧迫さ狭い倉庫の中、裕也は百合根に指示されたとおりに動画を再生する。
素華が暴力を受け始めたころから百合根はすでに目をつけていたらしく、手軽に行けて人目がつかない場所である体育倉庫は、何度か暴行される現場を盗撮したらしい。本当は教室で撮られた映像もあるそうだが、女性の着替えのシーンなども映りかねない場所なため、(削除はしてあるが)要らぬトラブルを避けるために、今回はそのデータは家に置いてきた。
裕也がスマートフォンで再生した映像を見て、虐め加害者の女子たちは言葉を失っている。
「で、どうするの? これが他の人たちの手に渡ったら、ひどいことになるよね? バレーボール部の評判は壊滅、貴方たちは白い目で見られちゃう。」
百合根は無防備な体制で立ちながら、嘲笑するように女子たちを見据える。視点自体は彼女とそう変わらないが加害者の女子たちは可哀そうなくらいに小さく見えた。
「ゴミ虫のくせに私たちを呼びつけちゃってるとか、ふざけてるの?」
口々に汚い罵りを発するのは、いじめの主犯格である体長塚友愛(ながつか ゆあ)、学年は三年生。彼女は及川の胸にドン、と手のひらを叩きつけた。それを横から、百合根が無言で長塚の耳をつかんだ。
「情けないねぇ、一人の女に寄ってたかって」
ぎゅうぎゅうと遠慮なしに、力任せに耳をつかまれ、その痛みから逃れようとする長塚だが、当然耳をつままれてしまえば逃げるのは容易ではない。
「離せ! くそ……耳掴むなんて何を考えてるの……」
友愛は百合根の腕をつかんで抵抗するのだが、本気で耳をつかまれたら逃げることなんて決してかなうはずはない。耳をちぎられてもいいというのなら別かもしれないが……
「ま、ここじゃなんだし場所変えよっか? この子が髪の毛、切られちゃったところとか?」
小声になって百合根は言う彼女は耳をつかむ手を離すことなく引っ張っていく。こういうところが、学級組長なのだ。百合根の態度に、ただならぬものを感じたらしい加害者たちは『やばいんじゃない?』だの、『なによこいつ』だの、のんきなことを話している。
いまさらそんなことを話したところで無駄なのに、と百合根は笑いながら、片手でスマートフォンを操作して明日香と裕也を体育倉庫に呼ぶ。体育倉庫はその名の通り、ボールや△コーンなどの資材が所狭しと詰め込まれている場所。そして、及川素華が長かった髪の毛を切られた場所だ。
体育倉庫に押し込まれた数人は、体格のいい裕也と明日香の二人に入り口を押さえられ、主に裕也に威圧される形で後ずさる。資材に圧迫さ狭い倉庫の中、裕也は百合根に指示されたとおりに動画を再生する。
素華が暴力を受け始めたころから百合根はすでに目をつけていたらしく、手軽に行けて人目がつかない場所である体育倉庫は、何度か暴行される現場を盗撮したらしい。本当は教室で撮られた映像もあるそうだが、女性の着替えのシーンなども映りかねない場所なため、(削除はしてあるが)要らぬトラブルを避けるために、今回はそのデータは家に置いてきた。
裕也がスマートフォンで再生した映像を見て、虐め加害者の女子たちは言葉を失っている。
「で、どうするの? これが他の人たちの手に渡ったら、ひどいことになるよね? バレーボール部の評判は壊滅、貴方たちは白い目で見られちゃう。」
百合根は無防備な体制で立ちながら、嘲笑するように女子たちを見据える。視点自体は彼女とそう変わらないが加害者の女子たちは可哀そうなくらいに小さく見えた。
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