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Step4 胡蝶蘭男子と同居することになりました
ヒメコバンソウ②
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室長担当の運転手。堀井さんのことを、室長はとても信頼しているみたい。
確かに、何を頼んでも心良く引き受けてくれて、口が堅くて仕事ができて。
「すみません。お世話になります」
そう言って乗り込んだ私に、堀井さんが労いの言葉をかけてくれた。
「いえいえ、私はただ坊ちゃんに言われたところへお連れするだけのことです。仕事ですから。それよりも、水樹さんは大変なことに巻き込まれてしまいましたね」
「はい。なんだかよくわからなくて」
「あなたは何も悪くありませんよ。そして、これだけは信じてあげてください。坊ちゃんも何も悪くありません」
「あの……堀井さんは、高梨室長とは長いのですか?」
「はい。坊ちゃんがこの家に来たときからずっとです」
「この家に来た時? それって生まれた時ってことですか?」
「あ……」
それっきり、堀井さんは黙り込んでしまった。
なんだろう。何かまずいことでも聞いてしまったのかしら?
堀井さんのお陰で、誰かに行く手を遮られること無く、私は室長のマンションへ辿り着くことができた。
と言っても、着替えも無い、何もない状態。
これからどうしらたいいのかしら……
広いリビングの片隅で、ちんまりと座り込むこと一時間ほど。
室長が何やら大量の紙袋を抱えて帰ってきた。
「当面の着替え、買ってきたから」
「ありがとうございます」
そう言って受け取った中には、当然下着も入っているはずで……
「あ、あの室長。どうやって買われたんですか? つまりその、女性の服なんて、男性が買うのはちょっと恥ずかしいのかななんて思ったりして……」
「別に、外商の人に頼んでおけば、一式そろえてくれるから」
ああ、そうでした。お金持ちの買い物の仕方って、一般ピープルとは違うのよね。いちいち売り場を歩かなくても、外商の人が一から十まで揃えてくれるんだったわね。
そこで室長がちょっと意地悪な顔になる。
「ああ、下着は俺の願望も入っているかな」
「な!」
「冗談だよ。本当に俺は一切選んでないから。女性外商担当が選んでくれたのをそのまま貰ってきただけ」
そんなこと言ったって、サイズは? なんとなくむずむずする気持ちは抑えられないよね。
「で、この部屋を使ってくれ」
マンションの最上階をワンフロア使い切っているので、本当に広い。部屋も何部屋もあって……
私のぼろいアパート、全部の部屋数あるんじゃないかしら。
まあ、でも、これなら室長と鉢合わせすることなく生活することもできるんだね。
広い窓からは、東京の夜景が煌めいて見える。昨日までは、この光の片隅で細々と生きていた私が、今日は広いふかふかのベッドに腰掛けながら、見下ろしているなんて、人生何が起こるかわからないわ。
でも……こんな生活がいつまでも続くわけじゃないからね。
早く、落ち着きたい……沸き上がった先行きの不安を抑えきれずに、ただ黙々と買ってもらった洋服をハンガーにかけた。
確かに、何を頼んでも心良く引き受けてくれて、口が堅くて仕事ができて。
「すみません。お世話になります」
そう言って乗り込んだ私に、堀井さんが労いの言葉をかけてくれた。
「いえいえ、私はただ坊ちゃんに言われたところへお連れするだけのことです。仕事ですから。それよりも、水樹さんは大変なことに巻き込まれてしまいましたね」
「はい。なんだかよくわからなくて」
「あなたは何も悪くありませんよ。そして、これだけは信じてあげてください。坊ちゃんも何も悪くありません」
「あの……堀井さんは、高梨室長とは長いのですか?」
「はい。坊ちゃんがこの家に来たときからずっとです」
「この家に来た時? それって生まれた時ってことですか?」
「あ……」
それっきり、堀井さんは黙り込んでしまった。
なんだろう。何かまずいことでも聞いてしまったのかしら?
堀井さんのお陰で、誰かに行く手を遮られること無く、私は室長のマンションへ辿り着くことができた。
と言っても、着替えも無い、何もない状態。
これからどうしらたいいのかしら……
広いリビングの片隅で、ちんまりと座り込むこと一時間ほど。
室長が何やら大量の紙袋を抱えて帰ってきた。
「当面の着替え、買ってきたから」
「ありがとうございます」
そう言って受け取った中には、当然下着も入っているはずで……
「あ、あの室長。どうやって買われたんですか? つまりその、女性の服なんて、男性が買うのはちょっと恥ずかしいのかななんて思ったりして……」
「別に、外商の人に頼んでおけば、一式そろえてくれるから」
ああ、そうでした。お金持ちの買い物の仕方って、一般ピープルとは違うのよね。いちいち売り場を歩かなくても、外商の人が一から十まで揃えてくれるんだったわね。
そこで室長がちょっと意地悪な顔になる。
「ああ、下着は俺の願望も入っているかな」
「な!」
「冗談だよ。本当に俺は一切選んでないから。女性外商担当が選んでくれたのをそのまま貰ってきただけ」
そんなこと言ったって、サイズは? なんとなくむずむずする気持ちは抑えられないよね。
「で、この部屋を使ってくれ」
マンションの最上階をワンフロア使い切っているので、本当に広い。部屋も何部屋もあって……
私のぼろいアパート、全部の部屋数あるんじゃないかしら。
まあ、でも、これなら室長と鉢合わせすることなく生活することもできるんだね。
広い窓からは、東京の夜景が煌めいて見える。昨日までは、この光の片隅で細々と生きていた私が、今日は広いふかふかのベッドに腰掛けながら、見下ろしているなんて、人生何が起こるかわからないわ。
でも……こんな生活がいつまでも続くわけじゃないからね。
早く、落ち着きたい……沸き上がった先行きの不安を抑えきれずに、ただ黙々と買ってもらった洋服をハンガーにかけた。
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