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怪盗コレクターVS宇宙警察

トレモロの頼み事

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脳内で拗ねてると、トレモロが脳内で話しかけて来た。


「遥香、少し良いか?」

(え?あぁ、良いけど、なぁに?)

「改めて言うが、さっきはすまなかった。怪我を負わせてしまって…。」

(あぁ、気にしなくて良いよ…。救命ポットで治る傷だったし…。)

「いや、完全に俺の油断が招いた結果だ。

身体を提供してもらっているのに、すまない。」

(もう、良いってば~笑)

「……相談なんだが、これからしばらく身体を回収する時は

眠っていてもらえないだろうか?」

(へ?)

「俺に完全に身体を委ねてもらえると助かる。」

(うう!なんだ…ちょっと赤面しそうな言い回し…。

いや、もちろん、分かってますよ、寝とけと言うのね…。)

「今回みたいに怪我をさせたくない。意識を集中させたい。」

(つまり、私が起きてると、冗談抜きで注意力散漫になってしまう?)

「…そうだ。以前も言ったと思うが、その方が安全だ。

宇宙警察が動いた。これから先、行く所には必ずくるだろう。」

(知らないうちに死んでたなんて無いよね…。)

「…それは大丈夫だ。

この身体は遥香の物だ。遥香は現実を客観的見える様にしておこう。」

(そんな事って出来るものなの?)

「ああ、救命ポットの球体に意識を預けておくとモニターで見える形になる。

もちろん、危険な作業の時だけで良いんだ。

万が一傷つけられても、痛みも感じないで済む。」

「…………。」

「遥香が嫌なら無理は言わない。」

(うーん…分かった。私だって痛いのやだし、足引っ張りたくないもん。)

「ありがとう。」

トレモロは救命ポットに入ってメティに

「遥香の了承を得た。遥香の意識を救命ポットに転送してくれ。

そのままイギリス向かう。」そう指示した。


『はい、マスター。』


メティの返事と共に、

球体からたくさんの管が降りて来た。

何時もの見慣れた光景なのに

違う所と言えば、頭の中を引っ張られる感覚、

エレベーターに乗って一気に高層ビルの最上階まで登る時の様な

あのぞわぞわした感じ…。

三半規管に堪える、船酔い気分。

しばらくすると、大きな球体の中にいた。

そこは柔らかくてふわふわした無重力で

外の景色がまるで蠅の複眼みたいに

たくさんの情報を映している。


「遥香、聞こえるだろう?大丈夫、そこで見ていてくれ。」

トレモロの声がまるで大きなスピーカーから響くように聞こえ来た。


「うん、大丈夫だよ。」

って思って見たけど、たぶん聞こえてないか…。



ふと、思ったけど、トレモロ、いつも、ここに居るのかな…。




ま、深く考えない、イギリスでのお仕事、遥香は傍観者に徹します。






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