上 下
14 / 423
第2章:いじめを終わらせよう

4話:学級組長の女

しおりを挟む
『百合根ちゃん、そんなにいじめ問題の解決に積極的なの?』
「まぁ、積極的かな? あいつはお金のた目なら必死になれるって言ってる」
『ってことは百合根ちゃん、お金が目的なの?』
「いや、自称だから真意はわからんさ。照れ隠しでそう言っているだけかもしれないし。でもたとえ、お金目的だとしても、あいつに救われた被害者もいるから、金がどうとか批判する気にもならないし……」
「じゃ、とりあえず百合根にCOCOA送っておくね……『ちょっと話したいことがある』って……よし」
 明日香はメッセージを送り終え、さて生徒組長はどう出るのやら、と放課後を待つ。百合根が動くとなれば、いじめっ子には気の毒なことになるだろうが、自業自得の結果だと諦めてもらうしかあるまい。
 そわそわしながら迎えた放課後、百合根は2人に呼ばれるがままに、人気のない教室に呼ばれ、2人から話を聞こうとする。百合根は組長の娘といっても、普通にしていれば普通の女子高生。フィリピン人とのハーフなので、少し茶色がかり、ウェーブのかかった髪の毛や褐色の肌の色。顔立ちも純粋な日本人とは違うものの、態度や振る舞い、言葉遣いは日本人そのものだ。
 部活は文芸部に所属しており、こう見えて物語を書くのはお手の物である。しかしながら、彼女の手は非常にごつごつとしていた。剣術を幼いころから打ち込んできたこともあって、木刀を振るわせれば学校内には、明日香を含め敵はいない。
 明日香も武道に関してはかなり鍛えている方だが、剣だけは百合根にはほとんど歯が立たないくらいである。神社自体が木村組のお世話になっているからというのもあるが、剣術もまた明日香と百合根を繋いでいる絆の形の一つであった。
「ふうん、及川素華の件でねぇ……あなたたち、一体どこからその情報を仕入れたのかはわからないけれど、その子の件なら私もすでに知っている。ふふ、貴方も私たちと同じシノギに手を出す気? シマ荒らしは抗争の始まりよ? 私と抗争、する? タマとっちゃうよ?」
 百合根はどこから情報を手に入れたのやらと、にやにやしながら裕也と明日香を見ている。抗争するなどと言ってはいるものの、彼女の態度が本気ではないと言っている。彼女はカタギには手を出さない、だから2人に手を出すようなことはしないのはよくわかっている。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

ハーレムに憧れてたけど僕が欲しいのはヤンデレハーレムじゃない!

いーじーしっくす
青春
 赤坂拓真は漫画やアニメのハーレムという不健全なことに憧れる健全な普通の男子高校生。  しかし、ある日突然目の前に現れたクラスメイトから相談を受けた瞬間から、拓真の学園生活は予想もできない騒動に巻き込まれることになる。  その相談の理由は、【彼氏を女帝にNTRされたからその復讐を手伝って欲しい】とのこと。断ろうとしても断りきれない拓真は渋々手伝うことになったが、実はその女帝〘渡瀬彩音〙は拓真の想い人であった。そして拓真は「そんな訳が無い!」と手伝うふりをしながら彩音の潔白を証明しようとするが……。  証明しようとすればするほど増えていくNTR被害者の女の子達。  そしてなぜかその子達に付きまとわれる拓真の学園生活。 深まる彼女達の共通の【彼氏】の謎。  拓真の想いは届くのか? それとも……。 「ねぇ、拓真。好きって言って?」 「嫌だよ」 「お墓っていくらかしら?」 「なんで!?」  純粋で不純なほっこりラブコメ! ここに開幕!

小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話

矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」 「あら、いいのかしら」 夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……? 微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。 ※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。 ※小説家になろうでも同内容で投稿しています。 ※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

校長先生の話が長い、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
学校によっては、毎週聞かされることになる校長先生の挨拶。 学校で一番多忙なはずのトップの話はなぜこんなにも長いのか。 とあるテレビ番組で関連書籍が取り上げられたが、実はそれが理由ではなかった。 寒々とした体育館で長時間体育座りをさせられるのはなぜ? なぜ女子だけが前列に集められるのか? そこには生徒が知りえることのない深い闇があった。 新年を迎え各地で始業式が始まるこの季節。 あなたの学校でも、実際に起きていることかもしれない。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

ずっと女の子になりたかった 男の娘の私

ムーワ
BL
幼少期からどことなく男の服装をして学校に通っているのに違和感を感じていた主人公のヒデキ。 ヒデキは同級生の女の子が履いているスカートが自分でも履きたくて仕方がなかったが、母親はいつもズボンばかりでスカートは買ってくれなかった。 そんなヒデキの幼少期から大人になるまでの成長を描いたLGBT(ジェンダーレス作品)です。

[完結済み]男女比1対99の貞操観念が逆転した世界での日常が狂いまくっている件

森 拓也
キャラ文芸
俺、緒方 悟(おがた さとる)は意識を取り戻したら男女比1対99の貞操観念が逆転した世界にいた。そこでは男が稀少であり、何よりも尊重されていて、俺も例外ではなかった。 学校の中も、男子生徒が数人しかいないからまるで雰囲気が違う。廊下を歩いてても、女子たちの声だけが聞こえてくる。まるで別の世界みたいに。 そんな中でも俺の周りには優しいな女子たちがたくさんいる。特に、幼馴染の美羽はずっと俺のことを気にかけてくれているみたいで……

彼女に振られた俺の転生先が高校生だった。それはいいけどなんで元カノ達まで居るんだろう。

遊。
青春
主人公、三澄悠太35才。 彼女にフラれ、現実にうんざりしていた彼は、事故にあって転生。 ……した先はまるで俺がこうだったら良かったと思っていた世界を絵に書いたような学生時代。 でも何故か俺をフッた筈の元カノ達も居て!? もう恋愛したくないリベンジ主人公❌そんな主人公がどこか気になる元カノ、他多数のドタバタラブコメディー! ちょっとずつちょっとずつの更新になります!(主に土日。) 略称はフラれろう(色とりどりのラブコメに精一杯の呪いを添えて、、笑)

処理中です...